取材:2018年12月7日
私は大学で福祉を専攻したこともあり、いざ就職となったときに介護の仕事以外は考えていませんでした。そもそも福祉学科のある大学へ進学するきっかけになったのは、祖父母。振り返ると祖父母に関わったのはお正月くらいだったので、福祉のことを学んでいつか恩返しができればと思ったんです。進学して初めて高齢者・障害者・児童など様々な福祉を知りましたが、将来介護職として働くことに抵抗はありませんでした。それは介護職を目指す同級生たちがたくさんいましたし、何より介護施設での実習で高齢者のかわいらしい一面をたくさん見て、介護の仕事がしたい、やっていけると思ったんです。
実際に働いてみて、介護の仕事は接客業やサービス業に似ているけど少し違うと感じています。利用者さんと私たちをつなぐのは、物ではなくコミュニケーションであり、それがメイン。利用者さんは人生の大先輩ですが、ときどきこちらがジョーク交じりに話すと笑顔になってくれて、元気にお話してくれるのが、この仕事の魅力だと思います。
ひと口に介護の職場といってもさまざまですが、私が働いているような老人保健施設は、リハビリに重点を置いています。実際、入所したときに車いすだった方が歩行器で歩けるようになる光景は多く見られ、看護職やリハビリ職など、多職種との連携が密なところも特徴です。利用者さんのADL(日常生活動作)の能力回復が目の当たりにできるのは、介護職冥利に尽きると言っていいでしょう。

私自身3年目に入り、分かってきたことも、できるようになったことも増え、現在はユニットリーダーを任せてもらっています。充実しているので現状でも十分満足ですが、一般的には介護福祉士として働いた5年後にケアマネジャーになるのが理想で、私も将来的には資格を取得したいですね。しかしまだユニットリーダーとしては力不足なところもあるので、当面は現場の職員のお手本になるようなケアや立ち居振る舞いを日々の課題にしています。
介護の仕事をしていると、「偉いね」「大変だね」といったねぎらいの言葉を掛けていただくことがあります。確かに大変なときはありますが、少なくとも私の施設ではそんなとき、必ず一緒に働いている仲間が助けてくれます。介護の仕事をする上で、大事なのはやはり職場環境だと思います。施設見学に行った際には全力で雰囲気を感じ取ってほしいです。

私が働いている老人保健施設に限ったことではないでしょうが、介護の現場には自分と同じように福祉系の学校を出た人や他の施設から転職してきた人だけでなく、介護職未経験だった人もいます。たとえ未経験でも、利用者さんと関わる中で楽しさを少しでも感じることができれば、十分やっていけるはず。私は福祉の経験がありましたが、そうした積み重ねであっという間に3年近く経ちましたし、ずっと続けたいと思っています。