取材:2019年3月7日
私が介護の業界に興味を持ったのは、大学3年生のときです。それまでは販売の仕事に就きたいと思っていて、販売士の資格も取りました。そんなころ、祖母が亡くなってしまいます。亡くなる前は、看護師をしていた母や叔母の介護を受けていて、祖母が母や叔母におむつの交換を頼むとき、私はその場に同席させてもらえませんでした。もちろん恥ずかしさもあったとは思いますが、私は祖母に気を遣わせてしまった自分にふがいなさを感じ、介護業界への就職を考えるようになったのです。
大学のキャリアセンターに相談したところ、福祉の専門学校に進んで資格取得を目指してはどうかと勧められ、調べてみたら2年間で計3か月の実習があるなど、学びつつ経験できることをあらためて知り、専門学校への進学を決めました。このときは、自分に介護の仕事が合うか合わないかの見極めも含めて、経験してみてからと考えていましたが、最初の実習で自分に合っていることに気付きます。認知症の方と初めて関わり、2週間、1カ月と日を追うごとに利用者さんからの信頼を肌で感じることができ、すてきな仕事だなと思いました。
介護職として働き始めて6年ですが、今も変わらず感じているのは、利用者さんは十人十色、一人一人にケアの仕方があるということ。簡単ではありませんが、毎日考えながら仕事ができるのは、刺激になりますし、やりがいにつながっています。特に、他の職種の仲間と一緒に考えながらできるのは、素晴らしいです。私たち介護職は介護の目線になりがちですが、ケアマネジャーさんや看護師さんなどの違った視点を取り入れることができるのは、普段の仕事に活きてくるので、いろんな視点を吸収しながら取り組んでいる自分がいます。

現在は、ユニットのサブリーダーをやらせていただいていて、このまま介護職の道を進み続けるのも魅力的だと感じる反面、相談員やケアマネジャーとして利用者さんと関わるのも良いかなとも思っています。これも、福祉の専門学校に進んだときと同じように、まずはやってみること。考えるのは資格試験に合格してからで、とにかく自分に選択肢を増やしたいですね。
介護職として働き始めたばかりのころは、「大変な仕事」といった言葉が枕詞のように付いてまわりましたが、実際そんなことはありませんでした。例えば給与面でも、他の職種の友人と比べて遜色はありませんでしたし、最近は国からの処遇改善加算により、さらに良くなっている実感があります。介護職不足が少しでも解消されるように制度なども変わってきています。また、今の施設では休みもしっかり取れていますし、学生時代の友人と話をしても、だんだん介護の仕事に対するイメージも変わってきているのを感じ、うれしい限りです。

介護の仕事に興味をお持ちなら、まずは施設に足を運んで見学や体験をしてほしいです。介護職の道に進む決断は、それからでも遅くありませんよ。