取材:2019年7月5日
僕は祖父に育てられ、その祖父が6年前に亡くなりました。祖母はずいぶん前に亡くなっていたので唯一の家族だった祖父が亡くなったとき、喪失感と一緒にもっといろいろできたはずだという後悔が大きく残りました。今なら高齢者サービスもいろいろあると分かっていますが、当時は制度にも無知で、要介護の申請をせず介護サービスも使っていませんでした。祖父に介護制度のことが分かるはずはなく、僕がしっかりしなければいけなかったと今も思います。
その気持ちが無くならず、他の高齢者の方のお手伝いをすることで、後悔の念が紛れるかもしれないと思ったことが介護の道を志したきっかけで、最初は自分のためでした。それまでは卸会社の会社員で営業と販売の仕事をしていて、自分の人生の中で介護の仕事に就くなんて考えたこともありませんでした。まずは介護職員初任者研修のスクールに通い、不安もありましたが介護の世界に飛び込みました。
実際に介護の仕事をやってみて感じたのは、想像以上に難しいということです。介護はケアをする側、受ける側の思いによっても変わります。利用者さまごとに状態も考え方も違うし、ケアする側にもいろいろな考え方があり、答えが一つではない・正解が一つではないところが難しいところだと思います。
これまで住宅型老人ホームで3年間働いて介護福祉士の資格を取り、今の施設で働き初めてから1年弱たちました。現在はサービス提供責任者という立場で介護保険の請求業務や、ケアマネジャーが立てたケアプランに沿って入居者さまにサービスを組み立てていく仕事と現場の仕事の半々くらいです。

サービス提供責任者の仕事はお客さまのお金に関することなので間違いは許されません。サービスを組み立てる上でお客さまの受けている医療やケアの内容に精通していなければなりませんし、医師や看護師、介護職員との連携も必要です。また、お客さまのお身体に変化があった場合、関係する方々に発信していくことも役割で、とても責任が重い仕事です。でも高齢者の方、おじいちゃんおばあちゃんのお手伝いがしたいと思ってこの仕事を志したので、お役に立てることがうれしいですし、お手伝いするたび、こちらが恐縮するくらい「ありがとう」と言われることが仕事のモチベーションにもなっています。
営業の仕事をしているときは結局やっていることは自分のため、成績を上げるためでした。根本にあるのが自分のためにやっているか、誰かのためにやっているかは大きな違いです。やりがいは今の仕事のほうが大きいと感じています。
今、働いている会社は大手で名前が通っているので、お客さまからも安心できるとのお声をいただいています。大手であることで僕たち働く側のメリットも大きいです。福利厚生がしっかりしていますし、研修も充実しています。また社宅制度も用意されているので、少し離れた場所でも安心して働けます。

もともとうちの会社では等級制度が用意されていて、僕も未経験からいろいろな研修を受けさせてもらいステップアップしていきました。希望して受けられる研修も多いので、本当に熱意のある人なら、ステップアップしていく機会が多いのではないでしょうか。僕も来年はケアマネジャーの資格を取り、自分の将来の選択肢を広げたいと思っています。
介護の仕事に興味を持っている方に言いたいのは、誰でも働こうと思えば働ける業界ではありますが、続けるとなると難しさが変わってきます。自分が介護の仕事を始めようと思ったきっかけ、動機を忘れないでいたら、それがモチベーションとなり続けられるのではないかと思います。