取材:2019年12月18日
- 鈴木さん:
- 私が介護職として働くようになったのは、50歳代になってからです。それまで主人の事業を手伝っていた私が介護の仕事に就いたのは、随分前に父の介護を経験していたからでしょうか。握れなかったものが握れるようになったり、歩けなかったのが歩けるようになったりと、身内とはいえやりがいを感じた当時の記憶が、私の背中を押したのだと思います。今の施設で6年間は正職員、一旦主人の仕事の都合で退職し、5年後にパート職で復帰して8年目に入りました。パートを選択したのは年齢を考えてのことですが、現在はショートステイで月20日間の日勤フルパート。孫より若い月川さんとも助け合いながら仕事に取り組んでいます。
- 月川さん:
- 私は沖縄の久米島出身で、祖父母をはじめお年寄りが近くにいるのが当たり前の環境で育ちました。中学の職業体験ではデイサービスに行き、将来介護の仕事に就きたいと思うようになったのもこのときで、そのつもりで高校は福祉科目が学べる沖縄本島の学校を選びました。高校時代に見学に行った今の施設へは、新卒として入職し、まだ1年も経っていませんが、早く仕事に慣れて、ゆくゆくは介護福祉士の資格も取りたいです。
- 鈴木さん:
- 私の場合、介護職としてはトータル15年近くになりますが、介護福祉士の資格を取ったのは昨年のことです。正職員のころは、子育てとの両立。それが60歳を過ぎて子どもの手が離れ、自分の時間ができ、学びたくなったのです。たとえ合格できなくても、新しいことを知るチャンスだと思うことができ、結果的にこの歳でも資格が取れたのは、大きな自信になっています。また、介護の仕事は経験も重要だと思っています。今は経験を伝える側。言うべきことは言わなければいけない年齢でもあります。その中で若いスタッフに助言することもありますが、プリっとされるのではなく「また政枝さんに怒られた!」と聞こえてくるのは、受け入れてもらっているからではないでしょうか。こう思えるのも、今の私の強みです。

- 月川さん:
- 介護の仕事に対してマイナスイメージをお持ちの方は多いかもしれません。でも実際にどう思うかは、やってみないと分からないはずです。少しでも興味があるのならやってみてほしいですし、その先に楽しみや喜びがあります。私たちがいる施設には認知症の利用者さんもみえますが、私は自分が笑えば利用者さんも笑ってくれるかなと思って仕事をしています。私の場合、いつも笑顔でいられることがこの仕事をする喜びでもあるのです。

- 鈴木さん:
- 私たち介護職は、利用者さんが毎日排便できていないとき、食事が摂れていないときなどは、いろいろと策を講じます。そして排便があってすっきりした顔を見たときや、食事ができたときは、本当にうれしくなるのです。携わることで感じる喜びですが、こればかりはやってみないと分かりません。確かなのは、介護を仕事にすると視点が自分でも驚くほど変わるということ。65歳を過ぎてから介護の仕事をするのは肉体的にきつい部分もありますが、私の場合、一日を終えて翌朝起きたときには不思議と力が湧いてきます。介助全般とまではいかなくても、食事介助のみ、送迎ドライバーなど、シニア世代にも活躍の場はいろいろあるので人生経験が生かせるセカンドキャリアとしていかがでしょうか。