取材:2020年2月28日
母親が若いときに介護の仕事をしていたと聞いたことがあり、子どものころから母親が働いていた世界を見てみたいという気持ちがありました。でも実際に介護の職を目指したのは特別養護老人ホームでお世話になっていた祖父がきっかけです。遠方でしたので年に2回くらいしか会いにいけませんでしたが、施設のかたが優しいかたばかりで雰囲気も良くて、祖父はこういうかたがたにお世話してもらっているんだと安心することができました。祖父の最期に間に合わず、看取ってくださったのも施設のかた。介護職ってすごいお仕事だと思い、志すことにしました。それが大学4年生の春のことでした。
大学では管理栄養士の勉強をしていたので介護の知識は全く無く、家族の立場でしか施設のことも知りませんでした。でも不安はあまり無く、なんとかなるだろうという気持ちでした。介護に限らず、どんな業界でもそれなりに大変なことはあるだろう、あとは自分の頑張り次第なのではないかと思っていたからです。
就職活動中に施設見学会・法人の説明会に参加し、何も知らない未経験者の私でも働いていける環境が整っていることが分かり、このなごや福祉施設協会に就職しました。配属先は偶然にも施設見学をさせていただいた施設。見学の際に、仕事に慣れるまでは先輩職員が指導担当として付いてくれて何でも相談しやすいし、職員みんな優しい職場だから大丈夫とお話しいただいたのですが、働いてみたら実際その通りでした。
私もそうでしたが、お話を聞くだけではなく実際に施設に足を運んで見学させてもらうことは、施設の雰囲気を感じられるのでとても参考になると思います。
大学卒業後、特別養護老人ホームなごやかハウス名楽で働いて今は3年目です。「ありがとう」とか「助かったよ」とか、「今日はあなたなんだ、うれしいな」と言ってくださるご利用者様もいて、そういう優しい言葉をかけていただけることにやりがいを感じます。ご利用者様の言葉はやりがいですし、もっと頑張ろうって思います。毎日同じ対応をしていれば終わるという仕事ではないので、そこは難しい、大変だなと思うこともありますが、私が知らない昔のお話を聞かせていただくことは勉強にもなります。

それと、なごやかハウス名楽では、お花見や夏祭りなど季節の行事を大切にしています。中庭にテーブルを出して、焼きそばや綿菓子などちょっとした屋台も出ます。盆踊りをやったり流しそうめんをやったり。行事班を中心に職員総出で準備します。大変ですが、ご利用者様が喜んでくれますし、ご家族も参加できるので、楽しそうな姿を見て良かったなと思います。
今は介護福祉士の資格を取ることが目標。もっと介護に関する知識を身に付け、いざというときに冷静な対応ができる介護職員になりたいです。
介護の仕事は日常生活のお手伝いから、人生の最期のときまで、人の一生に関わることのできる貴重な仕事であると思います。人と人とが関わり合う仕事は多くありますが、最期を看取る仕事は限られています。考えようによってはご家族以上にご利用者様と接して、普段の生活に寄り添っています。ご利用者様に、より良い生活を送ってもらうためにはどうしたらいいのか、自分に何ができるのかを考える、責任のある仕事であると同時に、魅力的な仕事でもあると思います。

私はこの仕事に就く前は介護の知識は無く、何も分からない状態で就職したので、始めは確かに大変だと思うことが多くありました。でも少しずつ慣れ、繰り返すうちに流れも分かってきました。不安があっても働いてみたいと思えば先輩職員の方がフォローしてくれます。
またご利用者様も教えてくださいます。「他の職員さんはこうだよ」とか「いつも自分はこうしている」など。働き始めてから分かったのですが、ご利用者様をこちらが介助するだけではなく、ご利用者様に教えてもらうこともたくさんあります。初めは不安かもしれませんが、働いてみたらどうにかなる!楽しくやりがいを持って働けると思います。