取材:2020年4月30日
私が中学生のとき、両親の仲人を務めた方が病気で倒れ、入院先の病院に両親とお見舞いに行ったことがありました。私にとっても、小さいころによく遊んでもらった思い入れのある方でしたし、快活な印象しかなかったので、体が思うように動かせない病床の姿にショックを受けたことは今でも覚えています。また漠然と、できていたことができなくなってしまった方の役に立ちたいと思いました。ぼんやりとですが、将来は介護の仕事に就きたいと考えるようになったのもこのころです。高校から福祉科のある学校に進学し、大学でも迷わず福祉を専攻しました。
早くから福祉を学んで良かったのは、知識や技術の習得はもちろん、実習を重ねる中で、介護・福祉におけるコミュニケーション能力が養えたことでしょうか。利用者さんには、家族のようにフランクに話してほしい方もいれば、お客さんのように丁寧に接してほしい方もいます。私自身もともと人と関わることは得意でしたが、介護施設では入居者さんごとにベストな支援の仕方があることを知り、それを学んだ実習先での経験が、今の仕事にも確かに生きていると思います。
入職して3年目になりますが、入居者さん一人ひとりに合った支援は、今も一番心掛けていることです。その方の表情などから感情を読み取り、求めていることを叶える。このとき大切なのは、常に笑顔でいること。お一人だけではできないことも、介助することでできたとき、皆さんとても喜ばれるんです。私もうれしくなりますし、この瞬間はやりがいに他なりません。

また入居者さんは、自分が思っている以上に私たちスタッフを見ています。ミスをしてしまったことや気付けなかったことを指摘されるときもあり、言われた直後は落ち込みますが、アドバイスとして受け止め、次に生かそうと気持ちを切り替えます。できたことは継続し、できなかったことは直す。注意されるうちが華だと思うので、反省をしながら、自分を高めていきたいです。
どんな仕事も人の役に立つために行うものです。加えて介護の仕事は、その方の人生に関わりながら支える、そんなところに魅力があると感じています。また、私がいるような特別養護老人ホームなどの施設に入居された場合、その方が入居前と変わらない生活をしていただけるのは、病院とも異なる部分だと思います。特別養護老人ホームでは、入居者さんの最期に立ち会うこともありますが、「あんたがいてくれて良かった」といった言葉をいただけたときは、この仕事をしていて良かったと思う瞬間です。

他に介護職の魅力として話しておきたいのが、経験を積めば積むほどスキルアップが実感できるということ。知識や技術も日々更新されます。入居者さん一人ひとり、感情はもちろん生活リズムも違うので、毎日が同じじゃないのは介護の仕事の特徴といえるでしょう。私はワクワクしますが、皆さんはいかがですか?