取材:2021年2月23日
私にとって介護職の道へ進んだきっかけといえるのは、高校の同級生と一緒に行った施設見学で職員の方がおっしゃった一言です。「介護職は何にでもなれる」。この言葉に将来の夢がはっきりしていなかった自分も友人も、何か見つけられるかもしれないと思いました。そして、普通科の高校出身でも仕事を通じ学べて資格が取れる、大学を出ていなくても資格が取れると聞いたとき、介護の仕事がキラキラして見えたんです。実際、介護職は利用者さんのお世話だけでなく、お祭りや敬老会といった四季折々のイベントで劇や手品などを披露したり、ときには利用者さんの家族のようにもなれます。
もともとその友人とは、学校からの職業斡旋を受けずに自分たちで見つけようと話していました。結果的に面接を受けたのは今の法人だけですが、選択は間違っていなかったです。入職後、先輩たちのようにテキパキと臨機応変に動けるかなという不安はあったものの、先輩職員が気にかけてくれましたし、ここ2~3年は看護師さんや栄養士さん、ケアマネジャーさんら他の職種の方たちに、介護職視点で自分の意見が伝えられるようになったと思います。
今の職場は特別養護老人ホームなので、利用者さんが亡くなるまで関わらせていただくことも少なくありません。ご家族からの「ここで看取ってほしい」といった言葉掛けはありがたく、介護職冥利に尽きます。

介護の仕事は、自分の思い通りにならないことの方が多いものですが、私たち介護職は利用者さんの世界に入らせてもらわないといけません。理想は、利用者さんの今したいことに気付いてあげられる介護職、送りたい生活を亡くなるその日まで守ってあげられる介護職。そこに近づくためには、自分の感情をうまく表現しにくい方の「今の気持ち」を感じ取り、常に利用者さんの立場になって寄り添うことだと考えます。利用者さんに多くを求めてはだめ。たとえうまくいかなくても、ひと呼吸置いて冷静になれる、余裕を持った介護ができるようになりたいです。
私のように学校で介護・福祉について学んでいなくても介護の仕事に興味のある人、または異業種からの転職を考えている人もいるのではないでしょうか。介護の仕事の現場には、利用者さんそれぞれの24時間365日があります。もしかしたら経験したことのない、抱いたことのない感情で仕事をすることになるかもしれません。

でも難しく考える必要はなく、肝心なのは、利用者さんがうれしいときはうれしい、嫌なときは嫌と言ってもらえる人であること。自分に環境を合わせるのではなく、環境に自分を合わせることができたとき、なりたい介護職像が見つかると私自身信じています。
誤解を恐れずに言えば、「介護職ってすごい」と、仕事をしていて素直に感じるんです。ご家族を含めてその人の人生に関わらせていただくのですから、とっても尊い仕事だと思いませんか。