取材:2022年1月14日
私は中学生のころから介護の仕事に就きたいと思っていました。きっかけになったのは一緒に住んでいた祖父です。介護が必要な状態になったのですが、私は知識も無く、何もしてあげられないまま亡くなってしまいました。もっとできることがあったはず。こうしてあげれば良かったんじゃないかと悔やむ気持ちがいっぱいで、同じ後悔をしたくないと介護に興味を持ちました。将来は祖母や母を介護できたらと思っています。
私が介護の道を目指すため、高校卒業後に福祉系の専門学校へ行きたいと言ったとき、母は大反対でした。そのころの母は、介護職に汚いとか給料が安いといったイメージしか持っていなかったようです。母が高校の先生に「介護の道に進むことを止めさせてほしい」と相談していたと後で知りましたが、私は母の反対を押し切って専門学校に進学しました。
そして専門学校の1年生のときに実習を受け入れてくれたのが今働いているこの施設です。1か月間の実習中、職員の皆さんが協調しながら利用者さんのことを第一に考えている施設だと分かったので、そのときから将来はここで働きたいと思っていました。2年生のとき、他のグループホームやデイサービスで実習を行い、卒業後ここに就職して2年が経ちました。
今、特別養護老人ホームで、お風呂や排泄、食事など利用者さんができないことをお手伝いさせていただいています。勤務は早番、遅番、夜勤の交替制で昼はパートさんと一緒に1ユニット(12人)、夜勤時は2ユニット(22人)を担当します。

最初のころは夜勤が怖くて、具合が悪くなっている方がいないか何度も利用者さんの部屋を見に行きました。日勤の際も最初はとにかく業務をこなさなければならないと必死でしたが、今は経験も介助技術も徐々に身に付いてきて、一人ひとりの利用者さんのことを考えながら行動できるようになりました。利用者さんそれぞれ支援の仕方が違う中で、どうしたら充実した生活が送れるか。どうしたら最期は幸せだったと思っていただけるような介護ができるかを多職種で連携して実行し、「ありがとう」と言っていただけることにやりがいを感じています。
大変な仕事だと思われていますが、先輩方がフォローしてくれたり、私も徐々にフォローできるようになっているので、苦労は感じません。たまに嫌なことがあったときは先輩に話を聞いてもらいます。私は何事も自分の中に留めていられないタイプなので「聞いてくださいっ!」という感じで話し、アドバイスをもらっています。汚い仕事もありますが、きれいにすることで利用者さんに感謝されたり、ご家族と信頼関係を築けることの方が嬉しいです。
将来はケアマネジャーの資格を取り、今後はどんどん後輩も増えると思うので、後輩たちの悩みを聞いて先輩のようにアドバイスできる人になりたいです。
介護の仕事は大変な仕事ではありますが、それだけではなく利用者さんに感謝されたり、ご家族と仲良くなったり。人に寄り添いながら信頼関係を築くことで感謝や笑顔をいただく仕事でもあります。少しでも介護職のことが気になっている方は、見学だけでもいいので施設に是非お越しください。今はコロナ禍で難しいかもしれませんが、介護職員が働いている場所を見たり、利用者さんとお話したりすることで本当の介護の現場を知っていただきたいと思います。
実際に見学や実習でみえた方が、最後は「離れたくない!」「ずっと来たい!」と言って、中には泣いてしまう方もいます。私もそうでした。実習が終わったときすごく寂しかった。だからまたここに戻ってきました。そうしたら2年経ったのに覚えていてくれる利用者さんがいらっしゃったんです。働いているユニットと実習したときのユニットは違うので「なんで、こっちに来なかったの?」と言われたときは、すごく嬉しかったです。
