取材:2022年7月21日
私が介護職員を目指したきっかけは、一緒に暮らしていたおじいちゃんです。大のおじいちゃん子で、保育園の送り迎えや寝るときもずっとおじいちゃんと一緒でした。小・中学生のときも地域で一緒にゲートボールをやっていて、高齢者の方と関わる機会は多かったと思います。そんな毎日を送っていたこともあり、福祉の仕事に就きたいと福祉が学べる高校に進学しました。人と話すのが好きで人と関わる仕事がしたかったことも理由の一つです。卒業と同時に国家資格の介護福祉士を取り、特別養護老人ホームに就職しました。
でも働いているうちに、元気なおじいちゃん、おばあちゃんとお話しすることが私には向いていると気付いてデイケアを行う今の職場に転職。在宅で生活ができるよう、通ってくださる方の介助や見守り、できないことをサポートする仕事をしています。転職した4年前は上の子が1歳のときだったのですが、2人目ができたので退職。でもやっぱり介護の仕事を続けたいと思い、昨年1月に戻ってきました。
今、子どもは5歳と2歳。私は忙しくても仕事を続けていることで自分自身を保てている気がします。もしこれが1日中、子どもたちと一緒だったら本当に大変です。仕事をしているから気分転換でき、自分の気持ちに余裕もできて、子どもたちにも優しく接することができるように感じています。子どもたちが元気に保育園に行ってくれているから、私も仕事に取り組め、ありがとうって思える。主人は飲食業なのですが、コロナ禍ということもあり不安が無いとは言えません。夫婦どちらかが安定した職業についていることは良いことだと話し合い、協力してくれることもありがたいです。

私は高校で福祉を学び、資格を取ってから就職しました。その経験がとても役に立っていると感じることが職場でもよくあります。例えばボディメカニクスといって、最小限の力で介護を行う技術があります。利用者さんを移乗する際、自分の体に負担を少なく行える方法なのですが、そういったことを学んだり、実習で経験したりしてきたおかげですぐ実践することができます。でも現場でしか気付かないこともたくさんあり、初心にかえらなければと思うことも多いです。
そんな毎日の中で、やりがいを感じる瞬間はやはり利用者さんやご家族から「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えられたときです。また、利用者さんが病気や認知症でできなくなってしまっていたことが、リハビリをすることやデイサービスに通うことで、できるようになったところを見ると嬉しいですし、やっていて良かったと感じます。名前を呼ばれて何か頼まれたときも、信頼関係を築けていると感じられる瞬間です。
これからも介護の仕事を続け、利用者さんとの信頼関係を築いていきたいですし、利用者さんができるようになる喜びを共有していきたいと思っています。そのためにも利用者さんが在宅で元気に生活できるよう、精一杯サポートしていきたい。将来、子どもたちが小学校に入学して、勉強できる時間ができたらケアマネジャーを目指したいと考えています。
介護の仕事をよく知らない方には、介護は「ありがとう」と感謝の気持ちであふれた職場で、やりがいのある仕事だと伝えたいです。おじいちゃん、おばあちゃんにお世話になったと思っている方、人と話をすることが好きな方だったら、きっと気に入る仕事だと思います。仲良くなったら、利用者さんも楽しいですし、ケアする側も楽しいですよ。
実は大好きだったおじいちゃんは67歳で亡くなってしまったのですが、その前に様子がおかしいことに気付いたのは私でした。両親におじいちゃんを病院に連れて行ってあげてと頼みましたが、お正月休みですぐに病院に行くことができず、休みが明ける前におじいちゃんが倒れて状態が悪くなってしまいました。私がもっと早く気付いてあげていれば、もっと早く親に言えば良かったと今でも後悔しています。だからこそ今は利用者さんをよく観察して、小さな変化も見逃さないよう心掛けています。
