取材:2023年6月28日
高校卒業後、看護学校に通いながら病院で働き始めました。学び仕事をする中で、自分には看護職より介護職のほうが向いているのではないかと感じるようになって…。幅広い年代層の多様な患者さんではなく、一定の年代層の利用者さんに向き合うほうが、自分らしさを出せると思い、看護学校は辞めて病院での介護の仕事に専念しました。

5年ほど介護の仕事を続けましたが、実は昨年1年間ぐらい、販売職に就いていたんです。介護業界は、やりがいを感じるけど本当は自分に合っていないのではないか?このままで大丈夫かな?と迷い、この業界を離れることにしました。
違う世界に身を置いてみて、それは良い経験になりましたが、結局、介護の仕事の良さを再認識しました。人の役に立てるやりがいは介護職ならではだと改めて思い、今の職場に入職したのです。
転職を決めた時、周りの人たちに「戻るの?大丈夫?」と聞かれました。介護職は夜勤があって勤務時間が変則的なので、体調を心配し気遣ってくれたのです。私はそれを前提として戻るので問題はありませんし、イチから再出発しようと気持ち新たに仕事に取り組みました。
介護職に就いて良かったと思うのは、仕事を通して身につけた技術をプライベートでも活かせることです。以前、友達と遊びに行った際、90歳代ぐらいの方が目の前でいきなり倒れたのですが、応急処置を施すことができました。一緒にいた友達に、とっさに手助けできるなんてすごいね、と驚き感心されました。また、祖母から「すごいね。がんばっているね」「私も安心できるわ」と言ってもらうのも励みになっています。身内だったり全然知らない人だったり、仕事と関係のないところでも、困った場面で手を差し伸べられるのがいいなと思います。

仕事では、感謝してもらえるのが介護職の魅力ですね。例えば、夜にナースコールで駆けつけると、ごめんね、ありがとねって言われたり、介助した時も感謝の言葉をかけてくれたり。そうした言葉が「もっとがんばろう」「もっと寄り添った介助をしよう」というモチベーションになります。目の前の相手に「何をすれば、寄り添った介護になるのか」を考え、行動し、それに対して相手のうれしい表情を見ることができたら、「もっとこの方のためになることは何だろう」と考え、行動し…という繰り返しです。利用者さんの感謝の言葉や喜びが、この仕事の魅力であり、がんばる力になっています。
今後の理想は、利用者さんに笑顔で迎えてもらえる職員になること。顔を合わせた時に、喜んで受け入れてもらいたいですね。それが私の原動力になるし、相手にとってもうれしいことだといいなと思います。
もし今、介護の仕事に就こうかどうしようかと迷っている人がいたら、悩んでいるならやってみて、とアドバイスしたいです。何事も経験してみないとわかりませんから。私には自分に向いていないのかなと思った時期もありましたが、違う業界を経験したことで、介護職の良さを改めて感じました。もしやってみて自分に合わなかったとしても、それは仕方ありません。合わないことが分かったので、次を探せばいいのだと思います。興味があれば、まずは行動に移してみてほしいですね。
