取材:2024年5月1日
大学で社会福祉を学び、4年時に国家試験に合格したので社会福祉士の資格を持って今の施設に就職しました。社会福祉士を目指したきっかけは家族の助言が大きいです。母が看護師で2人の姉も臨床工学技士、介護福祉士と医療・福祉系の仕事に就いていて「社会福祉士の仕事は面白い」と勧められ、大学で勉強してみて実際に面白いと感じたからです。現場でご家族さまや職員さんらとコミュニケーションをとりながら働く相談員になりたいと調べるうち、福祉業界の中では高齢者介護の相談員のお給料が比較的高く安定していると知り、介護の現場に就職しました。

今は特別養護老人ホーム(特養)で介護職員として働いていて、企画や創作活動を実施することがよくあります。絵を描くのが好きなので入居者さまとイラストを描いて季節の飾りを作ったり、入居者さまがやりたいことをスタッフと協力しながら実現し、楽しんでくださったときが、やりがいを感じる瞬間です。私が土台を作成して入居者さまに飾りを作ってもらうこともあり、エレベーターホールにある鯉のぼりも私が鯉の形を作って、入居者さまに和紙でうろこの模様を作って貼ってもらいました。普段、私が担当するフロアは割とほんわかした雰囲気で皆さん穏やかに過ごしていらっしゃるのですが、一緒に楽しめることを考えるのはやはり面白いです。
大学で専門的に学んだことが生きていると思う瞬間もかなりあります。それは主にコミュニケーションの方法です。否定しない、共感する、良い悪いを判断しないといったことを学んだことが現場で役に立っています。介護福祉士制度や高額医療費、生活保護のことなども知識がある分、入居者さまのよりパーソナルな部分を理解しやすいのかなとも感じます。

私は学生のころから、介護や福祉、医療はこれからも絶対に必要な業界で、決してなくなるものではないので職業としてお勧めだと家族から言われてきました。今も看護師の母から、職場で起きた出来事について社会福祉士としてどう思う?と意見を聞かれることがよくあります。姉たちとも臨床工学技師の視点、介護福祉士の視点から感じたことなど話し合ったりして、家でも仕事の話を積極的にする方です。
働き始めて1年ちょっと。先輩方とも話し合ったり、丁寧に教えてくださったりしますし気持ち的には大丈夫なのですが、やはり体力的には大変です。夜勤もなかなか慣れません。今のところ私の体力は8時間がギリギリ。レクリエーションをやっているときはすごく楽しいのですが、家に帰ると力尽きたみたいな感じで、気絶するように寝てしまいます。もっと体力をつけなければいけないと思っているところです。
中高生世代の人の中には、介護をキツい、汚いといったイメージで介護の仕事を捉えている人が多いのは、仕方がないのかなと思います。友だちの中でも転職したいと言っている子がいて、「介護に来なよ」って誘っても「嫌だ」って言われます。元々、お年寄りが苦手な方、関わるのが嫌な人に無理強いすることはできません。それよりも、もっと学校で介護や高齢者の体について勉強する機会があれば、介護自体に親しみを持ちやすいのではないでしょうか。

そもそも高齢者施設に対する関心が低く、自分の友だちも興味がなさそうです。でもいずれは自分の親を介護しなければならなくなるときが来ます。そのときのために勉強をしておいた方がいいですよね。
今後の目標は介護福祉士の勉強をして資格を取ること。知識が無い状態で働いていると、本当に自分のやっている介護が合っているのかどうか不安になるときがあります。そんなときは家族に話して、アドバイスをもらったりもするのですが、やはり専門的な知識はあった方がいい。相談員になるのはまだ先だと考えているので今は現場での経験を積みたいです。その先に生活相談員としてのキャリアがあるのかなと思います。これからも入居者さまともご家族さまとも職員ともコミュニケーションをとりながら連携できるようなサポートをしていきたい。たくさんの方と触れ合い、交流しながら働きたいと思っています。