両親が共働きでお婆ちゃんっ子だったこともあり、お年寄りや介護の仕事に興味はあったのですが、やはり大変そうなイメージだったので自分にはできないと思い、異業種に就職しました。ところが勤めていた会社が特別養護老人ホーム（特養）を運営することになって応援で1か月間働ける人を社内で募集し始め、これはチャンスだと立候補して約1か月、特養で働きました。

　未経験なので利用者さんとお話ししたり、掃除したりといった仕事内容だったのですが、そこで働くスタッフさんたちを見ていて、もしかしたら私でもできるかもしれないと思うようになったことが介護職を志したきっかけです。当時、無資格でしたし不安はあったものの利用者さんとお話しするのが楽しく、体力も必要だから転職するなら少しでも早い方がいいと思い、5年前、思い切って従来型の特養に転職しました。
　実際、働き始めると覚えることがありすぎて大変でした。車椅子からの移乗や入浴介助など正直、やったことがないことばかり。毎日があっという間に過ぎていきました。その特養を辞めた後、職業訓練校に入り、実務者研修の実習を行ったのがここ。とても雰囲気が良かったのでそのままここで働きたいと志望しました。

　大変な思いをしながらも介護の仕事を続けられたのは、やはりお年寄りとお話しするのが好きだからです。利用者さんが笑顔になってくれると嬉しいですし、癒やされます。認知症ですぐ忘れてしまうことも、こんな言い方をしてはいけないのかもしれませんが、かわいいなって思ってしまいます。同じことを何度も言われても腹は立ちません。だって病気ですから。何回も同じことを聞かれたら何回でも笑顔で答えるようにしています。

　介護の仕事の魅力は、入居者さまに笑顔になってもらえる仕事だということ。自分が言ったこと、やったことで喜んでもらえたらとても嬉しいです。こんなに笑ったのは初めてとか言ってもらえたりすると私も頑張れる。もっと笑ってもらいたい、楽しく過ごしてほしい。それにはどうしたらいいのかいつも考えています。ここでは、一緒に料理を作ることはできませんが、盛り付けはお願いしたりとか、お掃除のお手伝い、洗濯物を干したり、畳んだりといったこともできる方とは一緒にやっています。家族みたいな感じです。以前、施設長が「ここで働いているスタッフが、自分の家族が入居するならここがいいって言ってくれるのが嬉しい」と話していたことがあります。私もそう思いますし、スタッフ全員がそう思えるグループホームでありたいと思っています。

　介護の仕事は、私のようにお話しするのが好きとか、お年寄りが好きな方には向いていると思います。私も最初は自分にはできないと思っていましたが、実際やってみたら自分にとても合っていました。なので興味がある方はまずやってみてください。1回やってみて無理だったらやめればいいですし、意外といけちゃうかもしれません。

　最初に働く施設によっても違います。私が最初に就いた介護の現場では入居者さんがたくさんフロアにいて、お風呂やトイレもバタバタでしたが、ここは触れ合う時間がたくさんあって、びっくりしました。お風呂も1対1で対応するので、きれいになったね、さっぱりしたねって言い合える大切な触れ合いの時間になっています。働く人によって向いている施設とそうでない施設の種類があるので、私のように触れ合いを大切にしたい人はグループホーム、レクリエーションが好きならデイサービスというように、自分にはどこが向いているか体験してみることも一つの方法だと思います。
　職場で勧められて今年、介護福祉士の資格を取りました。現在、パートタイム勤務で、キャリアアップについては考えていませんが、もっと細かいところに気づけるようになり、臨機応変な対応ができるようになりたいと思っています。でも家のことをしっかりやりたい気持ちがあり、自分の時間も欲しいので今の働き方がちょうどいいです。また、そういう自分の都合を考えた働き方を選べるのも介護の仕事の魅力だと思います。