第2回
自宅でリラックして入浴できるようサポートする「訪問入浴介護サービス」
取材協力:アサヒサンクリーン株式会社 
所長(介護支援専門員、介護福祉士) 栗本恭兵さん

専用の浴槽を使ってチームで入浴介助

 訪問入浴介護サービスは、自宅での入浴が困難な利用者様のお宅を訪問し、専用の浴槽を運び入れて入浴をサポートするものです。訪問する際は、介護職員2名と看護職員1名の合計3名のチーム体制を採っています。到着すると、多くの場合は利用者様のベッドの横に浴槽を設置。体温や血圧などのチェックをしてから、浴槽にお湯をためて、脱衣から洗髪や洗身などの介助を行います。お湯の温度は利用者様の好みに合わせ、体調をみながら38〜42度の間で調整しています。
 訪問入浴介護で重要なのは、安全への配慮、利用者様が清潔さを保てるようにすること、体に変化や異変がないかを確認することです。それらをチームで協力して実践しています。
 入所施設での入浴介護の場合、このような看護職員を含めた3人体制はあまりないのではないでしょうか。もともと入所施設は浴室を備えているので、専用の浴槽を持ち込む必要もありませんよね。また、入所施設での入浴は施設のルールに沿って限られた時間で行うと思いますが、訪問入浴では規定がありつつも比較的長めに自宅でリラックスしてお風呂を楽しんでもらえます。

施設外観写真

コミュニケーションを大切にしたい仕事

 利用者様は要介護3〜5の方が多く、入浴するのであればデイサービスを利用したり、あるいは介護施設に入居したりという選択肢もあります。ですが、私たちの利用者様は「自宅で過ごしたい」という気持ちの方が多いですね。なかには週に3回利用される方もおり、お風呂は日本人にとって特別なものだと実感しています。体調に問題がなければ10分前後はお湯につかっているのですが、「もっと入っていたい」といわれるときもあるほどです。「気持ちよかった」「ああ、さっぱりした」という声を聞くとうれしいしやりがいを感じますね。
 訪問入浴介護サービスに必要なスキルとして、特別なものはないと私は考えていて、スキルよりも利用者様とのコミュニケーションを大切にしてほしいです。柔らかな表情で接したり話したりできるといいですね。もちろん、入社時には介護サービスを提供するための知識や技術を身につける研修を行っています。研修後は練習・実践のための1か月間も設けていて、先輩たちに同行するので安心してスタートできると思います。
 介護業界は“きつい、きたない、きけん”といわれてきましたが、業界も働き方も良いほうに向かっていると感じています。たとえば、訪問入浴介護も以前は利用者様を抱えて浴槽へ移動していましたが、現在は当社開発のスライダーボードで力を入れずに移乗することができます。業界では、人の負担を軽減する機械や道具が次々生まれているので、働き方も改善されてきていると思います。
 介護の仕事は、自分とは年代も価値観も違う相手と向き合うもの。現実として失敗や行き違いは避けられません。しかし、一回うまくいかなかったからといって激しく落ち込む必要はなく、状況は日々変化すると受け止めてもらえれば…。介護業界で働きたいと思っている人は、失敗を恐れずに、前へ進んでほしい。今日はだめだったとしても、次はうまくいく可能性があることを忘れずにいてほしいです。

施設内写真

訪問入浴介護の1日の仕事

今回学んだ入所施設との違いは…

アサヒサンクリーン株式会社 名古屋支店

「お風呂で温まりたい」という高齢者の方々の要望を実現するため、1977年に訪問入浴サービスを開始。静岡県の本社を中心に、現在は全国200か所以上で事業所を展開しています。主な利用者は、ご本人やご家族のサポートだけでは入浴が困難な方。利用時はご自宅を訪問し、肩までゆったりとつかれる一体型の深型形状の浴槽を運び入れます。自社で開発したスライダーボードを使い、利用者様をより安全・快適にベッドから浴槽へ移乗。入浴とともに洗顔、洗髪、洗身の介助を行います。

問い合わせ先:アサヒサンクリーン株式会社 名古屋支店
愛知県名古屋市名東区藤森西町2002番地の1
TEL:052-776-1191
URLhttps://www.asahi-sun-clean.co.jp/search/chubu_region/aichi_prefectures/nagoya_meito/1067/