Q. 事業所での課題は?
鈴木(宏)さん:
当社ではデイサービス、小規模多機能型居宅介護、グループホーム(2か所)、ケアプランセンターを展開していますが、そのうち3つの施設に介護記録ソフトを導入済み。導入していないグループホームにも既存ソフトに加える形で導入し、標準化できないかと考えたことが始まりです。
鈴木(夢)さん:
未導入施設では利用者さんの記録を紙で行っているため、記載にも展開、共有するにも時間がかかります。データであれば展開、共有に加え、保存も楽です。しかし、追加導入の具体的な検討に入ったところ、予算的に難しいこと、そして既存システムに追加することはできないことが分かりました。あいち介護生産性向上総合相談センターの伴走支援の方のアドバイスにより、今できることで業務改善に取り組むことになりました。
Q. 業務改善取り組みの内容、効果は?
鈴木(宏)さん:
介護記録ソフト導入はせず、いかに業務を改善するか。職員全体で現状の課題について考え、何を優先すべきなのかを議論しました。「介護業務の洗い出し」「申し送り基準の策定」などを進め、その過程で職員から掘り起こされたのが「送迎時に安全な移乗介助を行いたい」とのニーズ。そこから福祉車両を導入することになりました。
鈴木(夢)さん:
車椅子から自動車に移乗する際に抵抗のある利用者さんがいらっしゃり、これまで2人がかりで移乗していました。腰痛が怖いけれども無理して移乗していると言う職員もいましたが、車椅子のまま移動できるようになれば1人での送迎が可能になり、体への負担も軽減されています。導入時には、特に安全面に配慮し、写真を多く載せたマニュアルを作製し、納車の際には研修会を開催しました。利用者さん自身も楽ですし、職員も精神的、肉体的に負担が軽減されたという意見が多く挙がっています。
鈴木(宏)さん:
ソフト導入より先にやることがあるのではないかということを職員全体で考え、今、課題としてあることは何かを話し合ったことで見えてきた“気付き“が大きな成果だったと思います。日常的に、こうすればもっと良くなるんじゃないかと考えてくれる職員が増えましたし、意見も上がってくるようになりました。自分たち含めて職員全体に、施設をより良くするための生産性向上を常に意識することが身についたように感じました。
鈴木(夢)さん:
施設の現状と課題を職員全員が自分ごととして考えられるようになったことが最大の成果です。当初、考えていた介護記録ソフトを導入しないことにしたことは大きな決断でしたが、現場での改善点があきらかになり、今取り組むべきことは何なのかを実感することができました。あらためて自分が働いている施設の強みや他の施設より優れているところは何なのか。アピールできるところが分かったことは営業の際にも役立ちますし、職員のやりがいにも繋がったのではないかと感じています。
株式会社喜ら里介護サービス
地域との連携を図りながら、緑あふれる敷地内でデイサービス、小規模多機能型居宅介護、グループホーム、ケアプランセンターを運営しています。いずれの施設もアットホームで明るい雰囲気の中、信頼関係を築きながら利用者さまが笑顔でいられるケアを提供しています。


