実際にお子さんが介護職として働いていらっしゃる親御さんへインタビューしました。

お子さんが介護職の道に進んだきっかけから現在までの活躍の様子、また今後期待することなど、親目線ならではのお話をいただきました。

息子が自分で決めた介護職の道
充実ぶりもうかがえ、親としては安心

名古屋市内の介護施設で働いている息子さん(21歳)の父親 後藤さん

取材日:2020年10月21日

介護職になって1年ほどながら、たくましくなったことを実感

 息子は、高校卒業後の進学先を決めるにあたり、進学するなら何が学びたいのか考えていました。結果、介護の専門学校を選ぶことになり、そのきっかけは中学生のころの職場体験で介護施設に行った経験だったようです。聞けば、介護の仕事は自分に合っているんじゃないかとこのとき思ったそうで、将来は介護の仕事がしたいので介護のことが学べる専門学校に行きたいと、私に言ってきました。自分で言い出したことなら頑張れるのではと、息子の意思を尊重しましたし、息子の選択は正解だったと思います。

 私自身、介護の仕事は気を遣うことが多く、精神的な苦労を伴う仕事という印象を持っていましたが、家で息子から仕事の愚痴を聞いたことはなく、「先輩の姿を見て、早く一人前にならないといけない」といった前向きな気持ちが伝わってくる話ばかり。専門学校を卒業後に今の職場に就職して1年ほどなので、頼もしいとまでは言えませんが、たくましくなったとは感じています。

親としても立派だと思える、介護の仕事

 介護の仕事は人様の役に立つ仕事です。そう考えると、息子は素直に立派だと思います。どんな仕事もそうですが、大切なのは人間関係です。利用者さんや職場の皆さん、たくさんの人と関わる介護の仕事ですが、そのぶん人として成長でき、自己肯定につながって自信も付いてくるでしょう。人生の大先輩である高齢者の方々と接するのであれば、なおさらです。だから「人間関係は大事にしなさい」とは、よく言います。息子との会話の中では他に、ねぎらいの言葉は必ず掛けますが、知った風なアドバイスはしません。職場での詳しい状況までは分からないですし、仕事の内容が話題になったときは聞き役に徹するようにしています。

 介護職として、息子はまだこれからです。徐々にでも良いのでスキルを上げて、充実した仕事を長く続けてほしいと思っています。とはいっても、「仕事だけで、休日は寝ているだけ」となってほしくはありません。幸い、職場の野球チームに入れてもらっていますし、車で出掛けたりもするので、今のところは楽しそうにやっているので安心しています。息子が、仕事を終えたら楽しいことを考え、自分の時間が過ごせるようなメリハリのある生活を送ることが、私の願いです。

頑張る娘を通して知った
「介護職はプロフェッショナル」

名古屋市内の介護施設で働いている娘さん(21歳)の母親  雅子さん

取材日:2020年11月4日

お年寄りに思いやりを持って接していた子どものころ

 娘は専門学校の介護福祉科を卒業し、就職して1年目。ショートステイを担当しています。
 私はこれまで、介護の世界について具体的に何も知りませんでした。身近にも介護を必要とする人は無く、祖父母と同居もしていません。街でお年寄りと一緒にお散歩されているホームヘルパーの方を見たり、趣味の音楽の慰問でデイサービスや老人保健施設に行かせていただいたときに、お仕事されている方と接する程度。施設で働いていらっしゃる「優しい方たち」という漠然としたイメージでした。

 介護施設で私がお会いしてきた方たちは、とても包容力のある大きい方という感じですが、娘はそういうタイプではありません。とはいえ優しい性格で、子どものころからお年寄りに対して思いやりがあったといいますか、電車でお年寄りが乗ってきたら席を譲ったり、車に乗っていて横断歩道を老人が渡っていたら「頑張れ、頑張れ!大丈夫かな?」と関心を寄せるところはあったものですから、小さいときからお年寄りの方が好きだったのかなと思います。

娘の体を心配しながらも 夢を家族で全力応援

 中学3年生で進路を決める時、福祉コースのある高校に興味を持っていましたが、その時は将来の進路を決めるには早いと思い、普通科への進学を勧めました。そして、高校卒業後の進路を決める際に介護福祉士の資格を取るための専門学校に進みたいという具体的な目標を話してくれました。私の気持ちとしては、きつくて収入も少ないとか、腰を痛める人が多いと聞くので不安でした。でも手に職を付けられる強みがあるという思いもありました。主人は、人手不足の業界なので、就職先に困らないだろうと話していました。最終的には、自分が決めた道に進むのが一番いいんじゃないかと応援していました。

 就職後の今も心配は心配です。忙しい仕事で夜勤があるということと、体を使う仕事なので心配がなくなることはありません。でも仕事から帰ってきた娘の話を聞くと、介護職というのは誰でもできる仕事ではなく専門職なんだと感じます。いろいろな理由で、またいろいろな心や体の状態で入所されていらっしゃる方に対応するというのは、世の中から必要とされる仕事ですし知識も経験も必要です。娘はまだ1年目で分からないことも多く大変だと思いますが、経験を積んで、好きで続けられる仕事になったらいいなと思っています。

 娘から話を聞いて、介護職は1人ではできなくて、グループで協力して行う仕事だということも分かってきました。娘はグループの中で先輩や仲間に助けていただきながら仕事をしているようです。知識も経験も必要ですし、とても奥深いお仕事だと思いますので、頑張って続けてプロフェッショナルになってほしいと思います。そうすれば自分がステップアップ、キャリアアップできる道も見えてくるのではないでしょうか。

 私も娘が就職する前は心配ばかりでしたが、今は娘が頑張っている様子が伝わってきますので、応援する気持ちでいっぱいです。利用者さんの中には、娘を励ましてくださる方もいらっしゃるみたいで娘も私も勇気づけられています。かといって認知症が進んで大変な方もいらっしゃるようで、そういう方への対応も安心して任せてもらえる介護福祉士になれるよう応援しています。