教職員介護職イメージ調査と介護職の現状

イメージ調査は小学校 282名、中学校 168名、高等学校 66名 合計 516名の先生方からご回答いただきました。

  • 小学校イメージ調査結果
  • 中学校イメージ調査結果
  • 高等学校イメージ調査結果

小・中学校、高等学校 全体の回答状況

~今回の「介護職のイメージ調査」
の結果より~
 今回の調査結果を見ると、「介護の仕事」= 賃金が安い、精神的・身体的負担が大きいというイメージが教職員の方にも根強くあることが分かりました。
 しかし、段々とですが、そうしたマイナス面も以前に比べ改善されてきています。賃金は他業種との差は感じられなくなってきていますし、介護ロボットなどの導入で、身体的な負担も軽減されてきています。
 また、調査からも分かるように、やりがいを持って活き活きと働いている職員さんが多くいらっしゃいます。
  (当サイト:介護職員のインタビュー参照 https://www.pref.aichi.jp/korei/kaigo-net/hataraku/
 そうした「介護の仕事」の現状を少しでも知っていただくため、現在の介護業界についての情報を紹介します。介護や介護の仕事について伝える機会がありましたら、ぜひご活用ください。

介護業界は介護保険制度が支える安定産業です。この制度により介護職員が安定的に働くことができています。また、超高齢社会が進む中、2025年には243万人の介護職員が必要になるとされており、介護職員がとても必要とされている成長産業でもあります。

要介護(要支援)認定者の将来推計
必要とされている介護職員数

給与面については、低賃金のイメージがありますが、給与水準は改善傾向にあり、令和元年10月からの「介護職員等特定処遇改善加算」や令和4年10月からの「介護職員等ベースアップ等支援加算」の導入により介護職員の給与改善が図られています。

所定内給与額及び
年間賞与その他特別給与額

所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額

(当サイト:給与のゴカイ参照 https://www.pref.aichi.jp/korei/kaigo-net/kyuryo/

キャリアパス制度を導入している事業者では、資格やスキル等に応じ、しっかりとした評価が行われ、収入面もそれに応じたメリットがあり、個々のスキルやモチベーションのアップにもつながります。資格取得を応援する制度がある施設も多数あり、働きながら将来、ケアマネジャーや管理職を目指すことも十分可能です。

さらに介護の仕事は働きやすく、自由がきく仕事です。
さらに介護の仕事 働きやすく、自由がきく仕事です。

アンケート結果で回答が多かった「精神的・身体的負担が大きい」という点については、現在、様々な産業技術を駆使した、介護ロボットなどを導入している施設が多くなっており、介護する側、される側の精神的・身体的な負担が軽減されつつあります。実際、介護者の無理な体勢による介護方法の減少や体力のない職員の負担が減ったり、トイレ介助や移乗介助時に入居者からの安心の声も聞かれています。

介護ロボット・見守り機器の一例

介護職員の負担が軽減!

  • 移乗支援
    Hug/株式会社FUJI
    ベッドから車いすへの移乗動作や、脱衣場での立体保持をサポートする機器【商品名:Hug/株式会社FUJI】
  • 入浴支援
    個粋(こいき)/株式会社メトス
    入浴動作をロボット技術を用いて支援する機器【商品名:個粋(こいき)/株式会社メトス】
  • トイレ誘導
    介護用おむつセンサー/株式会社アイキューラボ
    尿意を自ら伝えることの難しい利用者に代わり、そのタイミングを知らせてくれる機器【商品名:介護用おむつセンサー/株式会社アイキューラボ】

監修者より

介護福祉士はじめとした介護職員の仕事は、3K・6Kと言われ社会的評価は高くありません。
3Kとは、「きつい、汚い、危険」を表し、さらに6Kになると「帰れない、厳しい、給料が安い」「婚期が遅れる、休暇が少ない、化粧のノリが悪い、規則が厳しい」などが含まれます。よくも頭文字「K」で揃えられたものだと感心してしまいます。
ところで、介護の仕事が全面的に3K、6Kにあたり、魅力のないものなのでしょうか。
給与面は、社会的評価の一つですが、現在、介護職員処遇改善加算等により条件を満たすことで給与アップに反映される仕組みになっています。リーマンショック、新型コロナなど社会の変動にも強く安定している点も強みです。しかし、依然、仕事内容に見合った賃金には至っておらず、人員不足や介護の質の低下につながりますので、社会的問題として皆で声を上げてさらに改善されることを願ってやみません。
人は、誰かの役に立ちたいという欲求を持っています。人の役に立ち喜ばれ、自分自身にこの上ない喜びが返ってきて、それを噛みしめた経験は多くの人が持っていることでしょう。介護は、この体験を具現化できる仕事なのです。高齢者や障害者に寄り添い「ありがとうね」と満面の笑顔に包まれた介護職員、「あなたに出会えてよかった」という言葉を受けた介護職員など感動的な話は尽きません。
この言葉に至るまでのプロセスがあるからこそ、やりがいを実感し介護の魅力として開花するのです。
利用者に寄り添う姿勢は、同僚にも示されることが多く、悩みごとのある同僚に親身に関り、困ったことがあれば助け合い、人を大切にする姿に感銘を受けることが多々あり、介護職員の温かさを感じ入ります。
就職後は、研修などの学習の機会があり段階的な目標を持ちスキルアップすることができます。また、リーダー、後輩育成、行事の実行委員などに携わることで専門職としての意欲を高め続けることができます。介護の仕事は、大きな自己成長につながり、プロ意識を持ち輝き続けられる仕事の一つです。
家族や身内で介護の問題に直面し、はじめて介護の仕事をする人の存在が身近になったとき、介護職員の真摯な介護の姿勢から介護の魅力が広がり、社会で欠かすことができない仕事と、そのとらえ方が一転します。介護の仕事を理解することは、介護の仕事をする人への大きな応援につながるのです。

日本福祉大学中央福祉専門学校
介護福祉士科 学科長  高木 直美 先生

小学校
教職員アンケート調査結果

アンケート調査結果
アンケート調査結果

介護・福祉の仕事のイメージ

「やりがい」は、良いイメージが約9割近くある一方「精神的、身体的負担」が大きいと感じている方も約9割を超えています。「賃金」「働きやすさ」の約7割が良くない否定的な評価。「職場の雰囲気」「社会的評価」は半数近くが良い評価。肯定的評価が最も高いのは、「やりがい」(89%)、次いで「社会的な評価」(45%)。否定的評価が最も高いのは、「身体的負担」(95%)、次いで「精神的負担」(94%)。

  • 上記の 「良い」 「やや良い」 「ふつう」 「あまりよくない」 「よくない」 の選択肢は設問項目別に以下に置き換え。「やりがい」:「大きい」「やや大きい」「ふつう」「やや小さい」「小さい」
    「精神的負担」「身体的負担」:「小さい」「やや小さい」「ふつう」「やや大きい」「大きい」

学校の授業で介護の仕事に関することを扱う

アンケート調査結果

ある場合の主な内容について

  • 福祉施設見学
  • 福祉施設訪問(交流会)
  • 総合学習(福祉・職業について) 
    など
小学校では職業についての教育中心に、約4割近くの学校で取り扱っています。

生徒に介護分野への進路を勧めたいですか?

アンケート調査結果
「勧めたい」、「希望すれば勧めたい」が98%を超えています。

中学校
教職員アンケート調査結果

アンケート調査結果
アンケート調査結果

介護・福祉の仕事のイメージ

「やりがい」は、良いイメージが9割近くある一方「精神的、身体的負担」が大きいと感じている方も9割を超えています。「賃金」は約8割が良くない否定的な評価。「職場の雰囲気」「社会的評価」は約半数が良い評価。「キャリアアップ」については、ふつうが半数を超え、あまりキャリアについて理解されておらず、イメージできない方が多いと考えられます。肯定的評価が最も高いのは、「やりがい」(83%)、否定的評価が最も高いのは、「身体的負担」(95%)、次いで「精神的負担」(92%)

  • 上記の 「良い」 「やや良い」 「ふつう」 「あまりよくない」 「よくない」 の選択肢は設問項目別に以下に置き換え。「やりがい」:「大きい」「やや大きい」「ふつう」「やや小さい」「小さい」
    「精神的負担」「身体的負担」:「小さい」「やや小さい」「ふつう」「やや大きい」「大きい」

学校の授業で介護の仕事に関することを扱う

アンケート調査結果

ある場合の主な内容について

  • 福祉施設見学
  • 福祉施設訪問(交流会)
  • 福祉施設体験
  • 福祉実践教室
  • 高齢者疑似体験
  • 総合学習(福祉・職業について)
中学校では福祉施設の見学や交流会を中心に、4割以上の学校で取り扱っています。

生徒に介護分野への進路を勧めたいですか?

アンケート調査結果
「勧めたい」、「希望すれば勧めたい」が98%を超えています。

高等学校
教職員アンケート調査結果

アンケート調査結果
アンケート調査結果

介護・福祉の仕事のイメージ

「やりがい」は、良いイメージが約8割、一方「精神的、身体的負担」が大きいと感じている方も8割を超えています。 「職場の雰囲気」は約半数が良い評価。「賃金」「働きやすさ」は約半数が良くない否定的な評価。「キャリアアップ」については、ふつうが約7割近くあり、あまり理解されておらずイメージができない方が多いと考えられます。肯定的評価が最も高いのは、「やりがい」(81%)、次いで「職場の雰囲気」(51%)。否定的評価が最も高いのは、「精神的負担」(85%)、次いで「身体的負担」(83%)。

アンケート調査結果
  • 上記の 「良い」 「やや良い」 「ふつう」 「あまりよくない」 「よくない」 の選択肢は設問項目別に以下に置き換え。「やりがい」:「大きい」「やや大きい」「ふつう」「やや小さい」「小さい」
    「精神的負担」「身体的負担」:「小さい」「やや小さい」「ふつう」「やや大きい」「大きい」

学校の授業で介護の仕事に関することを扱う

アンケート調査結果

ある場合の主な内容について

  • 福祉施設見学
  • 福祉施設訪問(交流会)
  • 福祉施設体験
  • 福祉実践教室
  • 高齢者疑似体験
  • 総合学習(福祉・職業について)
高校では福祉の実践教室や高齢者疑似体験など、介護に関する実践的な授業を中心に取り扱っています。

生徒に介護分野への進路を勧めたいですか?

アンケート調査結果
「勧めたい」、「希望すれば勧めたい」が95%を超えています。