実際にお子さんが介護職として働いていらっしゃる親御さんへインタビューしました。

お子さんが介護職の道に進んだきっかけから現在までの活躍の様子、また今後期待することなど、親目線ならではのお話をいただきました。

ご自身は介護業界との関わりは無く
娘さんが特養の介護職員になって3年目

春日井市内の介護施設で働いている娘さん(21歳)の母親 森本さん

取材日:2021年11月29日

お年寄りの笑顔が見たいと介護の道に進んだ娘

 うちでは介護との関わりは無く、介護業界で働いているのは娘だけです。高校卒業を控え、卒業後の就職先について話した際に初めて介護の道に進みたいと言われました。娘は子どものときから私や夫の実家のおじいちゃん、おばあちゃんと仲が良くて、特に私の祖母、娘のひいお婆ちゃんと話すのが好きでした。だから、そういう仕事もいいのかなあと言い出した、そこからですね。

 私も手に職をつけることはいいことだし、子育てが終わってからでも戻れる仕事なので、いいんじゃないって言いました。就職先は本人の気持ちが一番だと考えていましたから。自分のやりたい仕事を探してその仕事に就きなさいとしか言えないですよね。介護の仕事は無理やりやれと言われてできる仕事ではありません。私も自分の娘をすごいと思いました。

 娘は「私は絶対介護職に向いている。だってお年寄りの笑顔が好きだから」と言っていましたし、実際優しい子です。私も介護職は娘の優しさを生かせる仕事だと思っていました。向いていないと感じていたら、無理じゃない?って多分止めていました。

どんな仕事でも大変なことはある
分からないことは先輩に聞くよう助言

 娘が介護職に就くことに心配はありませんでした。体が大きく体力もありますし、お年寄りをガッツリ支えられるはずです(笑)。夜勤もありますが、夫も以前は3交代制で働いていて、今は長距離トラックの運転手をしています。最初は大変かもしれませんが体がリズムに慣れてしまえば平気です。休みも寝る時間もしっかりあるので、体のことは心配していません。給料についても長く勤めれば上がると分かっているので、そこは自分で頑張りなさいと言ってあります。

 娘はあまり仕事の悩みを家で話すことはありません。仕事なのでもちろん色々あるかとは思います。でもどんな仕事でも色々ありますよね。仕事の内容に関する悩みは先輩に聞きなさい、というくらいしか助言はしていません。

 ただ、嬉しかったことはよく話してくれます。「今日は誕生日会で、みんながニコニコ笑っていた」といった楽しい出来事です。弟とは全く違う話をして気分転換をしているようです。

 これからの時代、介護職の経験があれば困らないはずです。それに、私や夫が急に倒れたときでも自ら動けるから安心できます。私だったら急に親が倒れたら、あたふたしてしまうでしょう。そんなときにも心強い存在になるのではないかとも思っています。

いろいろな経験を積みスキルアップしてほしい

 実は、娘がお年寄りの笑顔が好きだから介護職に就きたいと言ったとき、私は、介護職は笑顔ばかりじゃないよと言いました。排泄や入浴の介助もしなければならない。やることはいっぱいあるから多分大変だよと念を押したのですが、娘はできると話していました。

 娘の覚悟は本物だったようで、特養で働きはじめて3年目。先輩や同僚、同じように介護の仕事に就いた友達のおかげで働き続けることができています。今後は、仕事を続けながらスキルアップを目指してもらいたいです。たくさんの経験を積むことは、仕事はもちろんですが娘自身のためにもなると思います。出世してほしいということではなく、いろいろなスキルを身に着けていくことによって、この先自分に何ができるかを考えていってほしいです。

 資格も取れるものはどんどん取ってほしい。給料のためだけではなく、どんな業界でも仕事をしていく上でスキルアップは大事だと思っています。知らないことを知り視野が広がると見える世界も違ってきます。娘には色々な世界を見てほしいです。

 もし息子さんや娘さんが介護の道を目指すことに不安を抱いている親御さんがいたとしたら、本人がやりたいのであればやらせてみたら?と思います。やりたい仕事が無い人もたくさんいる中で、やりたい仕事があるだけでも凄いことです。

 やってみたいという気持ちが無ければ仕事は長続きしません。一つでも、いいなと思えること、これが好きと感じる部分があれば、その仕事で頑張ってみてもいいんじゃないかなと思います。