実際にお子さんが介護職として働いていらっしゃる親御さんへインタビューしました。

お子さんが介護職の道に進んだきっかけから現在までの活躍の様子、また今後期待することなど、親目線ならではのお話をいただきました。

医療の現場でも介護は必要
楽しく誇りをもって働ける仕事であってほしい

名古屋市内のリハビリテーション病院で働いている娘さん(26歳)の母親 高木さん

取材日:2022年2月28日

悩みに悩んだ進路と就職 祖母の言葉で気づいた娘の適職

 私自身が福祉の仕事に携わっていて、娘はリハビリテーション病院で介護職として働いています。実は娘の進路は私と一緒に結構悩んで決めたんです。
 まだ進路が決まっていなかった高校3年生のころ、ふと娘の幼少期を思い出しました。娘は弱視のある私の母の手を引いて出かけるなど、高齢者と接してきました。日頃の娘との関わり方から、母が「こういう子が介護職だと良いね」と言っていたんです。このときの母の言葉を思い出し、娘に「介護・福祉職を目指してみたらどう?」とアドバイスをし、夏休みに近所のデイサービスに見学に行くことにしました。帰ってくるなり「すごく良かった。自分に向いているのかもしれない」と嬉しそうに話していたことから、進路先を介護・福祉系の専門学校に決めました。
 その後、専門学校から大学に編入し、介護・福祉のことを更に学び、様々な形態の施設での実習を重ねました。今度は就職先に悩むことになります。娘は専門学校や大学での実習で、病院には行ったことはありませんでしたが、特別養護老人ホームや老人保健施設などに入る前、医療機関で患者さんとして過ごす様子や、病院と施設の連携の様子を経験することで将来福祉施設で働きたいと思ったときに利用者さんに一層寄り添え、広い視野で仕事ができるようになるんじゃないかと話し合いました。

介護の仕事はより必要に

 私は、介護職は社会的に見ても必要性の高い仕事だと考えています。
娘が働いているようなリハビリテーション病院は、看護職は患者さんの診療補助のウエイトが高くなっていて、介護職は患者さんの日常生活の支援が欠かせない役割になっているようです。就職先では看護師さんとの関係も良好で、看護師さんから医療の知識を教えて貰うなど学ぶことも多く、楽しく仕事をしているようで、親としてはホッとしています。 在宅介護や施設介護における介護職のニーズは、近年さらに高まっていますが、医療の現場でも求められていて、幅広い活躍の場があることがわかります。
 こうした実情から、介護の仕事をする人が増えればいいのですが、介護職に関わる当事者にならないとその必要性が感じられないこと、介護の仕事が正しく理解されていないことは課題であり、もったいないところだと思います。また以前ほどではないものの、3K(きつい・汚い・危険)や低賃金のイメージが解消されることも望まずにはいられません。
 介護の現場では、ご自身での感情のコントロールが難しい方による、いわゆるペイシェントハラスメントもあるようです。しかし一方で、娘は「あなたにお手伝いしてもらえて良かった、助かった」と言われることが何より嬉しいと話しています。患者さんが退院した後の生活を考えながら、様々な職種の人と連携を図って、患者さんとの親身な関わりを大切にしているようです。

これからの介護に望むこと

 最近流行りの、介護用ロボットの導入やICT技術の導入も、職員が現場での使い方が分からないと、効率が落ちてしまうことも考えられます。数が十分に足りているか、システムがしっかりしているかなど管理者側のサポートが重要な中、残業をゼロにするようにシフトの組み方や仕事の内容など、勤務体制を工夫されている職場もあるようですね。職場全体が活気づく良い循環を作るためには、経営サイドも含め全体で現場の声を理解して、スタッフ一人ひとりが専門職として活躍できる環境は欠かせませんね。
 私の娘には、介護職という専門職に就いていることに誇りを持ち、介護の仕事に就いて良かった、介護の仕事を続けていきたいと思ってほしいです。仕事はご縁の数珠繋ぎというところがあると思っています。周りの人と関わり、助けてもらいながらその時々のご縁を大事にして、任された仕事や出会った人たちを大切にしてほしいです。