実際にお子さんが介護職として働いていらっしゃる親御さんへインタビューしました。

お子さんが介護職の道に進んだきっかけから現在までの活躍の様子、また今後期待することなど、親目線ならではのお話をいただきました。

自分がやりたい仕事に就けるのは幸せなこと
資格を取得しながら頑張る息子を家族で応援

名古屋市内の特別養護老人ホームで働いて4年目の介護職員永岡さん(21)の父親、永岡博美さん

取材日:2022年11月10日

何事にも「気付く」息子が見ていたひいお婆ちゃん担当の介護職員

 僕は介護業界については何も知らなくて、息子が介護職に就きたいと言ったときは正直、きついのではないかと思いました。高齢の方相手なので、うまくいかないことが多いと思うし、給料が安い業界だと聞いていたので金銭面でも心配だったからです。実際のところは分かりませんが、今後、結婚して家族が増えて…といったときやっていけるのかという思いがありました。
 息子は子どものころから優しい性格です。友達や友達のご両親からも優しい子だとよく聞きました。3人きょうだいの真ん中で、きょうだいの中でも特に優しく、よく親戚や近所の子どもたちの面倒も見ていました。父の日、母の日にプレゼントを一番買ってくれたのも息子ですし、何事にもよく「気付く」子です。
 振り返ってみると、息子が介護に興味を持ったのは子どものころではないかなと思っています。僕は熊本の出身で、息子が小さいころは実家に私の祖母、息子からすると曾祖母がいて、よく入院をしていました。その度に熊本に帰ると病院で介護をしてくれている人のことを「ひいばあちゃんのお世話をしてくれている人はすごいな」って言っていたからです。その気持ちを持ち続けて介護の世界に入ったのかどうかはわかりませんが、憧れる気持ちが心の片隅にずっとあったのかもしれません。

介護職は安定していて必要とされる職業 利用者さん、自分のために努力を続けてほしい

 介護の道に進むことを大変だろうとは思いましたが、反対はしませんでした。なぜなら本人がやりたい仕事に就けるのは幸せなことだからです。仕事の内容は関係なく、それが本人のやりたいことであれば一番の励みになりますよね。ですから仕事の内容に関しては全く心配せず、心配していたのはもっぱら給料のことだけでした。
 しかし、言い方は悪いかもしれませんが介護職は「食いっぱぐれが無い仕事」だとも思うようになりました。少子高齢化がますます進む今、介護職のニーズも高まる一方です。仕事の場はどんどん増える。景気の影響を受けにくい。公務員ではないものの、それに匹敵するくらい安定した職業だと言えるのではないでしょうか。
 息子は介護職に就いてから、最初のうちは担当している利用者の方が亡くなっちゃったと寂しそうにしていることがありましたが、今では職場のことは話さなくなりました。大変なんだろうなとは思いますが、しっかり仕事場に行っていますし、今はこちらから尋ねたりせず見守っているところです。
 息子は高校在学中に土・日曜日を使って介護職員初任者研修を取り、働きながら勉強して国家資格の介護福祉士にも合格しました。頑張っている姿を見て、「あぁ、ずっとこの仕事を続けていくつもりなのだな」と感心しています。
 本人もそのつもりでいるとは思いますが、今後も働きながら勉強を続けて、どんな立場でも対応できるよう自分を磨いていってほしいと思います。それは利用者の方のためでもあり、自分のためでもあります。いろいろな経験を積みながら自分が必要とされていることを自覚して、ゆくゆくは責任ある立場になってほしいという希望も親として持っています。
 子どもがやりたい仕事を応援していくのが親だと思います。今は介護がきつい仕事、汚い仕事だという考えはなくなりました。介護は安定職、みんなから必要とされる、どこでも必要とされる仕事だと思っています。