実際にお子さんが介護職として働いていらっしゃる親御さんへインタビューしました。

お子さんが介護職の道に進んだきっかけから現在までの活躍の様子、また今後期待することなど、親目線ならではのお話をいただきました。

子ども自身が選んだ介護の仕事
納得いくまで働けるよう応援したい

名古屋市内の特別養護老人ホームで働いている原由梨さんの父親・敏彦さんと母親・和子さん

取材日:2022年11月13日

おじいちゃんの役に立ちたいと中学生で介護職を決意

敏彦さん:

娘は幼い頃からおじいちゃんっ子でした。近所に住んでいた祖父が大好きで、よく膝の上に座ってみかんをむいてもらったりしながら仲良く過ごしていました。その祖父が入院を経て介護施設へ入ることになったのをきっかけに、介護の仕事に興味を持ったようです。

由梨さん:

「私がなんとかしたい」と思ったんです。看護の道も考えましたが、介護職なら身の回りのことも幅広くサポートできると考えました。当時は中学生だったので、高校は福祉系の学校を選び、介護について学びました。卒業後、念願の介護職に就いて今は2年目です。

和子さん:

これまで介護職として働いている人は身近にはいなくて、私も主人も大変な仕事というイメージでした。体力がいりますし、さまざまな人と向き合う職業なので精神的な強さも求められそうですから。

敏彦さん:

大変だろうけど、本人が自分で決めた仕事です。やりたいという希望を聞いて、「がんばれ」と背中を押しました。祖父は亡くなってしまったのですが、もし娘がこういう気持ちで職業を選んだと知ったらおそらく喜んだと思いますね。

和子さん:

私は本音をいうと、当初は普通科に進学してほしいという思いもありました。高校を卒業してからでも介護の勉強はできます。しかし、娘の意志は堅く、そこまでやりたいなら思いをかなえてほしいと心から応援するようになりました。

敏彦さん:

介護の仕事が娘に合っているかどうかは、やってみないと分かりません。実際に働いてみて、もしどうしてもダメなら辞めたっていいのです。道はいろいろあります。向いているかどうかより、まずは挑戦してみようという気持ちを大切に進んでいってほしいと思いましたね。

好きな仕事でも大変なことはある。家族との時間で気分転換

敏彦さん:

自宅では職場での出来事を結構話してくれますね。家族は愚痴でもなんでも話を聞くよ、というスタンスです。本人が希望した仕事ですが、社会に出てまだ2年目ですし、実際はきついこともあるようです。疲れやストレスがたまっているなら、それを全部出しきってほしい。だれかに話すとスッキリすることもあるので、家では気兼ねなくなんでも話してほしいですね。

和子さん:

娘には、言いたいことがあれば家で話してね、と伝えています。私たちは介護業界についてはあまり知りませんが、その分、娘の気持ちに寄り添うようにしています。

由梨さん:

家族のほかに、時には学生時代の友人と会っておしゃべりしたりします。仕事とまったく関係のない人たちと話をすると気分転換になりますね。

和子さん:

娘の職場は夜勤明けが休みとなりますし、休日をしっかり取れるようで、オフには家族で道の駅や温泉に出かけることもあるんですよ。おいしいものを食べて、ゆっくり過ごして、心身ともにリフレッシュしてほしいですね。

体を大切に、自分が納得いくまで仕事に取り組んでほしい

由梨さん:

直近の目標は、国家資格の介護福祉士を取得することです。より多くの知識と技術を身につけ、今より仕事ができて、人にやさしい介護福祉士になれたらいいなと思っています。

和子さん:

体に気をつけながらね。今はやはりコロナの問題もあって、親としては健康第一でいてほしいと思います。その上で、やりたい仕事を中途半端ではなく、やりきってもらいたいですね。

敏彦さん:

ケガをしないように、心も風邪をひかないようにしながらね。娘は介護職への信念を曲げずに、今もよくがんばっていると思っています。今後、結婚や出産ということがあれば違う働き方を選ぶ可能性もあるでしょうが、とにかく今できることを全部しておくといい。私自身、自分の仕事にまだ納得はできていないのですが、娘にも後悔しないよう、納得するまで自分が選んだ仕事に取り組んでほしいと思います。