学んだ知識を家族にも生かせる介護職を選択
私の実家が開業医だったこともあり、もともと息子は自分も「何か手助けできないか」と思っていたようでした。高校への進路を考え始めたころ、私が体調をくずし、ほかの人のサポートがないと生活するのが少し難しくなったんです。そこで息子は介護の知識や技術があれば私を手助けできる、と考えました。介護と看護のどちらの分野に進もうかと検討した結果、より身近に感じ、学んだことをすぐに実践できそうな介護を選んだのです。進学先には、介護士として早く働けるようにと、卒業と同時に介護職員初任者研修の資格を得られる高等専修学校を選択しました。卒業後、介護施設(サービス付き高齢者向け住宅)に就職して日々仕事に励んでいます。
簡単ではないけれど息子なら大丈夫と信じて
介護職というと、きつい、つらいというイメージもあるようですが、私は人を助けることのできる意義ある仕事だと思っています。ただ、体力的にも精神的にも大変ですし、責任は重く、相手の方の命や健康にも関わります。簡単な職務ではありませんが、息子ならきっと大丈夫!と当初から信じていました。中学校での3年間、柔道で心身ともに鍛えたことも役立つのではないかと思っています。わが家はエレベーターのない建物にあるのですが、私が体調不良で階段を上れないときは、息子が上階まで背負って上ってくれて…。体力があるだけでなく、人に優しく接することができるので、介護職の仕事は合っているだろうと考えています。
学生時代から介護分野の知識習得に熱意
高等専修学校に通っていたときは、介護について学ぶようになり、国語や数学といった一般的な科目よりも介護の授業が楽しいと話していました。高校で開催された中学生対象の体験入学イベントにも、応援メンバーとして積極的に参加し、車いすの方への接し方やレクリエーションなどについて中学生の方たちに丁寧に説明していましたね。ベッドメイキングや折り紙など様々な検定にもチャレンジし、努力する姿が印象に残っています。また、学校で学んだことは自宅でも生かしてくれました。私がベッドから起きたり立ち上がったりする際に負担が少ないよう気を配ってくれていましたね。
家族団欒を通して感じる、仕事を楽しむ姿勢
息子が介護職員として働き始めてからも、仕事について否定的な話をまったく聞いたことがありません。高齢の方が多いとどうしてもお別れは避けられないので、そうした出来事を話すときは悲しそうですが…。多くの場合は、入居者さんとの会話でこういう話題が出たとか、こういうケアをちゃんとできたんだよといった話をしていますね。仕事では先輩から学び吸収し、それを後輩にも伝えるよう努めているようです。職場の雰囲気が良くて、周りの人たちはみんな優しい。そういって楽しそうに仕事をしていることがうれしいです。