第5回
介護職員から対応力を学び、リハビリの場での適切な活用
インタビュー:社会福祉法人 愛港福祉会
特別養護老人ホーム 東茶屋御苑
理学療法士 千田竜徳さん

個々の適切なリハビリに欠かせない介護職員からの情報

 特別養護老人ホームに勤務する理学療法士は、入居者さまの状況に合わせて身体機能の維持・向上を図る役割を持っています。具体的には、関節を動かすことで変形などを予防する関節可動域訓練、筋力強化訓練、立つ・座る・歩くといった日常生活動作を改善する基本動作訓練などです。たとえば、腕が上がりにくいという方には、実際にどれくらいまで上がるかを確かめた上で、上げられるようにアプローチする関節可能域訓練をします。効率よく立つために重心の置き方をアドバイスしたり、スクワットなどの運動療法を取り入れたりといったことも行っています。

 入居者さまの身体状態は個人差があり、日によっても変化するため、介護職員さんからの情報は欠かせません。入居者さまと接する時間が長く、その方のことをよく把握されていらっしゃるからです。リハビリを始める前に、介護職員さんとできる限りコミュニケーションをとって入居者さまの体調や困っているところ…最近「トイレで立ち上がれない」とか「衣服を着づらい」などを積極的に聞くようにしています。こうした事前情報をもとに効率的なプログラムを立て、体調や安全面に配慮しながら、できなくなってきたことはできる限り改善し、今できていることはこれからもできるように、寝たきり状態であれば関節が固まってしまわないように訓練を行います。入居者さまに適したリハビリをするために、介護職員さんは欠かせない重要な存在です。
 もちろん、入居されている方にとっても不可欠な存在です。食事・排泄・入浴などをサポートする介護職員さんがいてこそストレスのない日常生活を送ることができます。

気持ちを落ち着かせるコミュニケーションを実践

 介護職の方々はその場やそれぞれの方に応じた対応力がすごいと思います。たとえば、認知症の方は時に大声をあげたり動き出したりする場合もあるのですが、私が新人の頃、攻撃的になっている方にどう声をかけてよいのか分からずに戸惑っていると、介護職員さんが駆けつけ、その方に優しく話しかけて落ち着かせてくれたことがありました。
 他にも、「リハビリをしたくない」とか「お風呂に入りたくない」と嫌がる方ともうまくコミュニケーションしながら、結局はリハビリやお風呂に導いてくれるので尊敬します。“リハビリ”など嫌がっている対象の名称は使わず、「私と一緒に来てくれる?」など関心を別の事柄に一旦そらすのがポイントのようで、私も近ごろは取り入れて実践しています。
 ほかにも、介護職員さんには移乗介助をする際のコツなども教えてもらうことがあります。本来、理学療法士はうまくないといけないのですが、介護職の方のほうが頻度が高く、技術を身につけているので、実際にどうしているのかを聞いて実践しています。

人生の先輩として敬い、丁寧な言葉と行動で接したい

 私が普段仕事で心掛けているのは、入居者さま第一ということ。人生の先輩として敬い、言葉遣いや態度などでも意識的に丁寧な対応に努めています。
 介護職もリハビリ職も、入居者さまの生活や身体状態を支えるやりがいのある仕事だと考えています。同じ施設・業界の仲間として、これからも協力して一緒にやっていきたいです。

介護職員さんへ応援メッセージ

入居者様を第一に考え、やりがいのある仕事に携わっていきましょう!
入居者様を第一に考え、やりがいのある仕事に携わっていきましょう!

利用者さんからの感謝の言葉

  • A様
    朝、皆さん私にあいさつを返して下さり、時間になりますとリハビリ等に誘導し、とてもテキパキとやって頂き感心しています。
  • B様
    スタッフの方は皆親切で細かい所も気が付いてくれます。
  • C様
    目配り、気配りしてくれて嬉しいです。
  • D様
    スタッフの方が楽しく業務をされておられ、私もこちらへ来ることが楽しく、少しでも早く良くなるよう頑張り、過ごしています。
社会福祉法人 愛港福祉会 特別養護老人ホーム 東茶屋御苑

全室個室のユニット型特別養護老人ホームです。施設内でセラピー犬(ラブラドール♀)を飼っているので生き物に触れ合える環境が整っているのが一番の特徴です。実際、認知症で不穏な方を落ち着かせてくれたり、拘縮が強い方も彼女を触ろうと拘縮部分を動かそうとしてくれたりするので、機能訓練の一助になってくれています。ユニットのすべての浴室に車いす対応の特殊浴槽を導入し、全室に見守り支援システム、各フロアーに移乗サポートロボット、排泄予測支援デバイス、インカム、各階には汚物除去専用洗濯機などの最新設備を取り入れることで、入居者さまの重度化に対応するとともに、介護スタッフの負担を軽減。入居者さまとスタッフが関わる時間を増やし、落ち着いた関係づくりを目指しています。わが家のように安心できる居場所として、健康的で文化的な生活を送っていただけるよう努めています。ほかに、児童デイサービスや就労支援事業所も開設しており、高齢者、障害者、健常者、幼児の誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える共生社会を目指している法人です。

社会福祉法人 愛港福祉会 特別養護老人ホーム 東茶屋御苑
問い合わせ先:社会福祉法人 愛港福祉会 特別養護老人ホーム 東茶屋御苑
愛知県名古屋市港区東茶屋2-401-1
TEL:052-355-9812
FAX:052-355-9813
URLhttps://www.aiko-fukushikai.jp