愛知県の国・県指定文化財と国の登録文化財

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絹本著色浄土五祖像〈賛アリ〉(けんぽんちゃくしょくじょうどごそぞう)

分類 国・重要文化財
種別 絵画
所在地 江南市前飛保町
所有者等 曼陀羅寺
指定(登録)年 大正7年(1918)
時代 南北朝
絹本著色浄土五祖像

絹本著色浄土五祖像

五幅
法然が、浄土宗相承の祖師と定めた中国の五人の高僧、すなわち曇鸞(476~542)・道綽(562~645)・善導(613~681)・懐感(七世紀末~八世紀前)・少康(八世紀後~九世紀前)の肖像を掛軸五幅に描いた画像である。それぞれ画面の上部に漢文体の賛文が墨書されており、像主を明らかにすることができる。賛文は、『黒谷上人語燈録』巻第九にとりあげられている「類聚浄土五相伝」(『浄土宗全書』第九巻所収)の文章を抜き書きしたものである。ただ、道綽像の賛文の第六行目にある「白毫」の語は、原文中にはない。書体は、曇鸞像が楷書、懐感・少康は草書、道綽・善導がその中間の行書体で書写されており、鑑賞時の効果をねらったものと思われる。また、顔の表情も中央の曇鸞像が老年、道綽・善導が壮年、懐感・少康が若年の相を表しており、五幅並べた際それぞれで変化を与えている点が興味深い。この五幅は、正面向きに描かれた曇鸞像を五幅の中央に置き、向かって右に道綽像・懐感像、向かって左に善導像・少康像を、それぞれ中央に向かうように配置する。こうした浄土五祖像としては、福岡県善導寺の五幅本、京都府二尊院、京都府安養寺の一幅本が知られている。二尊院本においては、各々の祖師の名が記されていないが、二尊院本の像の持物や印相が曼陀羅寺本と一致するので、像主を決めることができる。この二尊院本と比較すると、曼陀羅寺本は侍者がいなくなり、細部表現が穏やかになっており、中国請来の何らかの原本を南北朝時代に転写したものと考えられる。像の表現は、よく中国風を残してはいるが、特に曇鸞をのぞく四祖師像の椅子は、背もたれや手すりの位置が不自然であり、原本とは考えにくい。浄土五祖を描いたものとしては、他にも神奈川県光明寺や大阪府藤田美術館などにある浄土五祖絵巻があり、肖像画の作例とあわせて検討すれば、さまざまな問題を提供する極めて貴重な作例といえる。

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