分類 | 国・重要文化財 |
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種別 | 絵画 |
所在地 | 安城市野寺町 |
所有者等 | 本證寺 |
指定(登録)年 | 大正7年(1918) |
時代 | 鎌倉末~南北朝 |

絹本著色聖徳太子絵伝
十幅 縦162㎝、横93㎝
聖徳太子の生涯を描いた絵伝である。現存する聖徳太子絵伝のうち、全十幅構成と最も員数が多く、内容・質ともに充実した、中世成立の聖徳太子絵伝の傑作である。本作品は、第一幅下段の母后の入胎・誕生から、第十幅の上宮王家滅亡まで、太子の生涯がほぼ遺漏なく盛り込まれ、その内容はおおむね『聖徳太子伝暦』にのっとっている。画面上での配置は、基本的に下から上へ、蛇行するように、編年的に展開している。ただし、第五幅のみ、十六歳「守屋合戦」、二十七歳「熊野・大峯社参詣」、三十一歳「厳島縁起」、「白馬寺道士勝負記」(十七歳の別伝)といった、変則的な構成になっている。加えて、第三・五幅に「守屋合戦」が重複して描かれていること、第五幅のみ絵画様式に違いが認められることなどから、実は当初は、同寺所蔵の善光寺如来絵伝のうちの一幅として制作されたものが、のちに何らかの手違いで太子絵伝に混入してしまった可能性がある。他にも本證寺には、かつて同寺に存在した太子堂の本尊であった孝養太子像(鎌倉末期)も残されており、ほぼ同時期に制作された太子信仰の産物として、その関連性が注目される。