愛知県の国・県指定文化財と国の登録文化財

トップページへ戻る

金地著色秋草鶉図〈六曲屏風〉(きんじちゃくしょくあきくさうずらず)

分類 国・重要文化財
種別 絵画
所在地 名古屋市博物館
所有者等 名古屋市
指定(登録)年 昭和13年(1938)
時代 江戸

六曲一双 紙本金地着色 各151.5×354.5cm
薄と鶉のみをモチーフにした六曲屏風一双である。鶉は 向かって右隻では 第2扇に雛7羽と親鳥2羽がつどい、第3扇に羽を広げた姿の1羽が、第五扇に下を向いて啄む2羽と振り返る1羽がいる。これらすべては、薄野原をそこだけ切り開くようにして描かれる。一方左隻では、右第1扇の下方を大きく開けた空間に餌を啄む4羽、第2扇に頭と首を上に伸ばした姿勢の2羽と地面に頭を着けた姿勢の1羽、第3扇には正面から見た姿や地面に這った姿、後ろを振り返った姿、首を縮めた姿と様々のポーズで6羽が群れている。こちらも薄野原に空隙を作り描く。これらの鶉の形態は、中国から入ってきた南宋院体絵画(特に伝李安忠筆といわれるもの)の中の鶉の形態から写されたと思われる。他方、薄はこれらの鶉たちを視界から十分遮るような背丈の高さに伸びたおおきな群にして表現されて画面に強い存在感を与えている。しかし、実は薄1本1本を繊細な線で描写したものの集まりである。薄野原は、同一方向に繰り返される曲線群が左右反対方向にそれぞれ相似的な曲線群を作り、それらの重なりが曲線美を醸し出し、全体としては大きな量塊性を作り出している。金地に薄の緑と鶉の茶系の色とに色彩が抑えられて、効果的に線の塊と鳥の姿の小さな丸い塊の対比が表現されている。さて、鶉の群のいる金地の他に殆んど余白をつくることなく描かれている薄の群が 鶉を取り巻いて前景の群と後景の群の2つに分かれ、画面空間に奥行きを形成している。ここに桃山時代的な空間作りを保持していると考えられる。

前へ戻る