愛知県の国・県指定文化財と国の登録文化財

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絹本著色千手観音二十八部衆像(けんぽんちゃくしょくせんじゅかんのんにじゅうはちぶしゅうぞう)

分類 国・重要文化財
種別 絵画
所在地 名古屋市博物館(寄託)
所有者等 護国院
指定(登録)年 平成8年(1996)
時代 鎌倉

一幅 縦147.2㎝、横69.5㎝
山水を背景として千手観音像を中央に、その周囲に二十八部衆像及び風神・雷神像を描いた画像である。千手観音像は四十二本の手をそなえ、頭頂に十一個の面と一体の化仏を載せる。四十二本の手はそれぞれ、持物を持つか、印を結んでいる。千手観音二十八部衆像の作例は、京都府妙法院本、滋賀県常楽寺本、京都府清水寺本堂本、京都府清水寺本などの彫刻の例、京都府禅林寺本、滋賀県大清寺本、東京国立博物館本(広田松繁氏寄贈)、東京国立博物館本(仏画写経貼交屏風)、京都府智積院本などの絵画の作例、京都府妙法院千手観音像像内納入品のうち版画の作例などが主なものとしてあげられる。本図の図像は、京都府智積院本とは、かなり細かいところまで図像が一致する。千手観音像は、特に絵画においては、四十二手の持物・印相や眷属の持物・印相などが改められることなく残っていることが多く、図像的系統を研究する上で重要である。本図の千手観音像は、肉身・着衣とも金色に表す悉皆金色の表現で表され、肉身は朱線で描き起こされる。持物や装身具は、彩色と細い墨線で表される。眷属も彩色及び金泥で表され、墨線で描き起こされる。全体に細密で精緻な優れた絵画表現がみられる。背景は、山岳・水流・樹木湧雲などで表され、湧雲や山岳の隅取りを金泥で表している。謹厳で細密な像表現に比較して、山水表現は柔らかながらも神秘的な雰囲気がよく表されており、山水も大変優れている。全体的にみてみると的確で優れた出来であり、鎌倉時代十三世紀の作としてよいものと思われる。護国院は真言宗智山派に属しているが、本図と同図像の画像が本山の智積院に伝わっていることもなかなか興味深い点である。本図は、他の千手観音画像と比較しても図像及び様式・技法の点で大変優れており、千手観音像の研究には不可欠の重要な作例といえよう。

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