
全景
■指定理由
この無縫塔は、長慶寺の開山である南山和尚の墓標である。和尚は士雲といい、後に鎌倉建長寺、さらに京都東福寺に移り建武2年(1335)歿した。
それぞれの寺には無縫塔が残されており、この塔もそれらにならって建立されたと考えられている。
■詳細解説

「開山」
この無縫塔は長慶寺の開山である南山和尚の墓標である。和尚は士雲といい、後に鎌倉の建長寺、さらに京都の東福寺に移り建武2年(1335)に没した。それぞれの寺には石材が異なる無縫塔があり、長慶寺の無縫塔は、建長寺、東福寺のそれぞれの塔を参考として造られたと考えられる。
塔身は高さ22cmと背の低い卵形であり、下に単弁と小花付きの円形の請花(うけばな)を置いている。その下は塔身を受ける円形の座と中台との接着面にも円形の座を設けている。
中台は上部に16葉の複弁を彫刻した八角形をしており、竿石は八角形で正面に「開山」と彫刻された2字がみえる。
基礎は八角形で、短い足がつき、上部に8弁の複弁と角に単弁の返花を彫刻し、側面は格狭間(こうざま)とする受け座を造っている。
京都、鎌倉の作風を受け継ぎながら、硬い砂岩という材料の性質を巧みに利用して作られたものであり、完全な形で残っている全国的にも珍しい作品である。(『愛知の文化財 上巻』『愛知県史 別編建造物・史跡』参照)