愛知県の国・県指定文化財と国の登録文化財

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内々神社社殿(うつつじんじゃしゃでん)

分類 県指定
種別 建造物
所在地 春日井市内津町24
所有者等 内々神社
指定(登録)年 平成8年(1996)
時代 本殿・幣殿 文化7年(1810)、拝殿 文化10年(1813)

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拝殿

拝殿

■指定理由

内々神社は、景行天皇の代の創建と伝え、延喜式にも記載される名社である。
拝殿、本殿には、装飾豊かで立体的な、丸彫りや浮き彫りの彫刻が多く用いられており、この社殿の特徴となっている。

■詳細解説

向拝

向拝

本殿

本殿

本殿側面

本殿側面

内々神社は延喜式神名帳にも記載された神社で、日本武尊がこの地で建稲種命の訃報を聞いて「うつつかな」と悲泣し、その霊を祀ったのが当社であるとも伝える。現在の社殿は棟札によって、本殿・幣殿が文化7年(1810)、拝殿が同10年(1813)の再建であることが知られる。大工は信州諏訪の立川富棟・富之・富方を招いて造営に当たらせている。
拝殿は桁行3間、梁間3間、入母屋造、銅板葺(もと檜皮葺)で、正面に千鳥破風(ちどりはふ)と1間の唐破風(からはふ)向拝を付ける。この向拝には象や獅子、鳳凰、波に亀、龍などの立体的な彫刻を多用して豪華に飾り、見せ所としている。特に向拝と身舎を繋ぐ昇り龍・降り龍の彫刻は見ごたえがある。主屋の柱は円柱で、四周に縁を設け、室内を前方の奥行2間と後方の奥行1間に二分し、手前の室を格天井、奥の室を鏡天井とする。
幣殿は桁行2間、梁間1間、切妻造、銅板葺(もと檜皮葺)で、前方は拝殿の背面中央に、後方は本殿の庇に取り付く。
本殿は身舎の梁行を2間とする大型の三間社流造で、現在の屋根は銅板葺とされているが、もとは檜皮葺であった。四周に縁を設け、縁の腰組を支える組物に手先が三つ前へ出る三手先斗きょう(みてさきときょう)を用いる。身舎の柱は円柱、正面庇の柱は几帳面取(きちょうめんとり)角柱とし、本殿庇にも象・獅子・植物の彫刻を用いて飾る。身舎柱上には二手先斗きょうを置き、斗きょう間には雲・波の彫刻を嵌め込み、斜め前方へ出る尾垂木も波形の彫刻(隅では龍頭の彫刻)としている。側面の妻飾(つまかざり)には二重の虹梁を渡し、この間に鶴亀と仙人や力士の彫刻を置き、周りには雲の彫刻を充たしている。
この社殿の建立に携わった信州立川流の大工は、彫り物を多用した作風によって近世中期以降次第に名声を広めていき、山梨・静岡・岐阜・滋賀・京都などにも作品を残している。内々神社の社殿は、装飾豊かで立体的な丸彫りや浮彫りの彫刻を数多く用い、立川流の作風がよく表現されており、一連の立川流の作品の中でも質の高いものであるといえる。(岩田敏也)

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