
正面
■指定理由
鳳来寺は、白鳳元年(673)の創建と伝えられるが、江戸時代には、三代将軍徳川家光の命により、伽藍の整備と東照宮の造営が行われている。 現存する仁王門は、慶安4年(1651)に再建された、三間一戸、入母屋造の楼門であり、屋根は銅板葺(本来は檜皮葺)となっている。中央の柱間を通路とし、両脇前方の一間四方に仁王像を祀る。
■詳細解説

上層
鳳来寺は寺伝によると、白鳳元年(673)に創立され、大宝3年(703)に御堂の造営があったという。中世には源頼朝、江戸時代には徳川家康の帰依を得るが、元和6年(1620)の火災によって多くの堂宇を焼失した。その後、寛永2年(1625)に本堂再建を果たし、慶安元年(1648)には徳川家光によって東照宮造営が命じられ、翌年には楼門などの再建も着手された。現存する仁王門は、慶安4年(1651)の完成、大工は浜松大工山崎七郎兵衛である。
仁王門は三間一戸、入母屋造の楼門で、屋根は現在銅板葺(もと檜皮葺)である。下層の柱は円柱で、中央2本の柱を上層まで立ち上げる。通路となる中央柱間は扉を設けず開放とし、両脇前方の1間四方に仁王像を祀る。柱上には手先を三つ前に出す三手先斗を載せ、斗
間の中備(なかぞなえ)には虎や獅子、麒麟等の彫刻を入れた蟇股(かえるまた)を配す。上層の柱上には尾垂木付きの三手先斗
を置き、正・背面の中央柱間に板扉を入れ、他は連子窓(れんじまど)とする。全体に丹塗を施した形の整った楼門である。(岩田敏也)