分類 | 国・指定文化財 |
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種別 | 建造物 |
所在地 | 稲沢市大塚南1-33 |
所有者等 | 性海寺 |
指定(登録)年 | 昭和44年 |
時代 | 本堂:慶安(1648~51) 宝塔:弘安4年頃(1281) |
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本堂
■指定理由
性海寺本堂は、桁行三間、梁間三間の入母屋造で、屋根はこけら葺とする。正面扁額に慶安元年(1648)の再建と記されるが、内部来迎回りと須弥壇、天井の部分には、鎌倉時代の遺材を利用している。須弥壇上の羽目板裏には、弘安4年(1281)の墨書が認められる。
宝塔は総高2.6m余の小塔ではあるが、こけら葺で、細部まで精巧な作りとなっており、鎌倉時代末の優作である。
■詳細解説

宝塔
本堂
寺は大塚山と号し、真言宗智山派に属し、一光三尊善光寺阿弥陀如来・愛染明王を本尊とする。寺伝によれば、弘仁年間(810~24)に弘法大師によって創立されたとされる。江戸時代には尾張藩主徳川義直より寺領100石が寄進され、慶安元年(1648)に本堂が再建された。明治24年(1891)濃尾地震で本堂大破したが、その後修復を行っている。本堂は、桁行3間、梁間3間、入母屋造、向唐破風の1間向拝付、こけら葺の建物である。間取りは、内部を一室の空間としている。堂周囲は縁長押、敷居・鴨居、内法長押を巡らし、柱上に三斗(みつど)をおき、中備(なかぞなえ)を間斗束としている。堂正面は、中央柱間では方立を立てて双折桟唐戸を吊り、両脇柱間では蔀戸(しとみど)を吊っている。内部は、床を拭い板敷、天井を小組格天井とし、側柱上部では飛貫位置に長押を巡らし、天井折上げには蛇腹支輪(じゃばらしりん)を用いず連子(れんじ)を入れている。中央後方には、来迎柱を立て、その前に擬宝珠高欄付(ぎぼしゅこうらんつき)の禅宗様須弥壇をおき、和様の格狭間をはめている。
宝塔
当寺は大塚山と号し、真言宗智山派に属し、一光三尊善光寺阿弥陀如来・愛染明王を本尊とする。創立は、弘仁年間(810~24)に弘法大師によって開かれ、建長年中(1249~56)に熱田神宮家出自の良敏が中興開山となり、本堂、灌頂堂、護摩堂、鐘楼、山門、多宝塔などを建立し、本堂内の須弥壇には「弘安四年八月一六日」の墨書があり、宝塔は弘安4年(1281)頃の建立と考えられている。慶安元年(1648)に本堂が再建され、寛文3年(1663)に須弥壇ならびに宝塔の塗替が行われている。宝塔は、総高。2.6m、胴径0.77m、蓮座径1.2m、上層の柱間0.44mの中規模の塔婆である。塔身は、縁長押と内法長押を廻らして正側3面に両開き板扉を吊り、内法上では塔身上端を亀腹形に造り出し、組高欄付の落縁を巡らしている。亀腹には12本の円柱を立て、4面に両開き板扉を吊り、台輪長押を巡らし、尾垂木付の四手先斗を配している。宝塔は黒漆塗とされ、尾垂木木口、軒付木口に白土を塗り、相輪、宝珠、風鐸などには鍍金を施している。(杉野 丞)