分類 | 国・登録文化財 |
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種別 | 建造物 |
所在地 | 西尾市亀沢町474他 |
所有者等 | 西尾市 |
指定(登録)年 | 平成11年(1999) |
時代 | 西尾市岩瀬文庫書庫:大正8年(1919)頃 西尾市立図書館おもちゃ館:大正14年(1925)頃 |
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西尾市岩瀬文庫書庫東側面
■登録理由
西尾市岩瀬文庫書庫
地元出身の豪商岩瀬弥助が、収集した蔵書を市民に閲覧できるようにつくった文庫の書庫として建てられた。煉瓦の外壁を基調に窓の上部や窓台等にアクセントとして石材を用いた外観はよく整っている。内部は木組みで柱を立て3層に床を張り蔵書を納めている。
登録の基準 | 造形の規範となっているもの |
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西尾市立図書館おもちゃ館
岩瀬文庫の児童館として建てられた。木造平屋建の小規模な洋風建築で、下見板貼りの外壁、ハーフティンバー風の妻飾、縦長の上下窓等に特徴がある。児童用の施設にふさわしいデザインで、現在も児童用の施設として使われている点にもみどころがある。
登録の基準 | 造形の規範となっているもの |
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■詳細解説

西尾市岩瀬文庫書庫正面入口

西尾市立図書館おもちゃ館見南西側

同正面(北東側)
西尾市岩瀬文庫は、4代目岩瀬弥助によって明治末期に創設された私立図書館に始まる。岩瀬弥助は肥料商で稼いだ資金を土地と株式に投資し、財をなした。こうした経済活動の一方で、住民に公開する図書館の設立を思い立ち、私財を投じて、明治41年(1908)岩瀬文庫を開館した。さらに大正年間に岩瀬文庫は増設されたが、この時に、貴賓室、書庫、児童館などが建築された。
岩瀬文庫書庫は、桟瓦葺、寄棟造、煉瓦造、地下1階地上3階建。小屋組はトラス構造。内部は木組みで柱を立て、3段に床を張り、地下を含め全体で4層の書庫としている。元愛知県技師・西原吉治郎の設計で、大正8年(1919)頃に完成。
煉瓦造の赤い色を基調とし、窓の上部の要石、隅石、さらに窓台などの白い色が、外観のアクセントとなっている。書庫の開口部には防火と防犯のために鉄製の扉が取り付けられている。小規模ながら、地域の歴史を物語る貴重な建物である。
西尾市立図書館おもちゃ館は、大正期に増設された岩瀬文庫児童館を転用したもの。切妻屋根の先端を斜めに切り落とした半切妻造屋根を持つ小規模な瓦葺木造平屋建。竣工は大正14年(1925)頃。
基礎を石積、外壁下部を竪板張とし、中間部は下見板張、その上部を白壁とし、それらの境は色付きの柱、梁などで仕切り、屋根瓦を青瓦とする。これらが、おもちゃ館の外観上の特徴となっている。
内部には、大小2室があり、腰壁部分には歴代西尾城主の家紋入瓦が埋め込まれている。内壁上部はモルタル塗。設計は、書庫と同じ建築家の西原吉治郎。(瀬口哲夫)