分類 | 国・登録文化財 |
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種別 | 建造物 |
所在地 | 一宮市三条苅2 |
所有者等 | 三條神社 |
指定(登録)年 | 平成19年(2007) |
時代 | 昭和4年(1929)/昭和22年(1947)頃移築 |
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外観
■登録理由
三條神社境内、本殿の近い位置に並行して建つ。桁行2.9m、梁間2.3m、入母屋造妻入銅板葺とする。長押が廻り、柱上に舟肘木、一軒疎垂木という木造意匠をコンクリート造で表現する。当初の姿を伝えるコンクリート造の奉安殿である。
登録の基準 | 造形の規範となっているもの |
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■詳細解説
「起第二尋常小学校沿革誌」によると、この奉安殿は昭和4年(1929)11月30日に後援会の寄付により落成したとある。戦後、奉安殿の撤去命令が出されて他の多くは取り壊されたが、この建物は地元関係者により三條神社境内、本殿の近い位置に移された。正確な移転時期は必ずしも明確ではないが、昭和21年(1946)1月15日に御真影(ごしんえい)が奉還されており、それ以降と記すのが適切と思われる。
建物外観は神社本殿に類するデザインで、桁行2.9m、梁間2.3m、入母屋妻入銅板葺の形式をとるが、神社建築で用いられる千木(ちぎ)や勝魚木(かつおき)などは有しない。奉安殿本体の壁、天井の構造は鉄筋コンクリート造であるが、表現はあくまでも木造で、設計に尺寸法を用いるなど、近代技術と伝統意匠との組合せが見られる。柱上には舟肘木(ふなひじき)、軒は一軒で疎垂木(まばらたるき)、妻飾は豕扠首(いのこさす)で、猪の目懸魚(げぎょ)を持つ。
奉安殿内部奥に御真影と教育勅語が収められていた木造の厨子がそのまま設置されている。高さ方向は床から天井いっぱいに造られていた。左右には20cmほどの余裕がある。厨子正面には両開き板扉があり、上下に端喰(はしばみ)を入れ、手先に定規縁(じょうぎぶち)を付ける。
当初の姿を伝えるコンクリート造の貴重な奉安殿である。(野々垣篤)