
全景
■登録理由
湊町公園の池中の築島に建つ、三間社入母屋造向拝付。屋根は本瓦葺である。三方に擬宝珠高欄付の縁がめぐり、木階3級がつく。外陣は吹放ちで格天井を草木画で飾り、内陣正面に格子戸をたて込み、背面に内々陣を突出する。組物は平三斗実肘木、二軒繁垂木とする。
登録の基準 | 国土の歴史的景観の寄与しているもの |
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■詳細解説

外陣の格天井
湊神明社の築島弁天社は、旧吉田城から豊川沿いを約500m下った湊町公園内の池の中の島にある。湊神明社自体の創建は白鳳期にさかのぼると言われるが、弁天社は戦国時代に琵琶湖の竹(ちく)生島(ぶしま)から弁財天を勧請し、後の1683年(天和3)に神明社境内に建立されたことに始まる。弁天社に残る棟札から1795年(寛政7)の建造とされる。明治初期、廃仏毀釈により弁天社には市(いち)杵島(きしま)姫(ひめの)神(み)命(こと)が祭られ、市杵島社と改名されたが、第二次世界大戦後に旧名に戻し築島弁天社と呼ばれている。
弁天社は、単層、入母屋造、本瓦葺の三間堂で、正面に向拝、正面と側面に欄干付きの縁を廻している。身舎(もや)の内部は前後に二分し、外陣と内陣としている。床は両陣とも板敷、天井は外陣が格(ごう)天井、内陣は棹縁天井とする。また、内陣背後には厨子を安置するための張出が付いている。外陣の格天井には、吉田藩御用絵師であった稲田文笠とその一門による四季折々の草木が描かれた絵がはめ込まれている。