愛知県の国・県指定文化財と国の登録文化財

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森川家住宅主屋・書院・土蔵(もりかわけじゅうたくしゅおく・しょいん・どぞう)

分類 国登録
種別 建造物
所在地 一宮市大和町苅安賀字北川田1159
所有者等 個人
指定(登録)年 平成20年(2008)
時代 主屋:安政2年(1855)/明治2年(1869)改築
書院:明治35年頃(1902頃)
土蔵:昭和初期

※ 別ウインドウで開きます

主屋外観

主屋外観

■登録理由

主屋

街路に北面して建つ木造つし2階建の町家である。間口7間の平入で、切妻造桟瓦葺とし、正面に瓦葺庇が付く。正面1階は東に戸口を設け、西に格子を構える。2階は軒が出桁造で、両端に袖卯建、窓に格子を付ける。間口が大きく街路景観を特徴づける。街路に北面して建つ木造つし2階建の町家である。間口7間の平入で、切妻造桟瓦葺とし、正面に瓦葺庇が付く。正面1階は東に戸口を設け、西に格子を構える。2階は軒が出桁造で、両端に袖卯建、窓に格子を付ける。間口が大きく街路景観を特徴づける。

登録の基準 国土の歴史的景観の寄与しているもの
書院

主屋南側縁の西端に接続する、木造平屋建の離れ座敷である。桁行4間半梁間3間で、寄棟造桟瓦葺とし、庭に面した東面と南面には銅板葺庇の広縁が付く。座敷は2畳の上段を設けた11畳半で、次の間10畳が続く。北面の下屋に茶室と水屋を付設する。

登録の基準 国土の歴史的景観の寄与しているもの
土蔵

主屋西面に蔵前を介して接続する土蔵造2階建で、北側街路に妻を見せて建つ。桁行7.6m梁間4.7mで、切妻造桟瓦葺。外壁は白漆喰仕上げで、高く下見板を張る。小屋組は登梁である。東の蔵前に戸口、南妻に庇付窓を開く。主屋とともに街路景観を形成する。

登録の基準 国土の歴史的景観の寄与しているもの

■詳細解説

書院外観

書院外観

土蔵全景

土蔵全景

主屋

森川家住宅は、一宮市内を東西に延びる巡見街道沿いに位置する。江戸時代、森川家は、苅安賀村の有力地主の一つで、天保年間~明治末期には酒造業を営んでいた家柄である。
森川家住宅の主屋は、街道に面して建ち、向かって右手に土蔵、主屋と直角に書院を配す。主屋と書院に面して庭を持つ。この他、複数の建物がある。現在でも森川家住宅は、間口が大きく町並み景観を特徴付ける重要な建造物となっている。
特に、森川家第21代の勘一郎(1887~1980)は、如春庵(ニョシンアン)と称し、明治後期~昭和にかけての中京地区を代表する茶人として知られる。現在は移築されたが、茶室「舒嘯(じょしょう)庵(あん)」(江南市に移築:市指定文化財)や「如春庵」(名古屋市緑区に移築)を敷地内に構えていた。
主屋は、木造つし2階建、切妻造、平入、桟瓦葺の町家で、桁行7間、梁行(上屋)6間の規模を持つ。2階は柱貫を見せる尾張に多い形式で、袖壁を持つ。1階東の戸口には潜戸(くぐりど)を組み込んだ大戸を付け、西側に出格子を構える。
内部は、東側に玄関土間、ニワ、勝手土間とつながり、それぞれは仕切られる。土間の西側に2列6室を並べる。土間側の3室は、道路側から8畳の玄関の間、6畳の中の間、10畳の板の間と続く。その西側の3室は、道路側から8畳、6畳の仏間、10畳の座敷がある。座敷は長押(なげし)を廻し、棹縁天井とし、座敷飾は床の間と天袋を持つ床脇からなる。主屋西側に土蔵を配する主屋と土蔵の間に蔵前を設ける。棟札から、建築年代は1855年(安政2)とされ、1869年(明治2)の改築により棟木を後退させ、2階全体の天井高を確保したとされる。

書院

主屋の南西隅に直角に接続する木造平屋建、寄棟造、桟瓦葺の離れ座敷で、東側の庭に面する。1902年(明治35)の建築と伝わる。内部は、主屋側から、水屋を備えた6畳の茶室、10畳の次の間、11畳半の残月の間と並べ、廊下を矩折(かねおり)に付ける。残月の間は2畳の上段床を持ち、床の中に付け書院を配す。地袋のある床脇がある。表千家内にある残月亭を意識したものといわれる。次の間にも床の間、違い棚を設ける。茶室の天井は2段構成とし、表千家好みの原叟床(げんそうどこ)を置く。

土蔵

敷地の北西角にある土蔵は、東側の主屋と連続し、町並みを構成する。道路側に対し、妻壁を見せる土蔵と平入の主屋は形態的に対照的である。
土蔵は、切妻造、桟瓦葺、土蔵造の2階建で、桁行4間強、梁間2間半で1、2階とも1室である。土蔵の出入口は2ケ所あるが、主屋に隣接する平側の出入口は、蔵前の板の間につながる。 主屋からは基礎は石積、1階部分は下見板張り、2階部分は白漆喰塗り。建築年代は昭和初期頃と伝わる。

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