愛知県の国・県指定文化財と国の登録文化財

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墨会館(すみかいかん)

分類 国登録
種別 建造物
所在地 一宮市小信中島字南九反11-1
所有者等 一宮市
指定(登録)年 平成20年(2008)
時代 昭和32年 (1957)

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全景

全景

■登録理由

丹下健三設計のRC造事務所建築。台形敷地北辺の2階建事務室棟と南半の平屋建ホール棟を玄関車寄で接続する。1階外壁は非構造体で、上端にスリットを入れて採光とする。ダブルビームの大梁、打放しコンクリートなど、丹下の初期作品の特徴が見られる佳品。

登録の基準 造形の規範となっているもの

■詳細解説

外観(南から)

外観(南から)

墨会館とノコギリ屋根の工場

墨会館とノコギリ屋根の工場

車寄(北東から)

車寄(北東から)

外観(北西から)

外観(北西から)

艶金(つやきん)興業株式会社の事務所である墨会館は、1957年(昭和32)8月に竣工した。設計は、当時東京大学工学部建築学科助教授であった丹下健三。艶金興業株式会社は、墨宇吉(スミ・ウキチ)により明治22年(1889)、旧中島郡起村に艶打ちを主とした艶屋として起業したことに始まる。その後、濃尾大地震後の明治26年(1893)に旧小信村に移ったが、そこが墨会館の敷地である。
敷地はノコギリ屋根の工場に隣接しているため、1階部分全体は、わずかの窓がうがかれたコンクリート壁で囲まれ、外部に対して閉鎖的にしている。また、周壁上端と屋根部分との間に水平スリットを入れ、外周壁部分は荷重を支えない構造としている。
敷地は斜辺を西側に北東角を直角とした三角形であるが、北西角の一角を神社の敷地とし、角を丸めた台形になっている。敷地北側に事務室ブロック、南側に集会室ブロックを配し、両ブロック間は色付きテラカッタグリルの障壁で東西に分ける。その東側に玄関車寄、西側に芝生の中庭がある丹下作品の同時期の倉吉市庁舎や香川県庁舎と同様な空間性を示している。閉鎖的な外部に対して、外部内部空間は開放的である。
伝統を踏まえたコンクリート構造表現を追求した、建築家・丹下健三の代表的建築のひとつといえる。

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