分類 | 県指定 |
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種別 | 工芸 |
所在地 | 名古屋市博物館 |
所有者等 | 名古屋市 |
指定(登録)年 | 昭和59年(1984) |
時代 | 鎌倉後期 |

灰釉魚波文四耳壷
高さ31.6㎝ 口径11.5㎝ 底径11.2㎝ 最大胴径12.8㎝
中世瀬戸窯では、中国陶磁の器種を積極的に写し取っているが、この四耳壷も中国製の白磁四耳壷を模してつくられたものであり、その制作年代は鎌倉時代末期と推定される。この時期の成形方法は、粘土紐輪積みによってあらかたの形につくり、その後轆轤(回転台)にのせて外面を仕上げている。
この四耳壷の胴部に描かれている魚波文は、魚の輪郭と鰭・鰓蓋は画花(釘やヘラ・櫛で文様を描く)の手法が用いられ、目と鱗は竹管を用いた印花文であり、また波文は櫛を用いて描かれている。器面全体に灰釉が施されており、肩から胴にかけて垂下している黄緑色の灰釉の濃淡は、端正なこの四耳壷にアクセントを添えている。
岐阜県揖斐郡揖斐川町清水山の中世墓から、蔵骨器として発見されたと伝えられる。通常の蔵骨器と同様、この四耳壷も下胴部と高台の一部が割られ、孔があけられているが、安定には影響はない。
今日までに魚文が描かれている瀬戸窯製品は数例が知られているが、この四耳壷はそれらの中でも優美なものに属する。