愛知県の国・県指定文化財と国の登録文化財

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陶製瀬戸鉄釉狛犬(とうせいせとてつゆうこまいぬ)

分類 県指定
種別 工芸
所在地 名古屋市博物館(寄託)
所有者等 伊勝八幡宮
指定(登録)年 昭和60年(1985)
時代 室町
陶製瀬戸鉄釉狛犬

陶製瀬戸鉄釉狛犬

阿形 高さ31.5㎝ 台の幅14.0㎝
    台の長さ17.2㎝
吽形 高さ33.2㎝ 台の幅14.2㎝
    台の長さ17.0㎝
時代室町時代(15世紀前期)
阿・吽ともに台座裏に「應永廿五戊戌歳十二月朔日熊野願主浄通」(1418)の墨書銘がある。
瀬戸窯で狛犬を焼造し、それが神社に奉納されるようになるのは鎌倉時代後期以降である。鎌倉時代に製作された狛犬で、現在保存されているものをみると、その面貌は獅子とも虎・猿ともみられる不思議なものである。製作手法は、頭部と衿・胸に紐状の粘土を貼り付け、箆描によって髪や衿毛を表わしている。また、目は瞳が入れられ、吽形の狛犬の頭部には、角が生えている。釉薬は灰釉や鉄釉が施されてる。体は蹲居していて、後ろには1本の先細りの尾が付けられている。
本狛犬の面貌は、山犬または狼を思わせる威厳のある顔つきに、鋭い瞳眼をつけた目をしている。髪と衿毛(左右に分かれる)の部分は、素地を髪の部分だけ盛りあげ、櫛描によって毛髪を表現している。吽形の頭には一角、阿形の頭には角はない。全体によく調和のとれた器形で、阿形・吽形ともに尾は2本に分かれ、1本が右巻き、1本が左に巻いている。いずれも鉄釉が施されていて、鉄釉の厚い部分は深みのある黒色、薄い部分は黒禍色に発色していて美しい。
室町時代に焼造された狛犬では、唯一の墨書銘があり、数多く焼造された瀬戸窯焼造の狛犬の年代基準資料として貴重なものである。また、保存状態もきわめて良好であって、伝世されている狛犬のうちでも、第一級の基本資料とすることができる。

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