愛知県の国・県指定文化財と国の登録文化財

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雲版(延文3年在銘)付 鉄製吊手(うんぱんえんぶんさんねんざいめい)

分類 県指定
種別 工芸
所在地 津島市今市場
所有者等 興禪寺
指定(登録)年 昭和63年(1988)
時代 南北朝
雲版(延文3年在銘)付 鉄製吊手

雲版(延文3年在銘)付 鉄製吊手

付 鉄製吊手
形状 縦42.7㎝ 横39.5㎝ 重さ6.6㎏
吊手 車輪形、外径3.2㎝
撞座 複弁八葉の蓮華文、径3.4㎝
刻銘 (表面)萬福禅寺 住持 承曇 延文三 十月 日
    (裏面)以大撞余分鋳焉
銘にある「萬福禅寺」、「承曇」、「以大撞余分鋳焉」等について、現所有者の興禅寺と直接結びつく資料が残っていないので、この雲版がどのような経路で当寺に移ってきたのかは判明しない。創建当時、萬福寺と称した愛西市赤目町の一心寺や長野県小諸市の萬福寺は、創建年代が雲版銘より下るので合致しない。ただ、豊橋市嵩山町にある貞和3年(1347)創建の臨済宗萬福寺の「阿弥陀堂由来」、「大模範和尚古鐘之銘」によると、この寺の近くにあった管絃堂の大鐘が野火にあい、音声が衰えてしまったので、1尺8寸の梵鐘に鋳換え、その際余分の銅で雲版等を造ったという記録が残っている。しかし、これが本雲版であるという証明は難しい。
延文3年(1358)の紀年銘は、既に県指定になっている吉良町海蔵寺雲版(1339年)、西尾市養寿寺雲版(1395年)の中間にあたり、古様をよく留めている。
形は円形に近く、よく整った形状をしており、腰部は浅めの繰込みになっている。吊手は放射状線が2本ずつ組になった車輪形で、撞座は複弁八葉の蓮華文となっている。また、花先頭部は鶏頭形となっている。
鋳造手法の特徴として、鋳型の亀裂によるものと思われる張や皺が雲版の表面にみられる。これらの特徴は、前記2寺の雲版にもみられ、三河から遠江にかけて活動した中世鋳物師の技法の傾向であろう。
吊手孔、撞座とも丹念に作られ、製作技法も良好で、数多い県内所在の刻銘雲版の中でも優品とみることができ、県内の貴重な文化財として指定し、保存する価値をもつものと判断される。

付 鉄製吊手
長さ28.5㎝、太さ1.2㎝の鉄角材を打って、両先端をまるめ、角の部分に捻りをつけ、90°の角度差をつけて吊り下げるよう工夫されている。雲版の付属品として永く保存されている。

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