中晩柑類には、温州みかんにはない香り、風味があります。栽培しにくい品種もありますが、中晩柑類の栽培に挑戦してみませんか。
写真 中晩柑類「はるみ」
最近注目されている中晩柑には、隔年結果性が強いこと、まだ登録を受けて間もないことから、十分に栽培技術が確立されていないものもあります。しかし、糖度が高く食味のよいものが多くあり(第1表)、栽培に挑戦する価値は十分にあります。
今回は、特に蒲郡で産地化が進む「はるみ」の栽培、販売する際のポイントを紹介します。
「はるみ」には、温州みかんとは異なった特性があります。この特性を理解して栽培することが必要です。
果皮が弱く傷がつきやすいので、風当たりの弱いところが適しています。土壌については、水持ちがよくなおかつ水はけのよいほ場が最適です。また、土壌乾燥に弱いため、かん水ができるほ場がよいでしょう。温州みかん以上に適地が限られるので注意が必要です。
摘果は、生理落果の終わる6月下旬から7月上旬に行います。摘果の程度は葉果比100(葉100枚に対して一果)を目安にします。結実性がよいため、摘果が遅れると小玉になりやすいので注意しましょう。
「はるみ」の施肥体系は第2表のとおりです。 収穫後に液肥の葉面散布を行うと、寒さによる落葉を防ぎ樹勢回復を図ることができます。
かいよう病に弱いため、発芽前(3月)、開花前(4月下旬から5月上旬)の防除が重要です。 害虫では、訪花昆虫、アザミウマ類に注意が必要です。開花期とそれ以降の定期的な防除が必要になります。
収穫は1月中下旬頃に行います。
収穫後は酸含量が下がるまで貯蔵します。貯蔵する場合の条件は、温度4〜6℃、湿度80〜85%が目安になります。果皮が弱く傷みやすいため、貯蔵中、腐敗した果実は適宜取り除きましょう。
貯蔵庫から出して販売するのは、2月上旬頃からになります。このとき、酸含量に注意してください。小さな果実ほど酸含量が高いので、販売は大きな果実から行う方がよいでしょう。一方、大玉で果皮の粗い果実は糖度が低く品質が悪いため、「はるみ」のイメージを損ないかねません。果皮の滑らかな果実の販売を心がけましょう。
農林水産部農業経営課普及・営農グループ
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