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愛知県農業総合試験場

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バラ養液栽培における多孔質セラミックス培地の粒径と
給液量が切り花の収量・品質に及ぼす影響

二村幹雄・吉見仁志・近藤満治

園芸学会雑誌 70(5): 650-655 (2001)
摘要:バラ養液栽培用培地として多孔質セラミックスの利用技術を開発する目的で、培地粒径と培養液給液量が切り花の収量・品質に及ぼす影響について、品種「ローテローゼ」を用いて、ロックウールを対照として検討した。多孔質セラミックスの三相分布は粒径に関係なく固相割合が40%弱であった。粒径が小さくなると液相割合は増加する傾向を示し、液相割合の最も高かった粒径0.5〜1.5 mm では47%であった。多孔質セラミックス培地の排液は、リン酸濃度が低下していた。多孔質セラミックスの粒径が小さいと培地の水分保持量は多くなるため、切り花生体重及び切り花長は大きくなり、逆に切り花乾物率は小さくなる傾向がみられた。しかし、給液量が多いと切り花生体重、切り花長及び葉面積はさらに増加し、培地粒径よりも培養液給液量の影響の方が大きかった。切り花収量に対しては、培地粒径、培養液給液量ともに影響が小さかった。一方、ロックウールを培地に用いると、多孔質セラミックスに比べて切り花生体重及び葉面積は大きく、切り花乾物率は小さくなった。さらに、ロックウール培地の切り花の花持ちは、多孔質セラミックス培地のそれより劣った。バラ養液栽培に適する多孔質セラミックス培地の粒径は、直径0.5〜4.5 mm の範囲にあると判断された。多孔質セラミックス培地で栽培する場合、培養液の1株(培地量約2.5 L/株)当たり日給液量は夏季900 mL・冬季450 mL 程度が適当と推察された。ところで、湛液処理を行うと、給液量をロックウール培地での標準量の半量としても、秋冬季の切り花品質は低下しなかった。培養液節約の観点からみて、秋冬季の湛液処理は有効と考えられた。

キーワード:給液量、粒径、多孔質セラミックス、バラ、養液栽培
PDFファイル未掲載


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