○警察証明事務取扱要綱
平成28年12月26日
総務・務警・生総・地総・刑総・交総・備総発甲第222号
この度、警察証明事務を的確に行うための体制を確立し、及び各所属における取扱いの統一を図るため、警察証明事務取扱要綱の制定(昭和44年総務・総会・務警・交企・刑庶発甲第104号)の全部を別記のように改正し、平成29年1月1日から実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。
別記
第1 趣旨
この要綱は、愛知県警察における警察証明に係る事務(以下「警察証明事務」という。)の適正な取扱いを図るため必要な事項を定めるものとする。
なお、警察証明事務の取扱いについて別に定めのあるものは、その定めによるものとする。
第2 定義
この要綱における用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 願い出者
警察の所管事務に関し、その証明を必要とし、当事者又は(2)に掲げる代理人として事実証明又は届出証明を願い出た者をいう。
(2) 代理人
当事者の法定代理人又は任意代理人をいう。
(3) 警察証明
警察の所管する事務に関し、当該事務を取り扱った所属の長(以下「所属長」という。)が、願い出者からの願い出に係る事実の存在又は届出を受理したことについて証明することをいう。
(4) 事実証明
警察証明のうち、警察が対応した事件、事故その他の事務に関し、願い出者からの願い出に係る事実を証明することができ、かつ、証明の必要性が客観的に認められるものをいう。
(5) 届出証明
警察証明のうち、警察が受理した届出に関し、願い出者からの願い出に係る届出であることを証明することができ、かつ、証明の必要性が客観的に認められるものをいう。
(6) 証明願
願い出者が警察証明を求める際に提出する書面をいう。
(7) 証明書
警察の所管する事務に関して当該事務を取り扱った所属長が、願い出者が提出した証明願に愛知県警察公印規程(令和6年愛知県警察本部訓令第33号)に規定する公印を押印したものをいう。
第3 警察証明取扱上の基本的心得
警察証明は、その用途により関係者の利害に多大な影響を及ぼすものであり、願い出の内容によっては民事事件に悪用されるおそれもあることから、その取扱いには慎重を期さなければならない。
第4 体制
1 総務課長
(1) 総務課長は、警察証明事務に関する総括的な企画及び指導を行うものとする。
(2) 総務課長は、必要があると認める場合は、所属長による警察証明事務の取扱状況について実地検査その他必要な検査を行うことができる。
2 所管所属長
(1) 警察証明に係る業務を所管する警察本部の所属長(以下「所管所属長」という。)は、所管業務に係る警察証明事務が適正かつ円滑に処理されるよう、所管業務に係る警察証明事務を処理する者に対し必要な指導及び助言を行うものとする。
(2) 所管所属長は、必要があると認める場合は、所属長による警察証明事務の取扱状況について実地検査その他必要な検査を行うことができる。
3 所属長
所属長は、当該所属における警察証明事務を統括する。
4 証明事務担当者
警察証明事務を取り扱う警察署の課長(課長代理を含む。)及び警察本部の所属の課長補佐(同相当職を含む。以下「証明事務担当者」という。)は、当該所属の課又は係における警察証明事務が適正かつ円滑に処理されるよう、5の証明事務取扱者に対し必要な指導及び助言を行うものとする。
5 証明事務取扱者
警察証明事務を取り扱う係長以下の職にある者(以下「証明事務取扱者」という。)には、証明事務担当者があらかじめ指名する複数の者をもって充て、警察証明事務を適正かつ円滑に処理させるものとする。
第5 警察証明事務の取扱時間
警察証明事務は、執務時間(県の執務時間を定める規則(平成元年愛知県規則第82号)に規定する執務時間をいう。)内に取り扱うものとする。ただし、これにより難い場合は、所管所属長が、事務の処理時間等を踏まえて、県民の理解が得られると認められる範囲内で取扱時間を変更することができる。
第6 証明書の発給基準
証明書を発給する基準は、原則として事実証明とし、届出証明は次に掲げる事項に該当するほかは行わないものとする。
(1) 法律又は政令により、警察の証明を要することが規定されているもの
(2) 証明を行う官公庁又はその外郭団体(以下「官公庁等」という。)がなく、その証明が得られない場合において願い出者が著しい不利益を被ることが明らかであり、かつ、警察がその証明を行うことが適当であるもの
(3) 警察の証明を求める官公庁等において、警察の証明がないことにより事務の取扱い上、著しく支障を来し、当該官公庁等において証明に係る事実の調査を行うことが不適当であると認められる特別の事情があり、かつ、警察がその証明を行うことが適当であるもの
(4) その他特別な事情が認められるもの
第7 発給の拒否事由
所属長は、第6に掲げるものであっても、次のいずれかに該当する場合には、証明書の発給を拒否するものとする。
(1) 証明書を必要とする理由又は提出先が明らかでないとき。
(2) 証明願の内容に虚偽の事項があるとき。
(3) 証明願の内容を確認することができないとき。
(4) その他証明を行うことが適当でないと認められるとき。
第8 警察証明事務の処理手続
証明書の発給の願い出があった場合は、次の手続により警察証明事務を処理するものとする。
(1) 証明願の受理等
ア 事前確認
(ア) 証明事務取扱者は、願い出者が当事者本人又は代理人に該当するかを確認するものとする。
(イ) 当事者本人又は代理人以外の者からの願い出の場合にあっては、これらの者に代わって願い出を行う理由、証明を求める事実又は届出(以下「証明を求める事実等」という。)、証明書を必要とする理由及び証明書の提出先を聞き取り、願い出の受理の可否について所管所属長及び総務課長(文書係経由。以下同じ。)と協議するものとする。
イ 証明を求める事実等の聞き取り
証明事務取扱者は、願い出者から証明を求める事実等、証明書を必要とする理由及び証明書の提出先を聞き取り、第6の発給基準に該当するか否かを審査するものとする。ただし、証明を求める事実等が発給基準を満たす場合であっても、第7の拒否事由に該当するときは、願い出者に対し証明書を発給できない旨を説明し、その理解を得るものとする。
ウ 証明願の受理
証明事務取扱者において、証明書を発給する対象に該当すると認める場合は、願い出者に対し証明願(別記様式)の提出を求めるものとする。
なお、証明願の「証明事項」の欄にあっては取扱所属で保管する事件、事故等の記録、各種届出等の関係書類(以下「取扱所属保管資料」という。)により裏付けることができる内容を、「証明書を必要とする理由」及び「証明書の提出先」の欄にあっては正確かつ具体的な内容を記載させるものとする。
(2) 証明願の記載内容に係る調査
ア 証明事項に関する調査
証明事務取扱者は、「証明事項」の欄の記載内容と取扱所属保管資料を照合し、符合しない場合は、願い出者に対し修正させるものとする。
イ 証明書を必要とする理由及び証明書の提出先に関する調査
証明事務取扱者は、「証明書を必要とする理由」及び「証明書の提出先」の欄を確認した結果、定型的な証明であり疑義を生じないと認める場合は、その理由及び提出先についての調査を省略することができるものとする。
なお、過去に発給した例がない場合は、証明書の提出先に対し証明書の必要性及び証明すべき内容について聞き取りを実施するなど必要な調査を行うものとする。
(3) 決裁
ア 証明事務取扱者は、(2)の調査により証明願の各項目の内容に誤りがないことを確認した場合は、当該証明願に係る証明書の発給を起案し、疎明資料を添えて証明事務担当者に提出するものとする。
イ 証明事務担当者は、当該証明願及び疎明資料により、「証明事項」の欄の記載内容について不適切な記述がないか、証明すべき事項に誤りがないかを確認するものとする。
ウ 所属長は、当該証明願及び疎明資料により発給の適否について総合的に判断して発給することが妥当であると認める場合は、証明願に公印を押印するものとする。
(4) 証明書の交付等
ア 証明事務取扱者は、(3)のウにより公印が押印された証明書の所定欄に文書記号及び文書番号を記載し、当該証明書を複写して控えを作成した上で、原本を願い出者に交付するものとする。
イ 証明書を交付するに当たっては、アで作成した証明書の控えの余白に交付年月日を記載し、願い出者から署名を徴した上で、証明書を交付するものとする。
ウ 複写した証明書は、起案用紙に添付して保管するものとする。
第9 取扱上の留意事項
1 民事事件に悪用されるおそれのある事項の除外
証明事項に係る原因、過失の度合、損傷(害)の程度、時価については、民事事件として賠償請求に利用されるおそれがあることから、証明願に記載させないものとする。
2 証明書の発給枚数
証明書の発給枚数は、証明願1件について1通を原則とするが、提出先が異なるなど願い出者が複数通の発給を求めた場合は、その理由を厳密に審査し、真にやむを得ないと認められるときに限り必要数を発給するものとする。
3 証明書の再発給
既に発給した証明書について、当該証明書を使用する前に遺失、紛失等のため再交付の願い出があった場合は、新たに証明書の発給を願い出たものとして手続きを行い、証明書の上部余白及び起案用紙の参考事項の欄に「再発給」と朱書するものとする。
第10 その他
1 所属長は、警察証明事務の取扱いに関して疑義が生じた場合は、総務課長及び所管所属長と協議するものとする。
2 警察証明事務の取扱いに関し特別な定めを必要とする場合は、関係する部長が総務部長と調整の上、別に定めることができるものとする。
〔令2総務発甲178号・本別記一部改正〕
〔令元務警発甲93号令2総務発甲178号・本様式一部改正〕