○行政手続法及び愛知県行政手続条例運用要領
平成7年9月29日
総聴発甲第44号
このたび、愛知県行政手続条例が制定されたことなどに伴い、行政手続法及び愛知県行政手続条例運用要領を次のとおり制定し、平成7年10月1日から施行することとしたから、その適正な運用に努められたい。
第1 総則
1 趣旨
この通達は、行政手続法(平成5年法律第88号。以下「行手法」という。)及び愛知県行政手続条例(平成7年条例第28号。以下「行手条例」という。)の規定による事務手続に関し、行政手続の適正かつ円滑な運営を図るため、必要な事項を定めるものとする。
2 行手法及び行手条例の制定目的
わが国における行政手続の法的整備としては、行政不服審査法(平成26年法律第68号)が制定されているものの行政庁(法令若しくは条例等に基づき処分権限を有する者又はその権限に属する事務を委任された者をいう。以下同じ。)の処分の事前手続については一般法がなく、個別法による措置に委ねられてきた。このため、従前から事前手続の不備及び不統一、行政指導の多用、審査や処理の基準が明確にされていないことなどが指摘されていたところである。このような背景から公正で透明な行政運営を確保し、国民の権利利益を保護することを目的として行手法が制定されたものである。
また、行手法の施行に伴い、地方自治の尊重の観点から同法の適用除外とされた県の機関が行う条例又は規則に基づく処分及び県の機関に対する届出並びに県の機関が行う行政指導に関する手続について必要な事項を定め、県の行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって県民の権利利益の保護に資することを目的として行手条例が制定されたものである。
3 行手法及び行手条例と他の法律及び条例との関係
行手法は、行政庁の処分、行政指導等の行政手続に関する一般法であるから、他の法律に特別の定めがある場合を除き、行手法の定めるところによらなければならない。同様に、他の条例に特別の定めがある場合を除き、行手条例の定めるところによらなければならない。
〔平27総聴発甲117号・本項一部改正〕
第2 行手法及び行手条例の適用除外
1 警察活動上の適用除外例
ア 行手法第3条第1項第5号及び行手条例第3条第1号関係
刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第112条第1項の規定に基づく捜索状執行中の当該場所への出入りの許可、同法第198条第1項の規定に基づく被疑者への出頭要求、同法第198条第5項の規定に基づき調書に署名押印を求めることなど刑事訴訟法に基づくもののほか、少年法(昭和23年法律第168号)、国際捜査共助等に関する法律(昭和55年法律第69号)等刑事事件に関する法令(法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例等をいう。以下同じ。)に基づいて司法警察職員がする処分及び行政指導
イ 行手法第3条第1項第7号及び行手条例第3条第3号関係
警察教養細則(平成13年警察庁訓令第4号)第21条の規定に基づき、警察学校長が学生に対して行う退校、謹慎及び訓戒の処分並びに行政指導
ウ 行手法第3条第1項第8号及び行手条例第3条第4号関係
留置施設における自弁購入の許可、被留置者が現金、有価証券その他貴重品を所持している場合の預かり等留置の目的を達成するためにされる処分及び行政指導
エ 行手法第3条第1項第9号及び行手条例第3条第5号関係
公務員又は公務員であった者に対して、その職務又は身分に関してされる昇任、配置換え、辞職の承認等任用の処分、公務の能率的な運営を確保するための分限処分、行政部内の規律を維持するための懲戒処分等の処分及び行政指導
オ 行手法第3条第1項第11号及び行手条例第3条第6号関係
道路交通法(昭和35年法律第105号)の規定に基づく運転免許試験の結果についての処分等専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
カ 行手法第3条第1項第13号及び行手条例第3条第8号関係
核原料物資、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)第59条第11項の規定に基づく核燃料物質等運搬者に対する措置命令、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)第2条の規定に基づく職務質問及び所持品検査、道路交通法第63条の8の規定に基づく自転車の通行方法の指示、同法第72条第3項の規定に基づく交通事故現場における指示等公益に関わる事象が発生し又は発生する可能性のある現場において警察官(ただし、行手条例においては「警察職員」として少年補導職員及び交番相談員を含む。)によってされる処分及び行政指導
キ 行手法第3条第1項第14号及び行手条例第3条第9号関係
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第37条第1項の規定に基づく報告徴収及び資料の提出、銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)第10条の6第1項の規定に基づく報告徴収、各種警察活動における情報収集活動等報告又は物件の提出を命ずる処分その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導
ク 行手法第3条第1項第15号及び行手条例第3条第10号関係
審査請求、再調査の請求その他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の処分
ケ 行手法第3条第1項第16号及び行手条例第3条第10号関係
行手法第3条第1項第15号に規定する処分の手続並びに補佐人の出頭の許可、当事者に意見陳述を促す行為等行手法第3章及び行手条例第3章に規定する聴聞若しくは弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において法令に基づいてされる処分及び行政指導
2 運用上の留意事項
〔平11生保発甲9号同務警発甲26号平13総聴発甲133号平18生保発甲11号平18総留発甲68号平19務警発甲46号平19総留発甲99号平27総聴発甲117号平28務監発甲52号・本項一部改正〕
第3 審査基準、標準処理期間及び処分基準の作成、備付け及び公表
1 審査基準等の作成及び備付け
行手法及び行手条例の規定により、審査基準、標準処理期間及び処分基準(以下「審査基準等」という。)は、公安委員会、警察本部長、高速道路交通警察隊長(以下「高速隊長」という。)及び警察署長がそれぞれ定めることとなるが、統一を期す必要があることから、警察本部において審査基準等を策定して示すこととする。
イ 審査基準等の取りまとめは聴聞官室長が行うものとし、主管課長は、作成した審査基準等を速やかに聴聞官室長に送付するものとする。
エ 主管課長、高速隊長及び警察署長は、送付を受けた審査基準等を申請者等が閲覧しやすいように行政庁ごとに区分し、簿冊形式にして備え付けておくものとする。
オ 備付け場所
審査基準等を備え付ける場所は、別表のとおりとする。
カ 審査基準等の改訂
主管課長は、法令改正等に伴う審査基準等の改訂を確実に行うものとする。
なお、改訂後の手続については、イからオまでの規定を準用する。
2 審査基準等の公表
作成した審査基準等は、警察本部、高速道路交通警察隊(以下「高速隊」という。)及び各警察署において求めに応じて閲覧に供するとともに、愛知県警察ホームページ(以下「ホームページ」という。)に掲載するものとする。
ア 備付けによる公表
(ア) 取扱責任者
備付けによる公表の取扱責任者は、警察本部にあっては主管課長、高速隊にあっては高速隊長、警察署にあっては警察署長とする。
(イ) 公表時間
公表時間は、原則として執務時間内とする。
(ウ) 公表方法等
a 閲覧に供する場合は、原則として警察職員が立会いするものとする。この場合、閲覧者による審査基準等の筆写又は複写は妨げないが、警察保有の機器を使用しての複写は拒むことができる。
b 許認可等事務を取り扱う職員は、行手法及び行手条例の趣旨並びに県民の立場をよく理解し、事務処理に当たっては細心の注意を払うこと。
イ ホームページによる公表
ホームページによる公表の取扱責任者は、広報課長とする。
〔平13総聴発甲21号平27総聴発甲117号・本項一部改正〕
第4 申請に対する処分
1 申請に対する審査及び応答
行政庁は、申請がその事務所に到達したときは、遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、当該申請が法令に定められた形式上の要件に適合しないものは、速やかに、申請をした者に対し相当の期間を定めてその補正を求め、又は許認可等を拒否しなければならないのであって(行手法第7条、行手条例第7条)、単に申請を不受理とすることがあってはならない。
2 処分理由の提示
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合には、原則として相手方に対し、同時にその理由を示すものとし、当該処分を書面でするときは、書面でその理由を示すものとする(行手法第8条、行手条例第8条)。
なお、その場合の処分理由を記載する書面の様式については、主管課長が別に定めるものとする。
第5 不利益処分
1 主宰者の指名に関する事項
警察本部長は、聴聞及び弁明の機会の付与に関する規則(平成6年国家公安委員会規則第26号)第3条第2項の規定により聴聞の主宰者として指名を受けることができる者(聴聞を主宰するについて必要な法律に関する知識経験を有し、かつ、公正な判断をすることができると認められる警察職員)として、首席聴聞官及び聴聞官のほか、次に掲げる者を指定し、様式第6の指定書を交付するものとする。
ア 保安課長及び同課次長
イ 運転免許課長及び同課次長
ウ 東三河運転免許センター所長及び同センター次長
エ 聴聞官室次長
オ その他警察本部長が指定する者
2 処分理由の提示
行政庁は、不利益処分をする場合には、原則として相手方に対し、同時にその理由を示すものとし、当該処分を書面でするときは、書面でその理由を示すものとする(行手法第14条、行手条例第14条)。
なお、その場合の処分理由を記載する書面の様式については、主管課長が別に定めるものとする。
3 文書等の閲覧
(1) 当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人(以下「当事者等」という。)は、行政庁に対し、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料及び聴聞の期日における審理の進行に応じて必要となった資料について、聴聞の通知があった時から聴聞が終結するまでの間に閲覧を求めることができ、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができないが(行手法第18条、行手条例第18条)、投書、第三者からの聴取書、調査報告書等で事後の警察活動に支障があると認められるものは、閲覧の対象とならないものとして取り扱うこと。
(2) 行政庁は、(1)の資料の閲覧について日時及び場所を指定する場合にあっては、聴聞の期日における当事者等の防御権の行使を妨げることのないよう、十分な時間的余裕を持って指定すること。
(3) 主宰者が聴聞を続行するため新たな期日を定めた場合における前回までの聴聞の期日に係る聴聞調書(聴聞の審理の経過を記載した調書)及び聴聞報告書(不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書)については、その作成後行政庁に提出するまでの間は、主宰者において管理を徹底し、その閲覧の求めがあったときには、適切に措置すること。
4 審査請求の制限
行手法第3章第2節の規定に基づく処分又はその不作為については、事前手続に付随して行われる派生的な部分であるため、審査請求をすることができない。
〔平11務警発甲26号平13総聴発甲21号平27総聴発甲117号平28務監発甲52号平30総聴発甲80号・本項一部改正〕
第6 行政指導
1 警察活動上の行政指導
行政指導とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の行為又は不作為を求める行為であって処分に該当しないものをいう。
警察職員が行う行政指導としては、公安委員会の許可の申請を行おうとする者に対しての事前指導、法令に規定されている義務を履行していない者に対して改善命令の処分をする前に行う自主的な改善を促す行為等がある。
2 一般原則等
(1) 行政指導に携わる者は、行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならず、行政指導の内容が相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意すること。また、相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない(行手法第32条、行手条例第30条)。
(2) 行政指導によって申請を取り下げ、又は内容を変更した場合については、行政不服審査法に基づく不服申立て、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)に基づく抗告訴訟等によっては救済を受けることができないので、申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導に携わる者は、申請者の権利行使を妨げることのないよう留意すること(行手法第33条、行手条例第31条)。
(3) 申請が行政庁の事務所に到達した後にあっても、申請者が任意に行政指導に従っている限り、当該行政指導を継続している間、標準処理期間を超えて処分を保留することとなっても差し支えないが、申請者が当該行政指導に従わない旨を表明した場合には、公益に著しい障害を生ずるおそれがある特別の事情が存する場合を除いては、当該行政指導を継続し、処分を保留してはならない(行手条例第31条第2項)。
(4) 許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が、その権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合において行う行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、その権限を行使することを示すことにより相手方にその行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならないので、要望等は任意性を損なわないよう慎重に行うこと(行手法第34条、行手条例第32条)。
3 方式(行手法第35条、行手条例第33条)
(1) 明確性の原則
ア 行政指導に携わる者は、相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならず、当該行政指導が口頭又は書面により行われるものかを問わない。
イ 行政指導の趣旨及び内容とは、相手方に対して求めている作為又は不作為の必要性及び具体的な内容をいう。
ウ 責任者とは、当該行政指導を行うこと、その実施方法等を実質的に判断し決定した者をいい、一般的には、行政指導に携わる者の所属する所属長(以下「実施所属長」という。)がこれに当たる。
エ 行政指導に携わる者は、許認可等に係る権限を行使し得る旨を示すときは、行手法又は行手条例の規定により、その相手方が当該権限の根拠法令、要件等を明確に認識し得るよう具体的に示すこと。
(2) 書面の交付
イ 行政上特別の支障がある場合とは、口頭で趣旨及び内容並びに責任者を明らかにすることができても、書面を交付することによってその内容が一般に明らかになり、行政目的の実現が妨げられるおそれがある場合等をいう。
ウ 書面の交付は、できる限りその場において行うことが望ましいが、事務処理の都合上事後になっても構わない。
エ 事後に書面の交付を求められた場合、行政指導が行われた後の時間経過等により、当該行政指導によって一定の作為、不作為を求めた趣旨が既に消滅したものについては、書面交付義務の対象とはならない。
オ 相手方に対し、その場において完了する行為を求めるもの又は既に文書により相手方に通知されている事項と同一の内容を求めるものについては書面を交付する必要はない。
4 行政指導の中止等の求め(行手法第36条の2、行手条例第35条)
(1) 行政指導の中止等を求める申出の受理
ア 所属長は、行政指導の中止等を求める申出があった場合は、行手法又は行手条例の規定に基づいて作成された申出書により受理するものとする。この場合において、申出の内容に該当する実施所属長以外の所属長が受理したときは、以後の措置を当該実施所属長に引継ぐものとする。
イ 申出書の書式は定められていないが、申出をするには申出書が必要となるため、行政指導をする際などにその相手方に対して教示するよう努めるものとする。
(2) 申出受理後の対応
ア 実施所属長は、申出の内容から調査の必要があると認めた場合は、必要な調査を行うものとする。また、調査を行う上で主管課長がいるときは、当該課長と連携すること。
イ 調査の対象となる行政指導に実質的に関与し、又は利害関係を有する警察職員以外の警察職員を調査に当たらせるなど手続の公正性の確保に努めること。
ウ 実施所属長は、調査の結果、当該行政指導が根拠となる法律又は条例に違反するときは、当該行政指導の中止その他適正な措置を執るものとする。
〔平13総聴発甲21号平27総聴発甲117号・本項一部改正〕
第7 処分等の求め(行手法第36条の3、行手条例第37条)
1 処分等を求める申出の受理
所属長は、処分等を求める申出があった場合は、第6の4の(1)のアに規定する措置を執るものとする。
2 申出受理後の対応
実施所属長は、第6の4の(2)のアの規定に基づく調査を行い、その結果、必要があると認めるときは、処分又は行政指導その他適正な措置を執るものとする。
〔平27総聴発甲117号・本項追加〕
別表
区分 行政庁 | 警察本部 | 警察署 | 高速道路交通警察隊 | |
主管課 | 警務課 | 主管課 | 隊本部 | |
公安委員会 | ○ | ○ | ○ | |
警察本部長 | ○ | ○ | ○ | |
警察署長 | ○ | ○ | ○ | |
高速道路交通警察隊長 | ○ | ○ | ○ |
備考
1 ○印は、備え付ける場所を示す。
2 警察本部及び警察署の主管課は、当該所掌事務の関係分のみとする。
〔令元務警発甲93号・本様式一部改正〕
〔令元務警発甲93号・本様式一部改正〕
〔令元務警発甲93号・本様式一部改正〕
〔令元務警発甲93号・本様式一部改正〕
〔令元務警発甲93号・本様式一部改正〕
〔平13総聴発甲21号・旧様式7を繰上、令元務警発甲93号・本様式一部改正〕
〔平13総聴発甲21号・旧様式8を繰上、平27総聴発甲117号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕
〔平27総聴発甲117号・本様式追加、令元務警発甲93号・本様式一部改正〕