○命に関わる事案への積極的かつ組織的な対応要領の制定

平成23年12月22日

務警発甲第289号

この度、別記のとおり命に関わる事案への積極的かつ組織的な対応要領を定め、平成24年1月1日から実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。

別記

命に関わる事案への積極的かつ組織的な対応要領

第1 趣旨

個人の生命の保護は警察の責務であり、命に関わる事案への対応を誤れば、個人の生命が脅かされるだけでなく、警察に対する県民の信頼を損なうこととなるため、その対応に関し必要な事項を定めるものとする。

第2 定義

「命に関わる事案」とは、警察活動を通じて認知した事案のうち、急迫の有無を問わず、個人の生命が脅かされる危険性が認められるものをいう。

第3 職員の心構え

職員は、警察活動を通じて認知した事案につき、決して過小評価することなく、想像力及び洞察力を働かせ、個人の生命が脅かされる危険性の有無を的確に判断するとともに、強い使命感をもって対応しなければならない。

第4 対応要領

1 命に関わる事案への該当性の判断

警察活動を通じて事案を認知した職員及びその報告を受けた幹部は、それぞれの立場において、命に関わる事案への該当性について、関係者の属性(年齢、性別、健康状態等)、関係者が置かれている環境(家庭環境、場所、季節、天候、時間帯等)、危険の切迫の程度、過去に取り扱った事案等を踏まえつつ、適切に判断するものとする。

2 迅速かつ的確な現場対応

(1) 現場対応を要するときは、迅速に臨場して警戒、説得、警告、制止その他の必要な措置を講ずるものとする。

(2) 直ちに現場対応を要しないときであっても、速やかに事実関係の調査、保護の手続、被害を未然に防止するための指導その他の必要な措置を講ずるものとする。

3 被害の未然防止に向けた積極的な対応

(1) 法令の要件を満たさない、被害の届出がなされないなどの理由によって消極的に対応することなく、関係者の生命が脅かされる危険性を十分に考慮して積極的に解決策を講ずるものとする。

(2) 刑事事件としての立件が困難と認められる場合であっても、関係者の生命が脅かされる危険性が継続すると認められるときは、可能な限り早期に事情聴取、指導、警告等の踏み込んだ措置を講ずるものとする。

4 所属長による指揮

(1) 命に関わる事案を認知したときは、速やかに所属長に報告するものとする。

(2) (1)の報告を受けた所属長は、事案の内容に応じて最も適切な部署を指定して対応させるものとする。また、複数の部署において対応すべき事案については、指定した部署とその他の関係部署に緊密な連携を保持させて対応させるものとする。

(3) 職員は、緊急の場合で所属長の指揮を受けることができないときは、所要の措置を講じた後、速やかに事案の内容、措置結果等を所属長に報告し、指揮を受けるものとする。

5 関係所属長等との緊密な連携

関係者の住所地等又は関係する場所が管轄区域外のときは、速やかに関係所属長に通報し、相互に連携して対応に当たるものとする。また、命に関わる事案については、当該事案を主管する警察本部の所属長に遅滞なく報告し、緊密に連携して対応するものとする。

なお、平素から自治体、保健所、児童相談所その他の関係機関との連携を密にし、連絡体制を確立して事案の対応に役立てるものとする。

第5 地域警察官の役割の重要性

1 地域警察官は、命に関わる事案を認知する機会が多く、地域警察官が対応を誤れば関係者の生命を脅かすおそれがあることから、自らの役割の重要性を認識して的確に判断を行い、強い使命感をもって対応しなければならない。

2 所属長は、地域警察官が的確な判断及び積極的な現場対応ができるよう、具体的な事案を想定した実戦的な訓練、受傷事故防止に配意した装備資機材の活用訓練等を行うとともに、士気の高揚に努めるものとする。

第6 教養及び情報の適正な管理

1 教養

所属長は、第3に定める職員の心構えを浸透させるため、所属の職員に対し、あらゆる機会を活用して効果的な教養を行うものとする。

2 情報の適正な管理

命に関わる事案に関する情報には、警察情報及び個人情報が含まれることから、その取扱いには慎重を期すとともに、適正な管理を行わなければならない。

〔平28務警発甲213号・本別記一部改正〕

命に関わる事案への積極的かつ組織的な対応要領の制定

平成23年12月22日 務警発甲第289号

(平成28年1月1日施行)

体系情報
第3編 務/第1章 務/第1節 組織・運営/第3款
沿革情報
平成23年12月22日 務警発甲第289号
平成28年 務警発甲第213号