○警察署の管轄区域の境界付近における業務処理要綱の制定
平成9年9月3日
務警発甲第58号
警察署の管轄区域の境界付近における警察業務の能率的な遂行を図るため、別記のとおり警察署の管轄区域の境界付近における業務処理要綱を制定し、平成9年9月3日から施行することとしたから、その効果的な運用に努められたい。
なお、警察署の管轄区域(昭和31年務警発甲第354号)は、廃止する。
別記
警察署の管轄区域の境界付近における業務処理要綱
第1 目的
この要綱は、愛知県警察の組織等に関する条例(昭和30年愛知県条例第18号)第2条に規定する警察署の管轄区域(以下「管轄区域」という。)の境界が分かりにくいため境界の付近において発生する犯罪、交通事故等の処理に不都合が生じている場合等における業務処理のための協定の締結手続その他業務処理に必要な事項を明確にし、もって、警察活動の迅速かつ効率的な執行を図ることを目的とする。
第2 業務処理境界線
1 用語の意義
(1) この要綱において「業務処理」とは、犯罪、交通事故等の処理、実態把握活動その他の業務の処理をいい、重要犯罪(殺人、強盗、不同意性交等、放火、略取・誘拐及び不同意わいせつをいう。以下同じ。)の捜査及び許認可等の事務に係る業務を除く。
(2) この要綱において「業務処理境界線」とは、次に掲げる場合において、業務処理を担当する警察署を明確にするために設定する境界線をいう。
ア 管轄区域の境界が分かりにくいため、境界付近の業務処理に不都合が生じる場合
イ 管轄区域の境界に従って業務処理をすることが不合理である場合
2 業務処理境界線に従った業務処理
(1) 警察署長は、業務処理境界線に従って、管轄区域外においても業務処理をするものとする。
(2) 警察署長は、前記(1)の規定により管轄区域外において業務処理をした場合は、処理を完結させるものとする。
3 重要犯罪の捜査等
警察署長は、前記2の規定により管轄区域外において処理に着手した事案が重要犯罪となった場合等は、初期的な処理を行った後、速やかに管轄警察署長に引き継ぐものとする。
4 業務処理の特例
前記2又は3により難い場合(重要犯罪の場合に限る。)は、警察本部の業務主管課長及び関係警察署長は、業務処理に関し、その都度協議し、処理するものとする。
第3 業務処理境界線の基準
1 管轄区域の境界線が次に掲げる道路、線路その他の施設等の一部と重なる場合の業務処理境界線は、それぞれ次に規定する基準により地域を区画する線とする。
(1) 道路
ア 道路の東側又は南側とする。ただし、当該道路に歩道と車道の区別がある場合は、その区画線とする(別図1のとおり)。
イ 交差点は、その東側又は南側とする(別図2のとおり)。
(2) 線路
線路の東側又は南側の側溝とする。ただし、側溝がないとき、又はこれが明らかでないときは、用地境界標を結んだ線によるものとする(別図3のとおり)。
(3) 立体交差
立体交差の道路又は線路の場合は、前記(1)又は(2)の基準により設定された業務処理境界線を垂直に上又は下に投影した線とする(別図4及び別図5のとおり)。
(4) 河川等又は橋
河川等(運河、用水路等を含む。)にあっては、水面の中央とする。河川等が分流している場合は、本流部分の水面の中央とする。
これに架設された橋にあっては、当該橋の中央とする(別図6のとおり)。ただし、名古屋市内の「堀川」又は「新堀川」が行政区域の境界となっている場合は、当該河川の東岸とする。
(5) 海等に突出した施設等
海、河川、池等の水面に突出した施設、建造物又は土地にあっては、当該施設、建造物若しくは土地に接続し、又は関連性を有する陸地を管轄する警察署が業務処理を担当することとなるように区画する線とする(別図7のとおり)。
(6) 海上
海上と陸地との業務処理境界線は、潮の干満にかかわらず、水際とする。ただし、発生源が陸地にあることが明確である事案については、当該陸地を管轄する警察署が業務処理を担当するものとする。
2 前記1の基準により設定した業務処理境界線上の事案にあっては、その東側又は南側を管轄する警察署が業務処理を担当するものとする。
第4 業務処理に関する協定
1 協定の締結
関係警察署長は、第3の基準に基づいて設定された業務処理境界線又は管轄区域の境界線によっても、業務処理をすることが著しく不合理であるため、この要綱の基準と異なる業務処理境界線を設定しようとする場合は、協定を締結するものとする。
2 協定締結の際の留意事項
関係警察署長は、前記1の規定に基づき協定を締結する場合は、次の事項に留意するものとする。
ア 学区、他の行政庁の管轄区域、各種届出書類の提出先行政庁等を調査し、これらによる境界線と業務処理境界線が一致し、又は近似するよう考慮すること。
イ 協定に係る区域内の慣習、住民の意向等に十分配意すること。また、必要により、施設の管理者、住民の代表等の意見も聴くこと。
ウ 協定対象の実地踏査を確実に行い、実態把握に努めること。
エ 駅、公園、マンション等の施設にあっては、当該施設の全体を同一警察署において業務処理を担当することが適当であると認められるときは、当該施設の主要部分(例えば、主たる出入口、事務所、プラットホーム等をいう。)を管轄する警察署が、担当できるように業務処理境界線を設定すること。
オ 地下街にあっては、その付近の階段、防火壁、シャッターその他の地下街の構造を考慮し、各階ごとに業務処理境界線を設定すること。ただし、連続性のある1施設を分断しないようにすること。
カ 池又は沼にあっては、地理的条件、業務処理の容易性等を考慮し、業務処理境界線を設定すること。
3 協定の締結手続
(1) 関係警察署長は、協定を締結しようとする場合は、連名により、様式第1の業務処理に関する協定の承認申請書(以下「申請書」という。)により、警察本部長(警務課総合企画室経由)に協定の承認を申請するものとする。
(2) 関係警察署長は、申請書及び資料の作成その他の事務に当たっては、相互に協力するものとする。
(3) 警務部長は、協定内容に調整の必要があると認めたときは、関係警察署長の意見を聴くものとする。
(4) 関係警察署長は、警察本部長の承認を受けたときは、協定書を作成し、相互に保管するものとする。
4 協定締結後の措置
(1) 警察署長は、協定の締結、変更等により、影響を受けるおそれのある住民、施設管理者、関係行政機関等に対し、通知その他の方法により周知徹底を図るものとする。
(2) 警察署長は、所属の職員に対して協定内容等に関する教養を徹底し、効率的な業務処理に努めなければならない。
(3) 警察署長は、協定区域の状況の変化を掌握し、関係警察署長との連絡を密にして協定内容を変更するなど、常に現状と協定との適合性を確保しなければならない。
5 協定の変更及び廃止
(1) 警察署長は、締結した協定の一部を変更する必要があると認める場合は、様式第2の業務処理に関する協定の変更承認申請書により、変更の手続を執るものとする。
(2) 警察署長は、締結した協定の全部を廃止する必要があると認める場合は、様式第3の業務処理に関する協定の廃止承認申請書により協定の廃止の手続を執るものとする。
(3) 前記3の規定は、協定を変更し、又は廃止する場合の手続について準用するものとする。
第5 雑則
1 警察署と高速道路交通警察隊との申合せ
警察署長と高速道路交通警察隊長との間で、業務処理に関する申合せを行う必要がある場合は、この要綱の規定を準用するものとする。
2 業務処理境界線の記録
(1) 警察署長は、この要綱の基準による業務処理境界線について関係警察署長と確認し合うものとし、常にその付近の状況を掌握しておくものとする。
(2) この要綱により、業務処理境界線が確定したときは、愛知県警察処務規程(昭和51年愛知県警察本部訓令第6号)第50条に規定する管内要図に業務処理境界線を記入しておくものとする。
3 経過措置
(1) この要綱の施行の際、現に締結されている協定は、この要綱の規定に抵触しない限り、この要綱に基づく協定とみなす。
(2) この要綱に基づき協定を締結する必要がある場合において、協定が締結されるまでの間は、関係警察署長は、協議して定めたところにより業務処理をすることができる。
〔平29刑総発甲102号・本別記一部改正〕
別図1(道路)
別図2(交差点)
別図3(線路)
別図4(立体交差)
別図5(立体交差)
別図6(河川等又は橋)
別図7(海等に突出した施設等)
〔平17務警発甲50号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕
〔平17務警発甲50号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕
〔平17務警発甲50号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕