○愛知県警察における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領を定める訓令

平成27年12月25日

愛知県警察本部訓令第40号

愛知県警察における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領を次のように定める。

愛知県警察における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領を定める訓令

(趣旨)

第1条 この訓令は、愛知県障害者差別解消推進条例(平成27年愛知県条例第56号。以下「条例」という。)第15条第1項の規定に基づき、条例第8条に規定する事項に関し、愛知県警察の職員(非常勤職員を含む。以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この訓令において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 障害 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病等に起因する障害を含む。)をいう。

(2) 障害者 障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者をいう。

(不当な差別的取扱いの禁止)

第3条 職員は、条例第8条第1項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と異なる不当な差別的取扱い(以下「不当な差別的取扱い」という。)をすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。これに当たり、職員は、別紙に定める事項に留意するものとする。

(合理的配慮の提供)

第4条 職員は、条例第8条第2項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。これに当たり、職員は、別紙に定める事項に留意するものとする。

(所属長の責務)

第5条 警察本部の課、室及び部の附置機関、名古屋市警察部の課、警察署並びに警察学校の長(以下「所属長」という。)は、前2条に掲げる事項に関し、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次の各号に掲げる事項に留意しなければならない。

(1) 日常の業務を通じた指導教養により、障害を理由とする差別の解消に関し、所属職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。

(2) 障害者、その家族その他の関係者(以下「障害者等」という。)から不当な差別的取扱い又は合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申出等があった場合は、状況を迅速に確認すること。

(3) 合理的配慮の提供の必要性が確認された場合は、関係する所属職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。

2 所属長は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。

(懲戒処分等)

第6条 職員が、障害者に対し不当な差別的取扱いをし、又は、過重な負担がないにもかかわらず合理的配慮を提供しなかった場合、その態様等によっては、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合等に該当し、懲戒処分、監督上の措置等に付されることがある。

(相談体制の整備)

第7条 住民サービス課及び警察署警務課に、障害者等からの相談等に対応するための相談窓口を置く。

2 前項の相談窓口は、手紙、電話など相談等を行おうとする者の任意の方法で、相談等を適切に受け付けるよう配慮しなければならない。

3 第1項の相談窓口に寄せられた相談等については、相談者のプライバシーに配慮しつつ関係職員相互で情報共有を図り、以後の相談等において活用するものとする。

4 第1項の相談窓口については、必要に応じ、充実を図るよう努めるものとする。

(教養及び啓発)

第8条 警察本部長は、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、法、条例等の周知、障害者から話を聞く機会を設ける等必要な教養及び啓発を行うものとする。

2 新たに所属長となった者に対しては障害を理由とする差別の解消等に関し求められる役割について理解させるために、また、新たに職員となった者に対しては障害を理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解させるために、それぞれ教養又は啓発を実施するものとする。

3 職員に対し、障害の特性を理解させるとともに、性別、年齢等に配慮しつつ障害者への対応を適切に行うため、執務資料及びマニュアルを活用するなどして、意識の啓発を図るものとする。

この訓令は、平成28年1月1日から施行する。

(令和6年3月27日愛知県警察本部訓令第8号)

この訓令は、令和6年4月1日から施行する。

別紙

愛知県警察における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領第3条及び第4条に係る留意事項

第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方

条例は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービス若しくは各種機会の提供を拒否し、又はその提供に当たって場所、時間帯等を制限すること、障害者でない者に対しては付さない条件を付けること等により、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、条例に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱い、及び合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。

なお、車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障害を理由とする不当な差別的取扱いに該当する。

職員は、不当な差別的取扱いとは、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じであるにもかかわらず、正当な理由なく、障害者を障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。

第2 正当な理由の判断の視点

正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービス又は各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。

職員は、正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに、障害者及び第三者の安全の確保、財産の保全、損害発生の防止その他の権利利益の観点に加え、愛知県警察の事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面又は状況に応じて総合的かつ客観的に判断することが必要である。

また、職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めることが望ましい。その際、職員には、障害者の立場を尊重しながら相互理解を図ることが求められる。

第3 不当な差別的取扱いの例

正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例及び正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例は次のとおりである。

なお、次の例はあくまでも例示であり、これらの例だけに限られるものではないこと、正当な理由に相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断することが必要であること及び正当な理由があり不当な差別的取扱いに該当しない場合であっても、合理的配慮の提供を求められる場合には別途の検討が必要であることに留意すること。

(1) 正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例

ア 障害があることを理由として、一律に窓口対応を拒否する。

イ 障害があることを理由として、一律に対応の順序を後回しにする。

ウ 障害があることを理由として、一律に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒んだり、資料等に関する必要な説明を省く。

エ 障害があることを理由として、一律に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。

オ 障害があることを理由として、事務又は事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、来庁の際に付添人の同行を求めるなどの条件を付け、又は特に支障がないにもかかわらず、付添人の同行を拒む。

カ 障害の種類又は程度、サービス提供の場面における障害者本人又は第三者の安全性等について考慮することなく、漠然とした安全上の問題を理由に施設利用を拒否する。

キ 業務の遂行に支障がないにもかかわらず、障害者でない者とは異なる場所で対応を行う。

ク 障害があることを理由として、一律に障害者に対して、言葉遣い、態度その他の接遇の質を下げる。

(2) 正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例

ア 実習を伴う講座において、実習に必要な作業の遂行上、具体的な危険の発生が見込まれる障害特性のある障害者に対し、当該実習とは別の実習を設定する。(障害者本人の安全確保の観点)

イ 車椅子の利用者が畳敷きの個室を希望した際に、敷物を敷くなど、畳を保護するための対応を行う。(行政機関の損害発生の防止の観点)

ウ 行政手続を行うため、障害者本人に同行した者が代筆しようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対して障害の状況、手続の意思等を確認する。(障害者本人の損害発生の防止の観点)

第4 合理的配慮の基本的な考え方

1 「合理的配慮」とは、障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1号。以下「権利条約」という。)第2条において、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものと定義されている。

条例は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮を提供することを求めている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとする「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であって、その実施に伴う負担が過重でないものである。

2 職員は、合理的配慮とは、愛知県警察の事務又は事業の目的、内容及び機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること並びに事務又は事業の目的、内容及び機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。合理的配慮の提供に当たってはこれらの点に留意した上で、障害者本人が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、当該障害者本人の意向を尊重しつつ、第5に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされる必要がある。

建設的対話に当たっては、障害者にとっての社会的障壁を除去するために必要かつ実現可能な対応案を障害者と職員が共に考えていくために、双方がお互いの状況の理解に努めることが重要である。例えば、障害者本人が社会的障壁の除去のために普段講じている対策、愛知県警察として対応可能な取組等を対話の中で共有するなど、建設的対話を通じて相互理解を深め、様々な対応策を柔軟に検討していくことが円滑な対応に資すると考えられる。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとし、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意する。

なお、障害者との関係性が長期にわたる場合には、その都度の合理的配慮の提供とは別に、後述する環境の整備を考慮することにより、中長期的なコストの削減及び効率化につながる点は重要である。

3 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示、身振り、サイン等による合図、触覚による意思伝達等、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。

また、障害者からの意思表明のみでなく、障害の特性等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。

なお、職員は、意思の表明が困難な障害者が、家族、介助者等を伴っていない場合等、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、条例の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。

4 合理的配慮は、不特定多数の障害者等の利用を想定して事前に行われる施設のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。

なお、多数の障害者が直面し得る社会的障壁をあらかじめ除去するという観点から、他の障害者等への波及効果についても考慮した環境の整備を行うこと、相談又は紛争事案を事前に防止する観点から、合理的配慮の提供に関する相談対応等を契機に、内部規則やマニュアル等の制度改正等の環境の整備を図ることも有効である。

第5 過重な負担の基本的な考え方

職員は、過重な負担については、個別の事案ごとに、次に掲げる要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的かつ客観的に判断することが必要である。

また、職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明し、理解を得るよう努めることが望ましい。その際には、職員及び障害者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択も含めた対応を柔軟に検討することが求められる。

(1) 事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的・内容・機能を損なうか否か)

(2) 実現可能性の程度(物理的又は技術的制約、人的又は体制上の制約)

(3) 費用又は負担の程度

第6 合理的配慮の例

第4で示したとおり、合理的配慮は、具体的場面又は状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、例としては、次の(1)から(3)までのようなものものがある。

なお、次の例はあくまでも例示であり、必ず実施するものではないこと及び次の例以外であっても合理的配慮に該当するものがあることに留意する必要がある。

また、合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例及び該当しないと考えられる例としては、次の(4)及び(5)のようなものがある。これらの例についても、あくまでも例示であり、合理的配慮の提供義務違反に該当するか否かについては、個別の事案ごとに、前述の観点等を踏まえて判断することが必要であることに留意する。

(1) 合理的配慮に該当し得る物理的環境への配慮の例

ア 段差がある場合において、車椅子又は歩行器の利用者に対するキャスター上げ等の補助、携帯スロープの設置等を行う。

イ 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。また、パンフレット等の位置を分かりやすく教える。

ウ 目的の場所まで案内する場合において、障害者の歩行速度に合わせて歩く、前後左右又は距離の位置取りについて、障害者の希望を聞く。

エ 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。

オ 車椅子を配置している施設では必要に応じて利用を案内する。

カ 多目的トイレが設置されている施設では必要に応じて案内する。

キ 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申出があった場合は、別室を用意する。また、別室の確保が困難であるときには、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて設置するなど臨時の休憩スペースを設ける。

ク 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供する。

ケ 災害、事故等が発生した際、館内放送で避難情報その他の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害のある者に対し、電光掲示板、手書きのボード等を用いて分かりやすく案内し、誘導を図る。

コ イベント会場において知的障害又は発達障害のある子供が発声やこだわりのある行動をしてしまう場合に、保護者から子供の特性、コミュニケーションの方法等について聞き取った上で、落ち着かない様子のときは個室等に誘導する。

サ 視覚障害のある者からトイレの個室を案内するよう求めがあった場合に、求めに応じて案内をする。その際、障害者本人の希望に応じて同性の職員が案内する。

(2) 合理的配慮に該当し得る情報の取得、利用及び意思疎通への配慮の例

ア 筆談、要約筆記、読み上げ、手話、点字、拡大文字、UDフォント、触覚による意思伝達等のコミュニケーション手段を用いる。

イ 会議で使用する資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。

ウ 視覚障害のある者に会議で使用する資料等を事前送付する際、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。

エ 意思疎通が不得意な障害者に対し、実物、絵カード等を活用するなど分かりやすい方法により意思を確認する。

オ 駐車場等において、通常、口頭で行う案内を紙にメモをして渡す。

カ 書類の記入を依頼する場合は、記入方法等を障害者の目の前で示す、分かりやすい記述で伝達する。また、障害者からの依頼があるときは、代読、代筆等の配慮を行う。

キ 比喩表現等が苦手な障害者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現等を用いずに説明する。

ク 障害の特性に応じ、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、必要に応じ、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前又は午後で表記するなどの平易な表現を用いたメモを作成し、適時に手渡す。

ケ 会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な、視覚若しくは聴覚に障害のある委員又は知的障害若しくは発達障害のある委員に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心がけるなどの配慮を行う。

コ 会議の進行に当たり、職員等が委員の障害の特性に合ったサポートを行うなど、可能な範囲での配慮を行う。

(3) ルール又は慣行の柔軟な変更の例

ア 順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続の順番を入れ替える。

イ 障害者が立って、列に並んで順番を待っている場合には、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。

ウ スクリーン、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。

エ 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。

オ 施設敷地内の駐車場等において、障害者の来庁が多数見込まれる場合、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。

カ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、発作等がある障害者の場合、緊張を緩和するため、当該障害者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する。

キ 非公表又は未公表情報を扱う会議において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害者の理解を援助する者の同席を認める。

ク オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続に際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話や電子メールでの対応を行う。

(4) 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例

ア 試験を受ける際に筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、デジタル機器の持込みを認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく、一律に対応を断る。

イ イベント会場内の移動に際して支援を求める申出があった場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で、具体的な支援の可能性を検討せずに支援を断る。

ウ 電話利用が困難な障害者から、電話以外の手段により各種手続が行えるよう対応を求められた場合に、マニュアル上、当該手続は利用者本人による電話のみで手続可能とすることとされていることを理由として、メール、電話リレーサービスを介した電話等の代替措置を検討せずに対応を断る。

エ 介助を必要とする障害者から、講座の受講に当たり介助者の同席を求める申出があった場合に、当該講座が受講者本人のみの参加をルールとしていることを理由として、受講者である障害者本人の個別事情、講座の実施状況等を確認することなく、一律に介助者の同席を断る。

オ 自由席での開催を予定しているセミナーにおいて、弱視の障害者からスクリーン、板書等がよく見える席でのセミナー受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保等の対応を検討せずに「特別扱いはできない」という理由で対応を断る。

(5) 合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例

ア 事務の一環として行っていない業務の提供を求められた場合に、その提供を断る。(必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られることの観点)

イ 抽選申込みとなっている講座への参加について、抽選申込みの手続を行うことが困難であることを理由に、講座への参加を事前に確保しておくよう求められた場合に、当該対応を断る。(障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであることの観点)

ウ イベント当日に、視覚障害のある者から職員に対し、イベント会場内を付き添ってブースを回ってほしい旨の申出があった場合に、混雑時であり対応できる人員がいないという理由で対応を断る。(過重な負担(人的・体制上の制約)の観点)

愛知県警察における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領を定める訓令

平成27年12月25日 愛知県警察本部訓令第40号

(令和6年4月1日施行)

体系情報
第3編 務/第1章 務/第1節 組織・運営/第4款
沿革情報
平成27年12月25日 愛知県警察本部訓令第40号
令和6年3月27日 愛知県警察本部訓令第8号