○ハラスメント防止対策要綱の制定

平成29年4月26日

務警発甲第67号

この度、職員がその能力を十分に発揮することのできる良好な勤務環境を確保するため、別記のとおりハラスメント防止対策要綱を制定し、実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。

別記

ハラスメント防止対策要綱

第1 趣旨

この要綱は、職員がその能力を十分に発揮することのできる良好な勤務環境を確保するため、ハラスメントの防止及び排除のための措置並びにハラスメントに起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置に関し、必要な事項を定めるものとする。

第2 定義

この要綱において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

(1) ハラスメント セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメント、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントその他職員が他の職員の人格若しくは尊厳を害し、他の職員に対して精神的若しくは身体的な苦痛を与え、又は他の職員の勤務環境を害する言動をいう。

(2) セクシュアル・ハラスメント 他の者を不快にさせる職場における性的な言動(性的指向又は性自認に関する偏見に基づく言動を含む。以下同じ。)及び職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動をいう。

(3) パワー・ハラスメント 職務上の地位、人間関係等の職場における優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的若しくは身体的苦痛を与え、又は勤務環境を害する言動をいう。

(4) 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント 職員の次に掲げる事由に関し上司又は同僚(当該職員と共に日常の執務を行う者(部下を含む。)をいう。)から行われる当該職員の勤務環境を害する言動をいう。

ア 妊娠又は出産をすること。

イ 不妊治療を受けること。

ウ 妊娠、出産、育児又は介護に関する制度又は措置を利用すること。

(5) ハラスメントに起因する問題 ハラスメントにより職員の勤務環境が害されること及びハラスメントへの対応に起因して職員が勤務条件につき不利益を受けることをいう。

第3 職員の心構え

1 ハラスメントの禁止

職員は、ハラスメントのない良好な勤務環境を実現するため、ハラスメントに関する認識を深めるとともに、ハラスメントを発生させることがないよう常に自らの言動に注意を払わなければならない。

2 調査への協力

職員は、ハラスメントに起因する問題が生じた場合において、事実関係の調査が行われるときは、これに協力しなければならない。

第4 不利益取扱いの禁止

職員が、ハラスメントに対する拒否、ハラスメントに関する苦情の申出及び相談(以下「相談等」という。)、相談等に係る調査への協力その他ハラスメントに関する正当な対応をしたことにより、いかなる不利益も受けるようなことがあってはならない。

第5 職員の認識すべき事項

職員は、ハラスメントを防止し、及び排除するため、次に掲げる事項を認識しなければならない。

(1) ハラスメント全般に関する事項

ア ハラスメントは、被害を受けた職員の勤務意欲を減退させ、ひいては当該職員が精神疾患となる要因にもなり得ること。

イ ハラスメントが招く勤務環境の悪化は、組織の正常な業務運営に障害を生じさせること。

ウ ハラスメントであるか否かについて相手から常に意思表示があるとは限らないこと。

エ 相手が拒否し、又は不快感を示した場合は、同じ言動を繰り返さないこと。

オ 勤務時間外における職員間のハラスメントについても注意する必要があること。

カ 相手の人格又は尊厳を害する言動をする職員には、ハラスメントを発生させている自覚がないこと。

(2) セクシュアル・ハラスメントに関する事項

ア 性に関する言動の受け止め方には個人間で差があり、セクシュアル・ハラスメントであるか否かについては、相手の判断が重要であること。

イ セクシュアル・ハラスメントは、同性又は職員が職務において接する職員以外の者についても対象となること。

(3) パワー・ハラスメントに関する事項

ア 指導、監督及び教養を行う場合であっても、表現、回数、態様等によっては、パワー・ハラスメントに該当すること。

イ 部下職員は、上司の言動に疑問が生じた場合であっても、上司に対して反論しがたい立場にあること。

ウ 上司だけではなく、職務上の優位性により実質的に影響力のある者による言動もパワー・ハラスメントに該当すること。

(4) 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに関する事項

ア 妊娠、出産、育児又は介護に関する否定的な言動(他の職員の妊娠、出産、育児又は介護の否定につながる言動(当該職員に直接行わない言動を含む。)をいう。)は、ハラスメントの原因又は背景となること。

イ 仕事と妊娠、出産、育児又は介護とを両立するための制度又は措置は、ワーク・ライフ・バランス及び女性職員の活躍推進を実現するために必要なものであること。

ウ 業務分担、安全配慮等の観点から客観的に見て、業務上必要がある言動については、ハラスメントに該当しないこと。

第6 ハラスメント防止対策の体制

1 ハラスメント防止対策総括責任者

(1) 警察本部にハラスメント防止対策総括責任者(以下「総括責任者」という。)を置き、警務部長をもって充てる。

(2) 総括責任者は、ハラスメント防止対策に関する事務を総括するものとする。

2 ハラスメント防止対策総括副責任者

(1) 警察本部にハラスメント防止対策総括副責任者(以下「総括副責任者」という。)を置き、警務部警務課長をもって充てる。

(2) 総括副責任者は、総括責任者を補佐し、ハラスメント防止対策の実効が上がるよう所属に対し必要な指導及び助言を行うものとする。

3 ハラスメント所属責任者

(1) 所属にハラスメント防止対策所属責任者(以下「所属責任者」という。)を置き、所属の長をもって充てる。

(2) 所属責任者は、所属職員に対する指導教養、第8に掲げるハラスメント相談窓口の周知、相談等受理体制の確立等のハラスメント防止対策を推進するものとする。

第7 監督者の責務

職員を監督する立場にある者(警部以上の階級(同相当職を含む。)にある者をいう。以下「監督者」という。)は、次に掲げる事項に留意してハラスメントの防止及び排除に努めなければならない。

(1) あらゆる機会を活用した指導教養により、ハラスメントに関して注意を喚起するとともに、ハラスメントに関する認識を深めさせること。

(2) 職場においてハラスメントが発生していないか、又は発生するおそれがないか、職員の言動に十分な注意を払うこと。

(3) 職員からハラスメントに関して相談等があった場合又はハラスメントに起因する問題が生じた場合は、速やかに所属責任者に報告するとともに、再発防止措置その他必要な措置を講ずること。

第8 ハラスメント相談窓口の設置等

1 ハラスメント本部相談窓口

(1) 警務部警務課にハラスメント本部相談窓口(以下「本部相談窓口」という。)を設置する。

(2) 総括副責任者は、本部相談窓口の事務を担当させるため、警務部警務課の人事を担当する係の職員のうち、人格及び識見に優れ、信望が厚いなど適任と認められるものを本部相談員に指定するものとする。

(3) 本部相談員は、総括副責任者の指揮を受け、相談等に応ずるものとする。

2 ハラスメント所属相談窓口

(1) 所属にハラスメント所属相談窓口(以下「所属相談窓口」という。)を設置する。

(2) 所属責任者は、所属相談窓口の事務を担当させるため、所属職員のうち、人格及び識見に優れ、信望が厚いなど適任と認められるものを所属相談員に指定するものとする。

(3) 所属相談員は、所属責任者の指揮を受け、所属における相談等に応ずるものとする。

第9 相談等

1 相談等の方法

職員は、自己又は他の職員に関しハラスメントに起因する問題が生じた場合は、相談窓口に対し、面談、電話、文書、部外メール(愛知県警察オープンネットワークシステム運用管理要綱の制定(令和5年総情発甲第166号)に定める部外メールをいう。)その他の適切な方法により、相談等を行うことができる。

2 相談等への対応

(1) 相談員は、職員から相談等を受けた場合は、相談者に対して適切な助言を行うとともに、速やかに所属責任者に報告するものとする。

(2) 所属責任者は、職員からの相談等又は監督者若しくは相談員からの報告を受けた場合は、総括副責任者に報告の上、速やかに適切な措置を講ずるものとする。

(3) 総括副責任者は、(2)の報告を受けた場合は、事実関係の調査、総括責任者への報告その他の所要の措置を講ずるものとする。

(4) ハラスメントについて問題提起をする職員をトラブルメーカーとして取り扱い、又はハラスメントに起因する問題を当事者間の個人的な問題と捉えないこと。

(5) 相談者及び関係者(以下「相談者等」という。)の心情、立場等を考慮するとともに、事態を悪化させないために迅速に対応すること。

(6) 相談者等のプライバシー、名誉その他の人権を尊重するとともに、相談等により知り得た秘密を他に漏らしてはならない。

〔令2務警発甲26号令4務警発甲15号・本別記一部改正〕

ハラスメント防止対策要綱の制定

平成29年4月26日 務警発甲第67号

(令和5年11月1日施行)

体系情報
第3編 務/第1章 務/第2節 事/第1款 任用等
沿革情報
平成29年4月26日 務警発甲第67号
令和2年 務警発甲第26号
令和4年 務警発甲第15号
令和5年10月25日 総情発甲第168号