○愛知県警察犯罪被害者支援活動実施要領の制定

平成12年3月31日

務警発甲第36号

このたび、現場における被害者(犯罪等による被害を受けた者及びその遺族をいう。)及びその家族(以下「被害者等」という。)に対する支援活動(以下「被害者支援」という。)の強化を図るため、別記のとおり愛知県警察被害者支援活動要綱を定め、平成12年4月1日から実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。

別記

愛知県警察犯罪被害者支援活動実施要領

第1 趣旨

この要領は、犯罪被害者支援の実施に関し必要な事項を定めるものとする。

第2 犯罪被害者支援体制

1 責任者

(1) 高速道路交通警察隊及び警察署(以下「警察署等」という。)に犯罪被害者支援責任者(以下「責任者」という。)を置く。

(2) 責任者には、高速道路交通警察隊にあっては副隊長を、警察署にあっては副署長をもって充てる。

(3) 責任者は、自所属における犯罪被害者支援に係る実施状況の把握及び総括的な指導監督を行うものとする。

2 副責任者

(1) 警察署等に犯罪被害者支援副責任者(以下「副責任者」という。)を置く。

(2) 副責任者には、高速道路交通警察隊にあっては隊長補佐を、警察署にあっては警務課長をもって充てる。

(3) 副責任者は、3に規定する犯罪被害者支援実施責任者と緊密な連携を図り、自所属における犯罪被害者支援の調整を行うものとする。

3 実施責任者

(1) 警察署等に犯罪被害者支援実施責任者(以下「実施責任者」という。)を置く。

(2) 実施責任者は、高速道路交通警察隊にあっては分駐隊長を、警察署にあっては課長(隊長を含み、警務課長及び会計課長を除く。)をもって充てる。

(3) 実施責任者は、担当する業務に関し円滑な犯罪被害者支援を実施するものとする。

4 住民サービス係長

住民サービス係長は、第3に規定する犯罪被害者支援要員の運用・調整その他犯罪被害者支援に係る総合的な事務を行うものとする。

5 指導責任者

(1) 生活安全総務課、人身安全対策課、少年課、地域総務課、刑事総務課、捜査第一課、組織犯罪対策課、交通捜査課及び警備総務課に犯罪被害者支援指導責任者(以下「指導責任者」という。)を置く。

(2) 指導責任者は、別表第1のとおりとする。

(3) 指導責任者は、担当する業務に関する各警察署の犯罪被害者支援の実施状況の把握に努めるとともに、実施責任者等に対する必要な指導等を行うものとする。

第3 犯罪被害者支援要員

1 犯罪被害者支援要員の指定

高速道路交通警察隊長及び警察署長(以下「署長等」という。)は、所属の警部補以下の階級(同相当職を含む。)にある者のうち適任と認めるものを、高速道路交通警察隊にあっては隊本部及び各分駐隊ごとに、警察署にあっては各課(警察署に附置する隊を含む。)ごとに、それぞれ1人以上犯罪被害者支援要員(以下「支援要員」という。)に指定するものとする。この場合において、女性職員の支援要員及び執務時間外における支援要員の確保に配意するものとする。

2 犯罪被害者支援の対象者

支援要員による犯罪被害者支援の対象者は、別表第2に掲げる犯罪等の被害者等とする。ただし、被害者等が支援を希望しない場合、暴力団等反社会的な団体の抗争に係る当事者である場合その他署長等が明らかに支援の必要がないと認める場合はこの限りでない。

3 支援要員の任務

支援要員は、5の規定により担当者に指名された場合は、被害者等の不安感を除去し、精神的な負担を軽減するため、当該被害者等のニーズに応じて次に掲げる犯罪被害者支援を行うものとする。この場合において、犯罪被害者支援を行う期間については、おおむね1週間とする。

ア 被害者が診療を要する場合における診療先の手配及び診療先への搬送又は付添い

イ 被害者等が事情聴取、実況見分、検証等の捜査活動に協力する際の付添い

ウ 被害に遭った旨その他必要な事項の家族等への連絡及び説明

エ 被害者等の来庁等に伴う自宅等への送迎

オ 被害者等の心配事の聴取及びその解消のための対応

カ 捜査活動に対する要望等の聴取及び捜査員への連絡

キ 事件に関する手続及び捜査活動の必要性の説明

ク 被害者等に対し支援活動を行っている相談機関等の教示

ケ その他必要と認められる支援

4 支援要員の心構え

(1) 被害者等が孤立感や自責感を深めることがないよう被害者等の心理状態を理解すること。

(2) 捜査員と緊密な連携を図ること。

5 担当者の指名

(1) 署長等は、被害者等に対して支援要員による犯罪被害者支援を要すると認めた場合は、支援要員のうちから当該被害者等を担当する者(以下「担当者」という。)を指名するものとする。

(2) 愛知県警察処務規程(昭和51年愛知県警察本部訓令第6号)に規定する当番責任者、当直長又は統括責任者は、執務時間外において緊急を要するときは、(1)の規定にかかわらず、支援要員のうちから担当者を指名することができる。この場合において、速やかに指名した担当者を署長等に報告しなければならない。

6 留意事項

(1) 署長等は、担当者を指名する場合は、当該犯罪等の捜査を担当しない者を指名するものとする。ただし、当該犯罪が性犯罪である場合はこの限りでない。

(2) 担当者の変更は、原則として行わないものとする。ただし、実施責任者は、やむを得ない理由により担当者を変更する場合は、署長等の許可を得てこれを行うものとする。

(3) (2)の規定による担当者の変更を行う場合において、変更前の担当者は、責任者に犯罪被害者支援の実施状況を報告するとともに、変更後の担当者に対する確実な引継ぎを行うものとする。

7 実施状況の報告

担当者は、犯罪被害者支援を行った場合は、犯罪被害者支援実施状況報告書(様式第1)により署長等に報告するものとする。

第4 支援要員の集中運用

1 支援要員の派遣等

(1) 警務部長は、多数の死傷者を伴う凶悪事件等、社会的反響が大きい事件又は事故(以下「事件等」という。)が発生した場合において、支援要員を集中運用する必要があると認めるときは、別表第3の所属別派遣基準表の範囲で、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれに定める方法により派遣を命じる所属(以下「派遣元所属」という。)及び人員を指定して、当該事件等の捜査に当たる警察署等(以下「派遣先所属」という。)に支援要員の派遣を命ずることができる。

ア 当該事件等が警察署の管轄区域において発生した場合

(ア) 原則として、警察本部の所属及び当該警察署と同一のブロック(愛知県警察処務規程第44条第1項の規定により編成されたブロックをいう。以下同じ。)の警察署から指定すること。

(イ) (ア)による派遣元所属及び派遣の人員の指定によっても必要な人員を確保することができない場合は、次に掲げるブロックの組合せを同一のブロックとみなして、派遣元所属及び派遣の人員を指定すること。

a 名古屋東部ブロック及び尾張ブロック

b 名古屋西部ブロック、名古屋中部ブロック及び名古屋南部ブロック

c 西三河ブロック及び東三河ブロック

(ウ) (イ)による派遣元所属及び派遣の人員の指定によっても必要な人員を確保することができない場合は、全てのブロックから派遣元所属及び派遣の人員を指定すること。

イ 当該事件等が高速道路交通警察隊の担当区域において発生した場合

原則として、警察本部の所属及び名古屋東部ブロックの警察署から派遣元所属及び派遣の人員を指定すること。

(2) 警務部長は、(1)の運用によっても必要な人員が確保できないなど、特別な事情がある場合は、(1)の規定によることなく、必要に応じて、全ての所属から派遣の人員を指定することができる。

(3) (1)の場合において、警察本部の庶務を担当する課の長は、部内各課の派遣元所属及び派遣の人員の調整を行うものとする。

(4) (3)の調整により派遣元所属となった警察本部の所属の長にあっては支援要員として適任と認める女性職員を、(1)又は(2)の規定により派遣元所属となった警察署長にあっては第3の1により指定された自所属の支援要員のうち適任と認めるものを、それぞれ派遣要員として指名するものとする。

(5) 住民サービス課長は、(1)又は(2)の場合において、派遣元所属及び派遣の人員を指定するときは、関係所属の長と事前に協議し、必要な調整を行うものとする。

(6) (1)又は(2)の規定による派遣の期間は、原則として2週間以内とする。ただし、警務部長は、犯罪被害者支援の進捗状況等を勘案し、派遣された支援要員の全部又は一部について、その期間を延長し、又は短縮することができる。

2 運用時の体制等

(1) 1により支援要員が派遣されている間、派遣先所属に犯罪被害者支援責任者(以下「支援責任者」という。)を置く。

(2) 支援責任者には、住民サービス課犯罪被害者支援室長をもって充てる。

(3) 支援責任者は、特別捜査本部等との連携を密にして捜査活動との調整を図るとともに、派遣先所属の長の指揮を受け、派遣された支援要員及び派遣先所属の支援要員で犯罪被害者支援班を編成し、これを運用するものとする。

(4) 派遣された支援要員は、派遣先所属の長の指揮監督を受け、当該被害者等のニーズに応じて第3の3のアからケまでに掲げる犯罪被害者支援に当たるものとする。

第5 危機介入カウンセラー

1 危機介入カウンセラーの設置等

(1) 精神的被害が極めて深刻で、著しいストレス障害を抱えているなど、専門的な知識等に基づく支援を要する被害者等に対応するため、住民サービス課に危機介入カウンセラー(以下「カウンセラー」という。)を置く。

(2) カウンセラーは、臨床心理士又はこれに準ずる者をもって充てる。

(3) カウンセラーは、被害者等に対するカウンセリングを行うものとする。

2 派遣依頼等

(1) 署長等は、支援要員による犯罪被害者支援を行っている被害者等について、カウンセラーによるカウンセリングを必要と認めた場合は、危機介入カウンセラー派遣依頼書(様式第2)により住民サービス課長にカウンセラーの派遣を依頼(犯罪被害者支援室経由)するものとする。

(2) 住民サービス課長は、(1)の規定による依頼を受けた場合において、カウンセラーの派遣を相当と認めたときは、カウンセラーを派遣するものとする。

(3) (2)の規定により派遣されたカウンセラーは、危機介入カウンセリング結果報告書(様式第3)により住民サービス課長に実施したカウンセリングの結果を報告するものとする。

(4) 住民サービス課長は、(3)の規定による報告に基づいて、カウンセラーを派遣した署長等に対する必要な助言等を行うものとする。

(5) 住民サービス課長は、危機介入カウンセリング管理簿(様式第4)を備え付けるものとする。

第6 自治体、関係機関等との緊密な連携

1 自治体に対する情報提供及び助言

住民サービス課長は、被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため、関係する市町村との連絡調整を行い、必要な情報提供及び助言を行うものとする。

2 関係機関・団体に対する情報提供及び連携協力

社会的反響の大きい事件又は事故が発生した場合、早期の段階から関係機関・団体と連携した被害者支援活動が不可欠となることから、住民サービス課長は、必要な情報を愛知県被害者支援連絡協議会その他関係機関・団体に提供し、緊密に連携協力を行うものとする。

第7 報告

1 犯罪被害者支援要員等名簿

署長等は、支援要員を指定し、又は変更した場合は、犯罪被害者支援要員名簿(様式第5)により住民サービス課長に報告(犯罪被害者支援室経由。以下同じ。)するものとする。

2 支援要員の運用実態

署長等は、毎月の支援要員の運用実態について、犯罪被害者支援要員運用実態報告書(様式第6)により翌月の5日までに住民サービス課長に報告するものとする。

〔平13務警発甲24号平13務住発甲155号平14務警発甲49号平16務警発甲48号平20生非発甲39号平20務警発甲124号平22務住発甲155号平24務警発甲52号平25務住発甲19号平25務警発甲76号平27務警発甲90号平29務住発甲5号平29刑一・務住発甲190号平30務住発甲62号平31務警発甲47号・本別記一部改正〕

別表第1

〔平14務警発甲49号平15務住発甲55号平16務警発甲48号平20生非発甲39号同交指発甲93号平24務警発甲52号平25務警発甲76号平27務警発甲90号平28務警発甲70号平30務住発甲62号平31務警発甲47号令4務警発甲58号・本表一部改正〕

所属

指導責任者

生活安全総務課

指導教養担当課長補佐

人身安全対策課

人身安全対策担当管理官

少年課

少年事件兼福祉犯対策担当調査官

地域総務課

地域指導室長

刑事総務課

捜査指導室長

捜査第一課

性犯罪捜査指導官

捜査第四課

保護対策官

交通捜査課

交通事故事件捜査統括官(指導担当)

交通事故事件捜査統括官(捜査担当)

警備総務課

警備捜査担当上席管理官

別表第2

〔平15務住発甲55号平22務住発甲155号平25務住発甲19号平29刑総発甲102号・本表一部改正〕

犯罪等の種別

1

殺人事件及びその未遂

2

強盗事件及びその未遂

3

不同意性交等事件及びその未遂

4

不同意わいせつ事件及びその未遂

5

傷害致死事件

6

傷害事件のうち、被害の程度が全治1か月以上のもの

7

逮捕・監禁事件

8

ひき逃げ事件のうち、負傷の程度が全治1か月以上のもの

9

交通死亡事故

10

配偶者による暴力事案、児童虐待事案その他の身体に係る被害を伴う事案(被害の程度が軽微な事案を含む。)のうち、被害者等の精神的被害が大きいと署長等が判断する事案

11

その他署長等が犯罪被害者支援を行う必要があると判断する事案

別表第3

〔平13務住発甲155号・本表追加、平14務警発甲49号平16務警発甲48号平24務警発甲52号平25務警発甲76号平27務警発甲90号・本表一部改正、平29務住発甲5号・本表全部改正〕

所属別派遣基準表

警察本部

人員

総務部

3

警務部

2

生活安全部

2

地域部

2

刑事部

5

交通部

3

警備部

2

本部計

19

ブロック

警察署

人員

ブロック計

名古屋東部ブロック

千種

3

17

名東

2

守山

3

愛知

3

瀬戸

2

春日井

4

名古屋西部ブロック

西

3

17

中村

5

中川

4

3

蟹江

2

名古屋中部ブロック

2

17

3

6

昭和

2

瑞穂

2

熱田

2

名古屋南部ブロック

3

18

3

天白

2

半田

3

東海

3

知多

1

常滑

1

中部空港

2

尾張ブロック

小牧

2

17

西枇杷島

2

江南

2

犬山

2

一宮

4

稲沢

2

津島

3

西三河ブロック

刈谷

2

20

碧南

2

安城

3

西尾

2

岡崎

5

豊田

5

足助

1

東三河ブロック

設楽

1

12

新城

1

豊川

2

蒲郡

2

豊橋

5

田原

1

118

〔平15務住発甲55号平22務住発甲155号平25務住発甲19号・本様式一部改正、平29務住発甲5号・本様式全部改正、令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

画像

〔平15務住発甲55号平22務住発甲155号平29務住発甲5号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

画像

〔平22務住発甲155号・本様式追加、平29務住発甲5号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

画像

〔平22務住発甲155号・本様式追加、平29務住発甲5号・本様式全部改正、令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

画像

〔平13務住発甲155号・本様式全部改正、平15務住発甲55号・本様式一部改正、平22務住発甲155号・旧様式3を繰下、平25務住発甲19号平29務住発甲5号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

画像

〔平15務住発甲55号・本様式全部改正、平22務住発甲155号・旧様式4を一部改正し繰下、平25務住発甲19号平29務住発甲5号同刑総発甲102号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

画像

愛知県警察犯罪被害者支援活動実施要領の制定

平成12年3月31日 務警発甲第36号

(令和5年7月13日施行)

体系情報
第3編 務/第2章 住民サービス/第2節 犯罪被害者支援
沿革情報
平成12年3月31日 務警発甲第36号
平成13年 務警発甲第24号
平成13年 務住発甲第155号
平成14年 務警発甲第49号
平成15年 務住発甲第55号
平成16年 務警発甲第48号
平成20年 交指発甲第93号
平成20年 生非発甲第39号
平成20年 務警発甲第124号
平成22年 務住発甲第155号
平成24年 務警発甲第52号
平成25年 務警発甲第76号
平成25年 務住発甲第19号
平成27年 務警発甲第90号
平成28年 務警発甲第70号
平成29年 刑総発甲第102号
平成29年 務住発甲第5号
平成29年 刑一・務住発甲第190号
平成30年 務住発甲第62号
平成31年 務警発甲第47号
令和元年 務警発甲第93号
令和4年 務警発甲第58号
令和5年3月17日 務警発甲第46号
令和5年7月11日 刑総発甲第125号