○愛知県少年警察活動規程

平成14年12月10日

愛知県警察本部訓令第26号

愛知県少年警察活動規程を次のように定める。

愛知県少年警察活動規程

目次

第1章 総則(第1条~第4条)

第2章 少年警察の体制等(第5条~第8条)

第3章 幹部の職務(第9条~第13条)

第4章 一般的活動(第14条~第22条)

第5章 非行少年についての活動(第23条~第33条)

第6章 犯罪少年事件の捜査(第34条~第38条)

第7章 触法調査(第39条~第44条の2)

第8章 ぐ犯調査(第45条~第50条)

第9章 不良行為少年についての活動(第51条)

第10章 少年の保護のための活動(第52条~第58条)

第11章 補則(第59条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、少年警察活動規則(平成14年国家公安委員会規則第20号。以下「規則」という。)及び少年法第6条の2第3項の規定に基づく警察職員の職務等に関する規則(平成19年国家公安委員会規則第23号。以下「警察職員の職務等に関する規則」という。)に規定するもののほか、少年警察活動に関し必要な事項を定めるものとする。

〔平20本部訓令9号・本条一部改正〕

(定義)

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 少年警察活動 少年の非行の防止及び保護を通じて少年の健全な育成を図るための警察活動をいう。

(2) 署長等 警察本部長又は警察署長をいう。

(3) 少年課長等 少年課長及び警察署長をいう。

(4) 保護者等 保護者(少年法(昭和23年法律第168号)第2条第2項に規定する保護者をいう。以下同じ。)又は少年の在学する学校の教員、少年を雇用する雇用主(保護者に含まれる者を除く。)若しくはこれらに代わるべき者をいう。

(5) 少年相談 少年、保護者等その他の関係者からの少年の非行の防止、被害少年の保護その他少年の健全な育成に係る事項の悩み事、困り事等についての相談をいう。

〔平20本部訓令9号平30本部訓令14号・本条一部改正〕

(少年警察活動の基本)

第3条 少年警察活動は、次に掲げる事項を基本として行うものとする。

(1) 少年の健全な育成の精神

(2) 少年の特性の理解

(3) 処遇の個別化

(4) 秘密の保持

(5) 少年、保護者等その他の関係者からの尊敬と信頼の確保

(6) 国際的動向への配慮

(関係機関等との連携)

第4条 少年警察活動は、学校、家庭裁判所、児童相談所その他の少年の健全な育成に関係する業務を行う機関、少年警察ボランティア(公安委員会又は署長等の委嘱を受けて少年警察活動に参加するボランティアをいう。)その他の少年の健全な育成のための活動を行うボランティア又は団体(以下「関係機関等」という。)との連携と適切な役割分担に配意するものとする。

2 関係機関等との連携に際しては、警察から協力を求めるほか、相手方が主体となって実施する活動にも積極的に協力するものとする。

〔平20本部訓令9号・本条一部改正〕

第2章 少年警察の体制等

(少年警察部門)

第5条 少年警察部門は、少年課及び警察署の少年担当課とする。

〔平30本部訓令14号・本条一部改正〕

(少年補導職員)

第6条 少年相談、継続補導等の専門的な知識及び技能を必要とする少年警察活動を行わせるため、少年課に少年補導職員を置く。

〔平20本部訓令9号令2本部訓令14号・本条一部改正〕

(少年補導職員の指定)

第6条の2 警察本部長は、前条に規定する少年補導職員のうち、少年の心理その他の特性に関する専門的な知識を有し、及び低年齢少年に対する質問その他の職務に必要な事項に関する教育訓練を受け、触法少年事件(触法少年に係る事件をいう。以下同じ。)の調査(以下「触法調査」という。)について専門的知識を有すると認められるものを少年法第6条の2第3項に規定する警察職員に指定するものとする。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

(指定少年補導職員による調査)

第6条の3 少年課長等は、少年法第6条の2第3項の規定に基づき、触法少年事件について、前条の規定により警察本部長が指定した少年補導職員(以下この条において「指定少年補導職員」という。)に、押収、捜索、検証及び鑑定の嘱託を除く調査をさせることができる。

2 少年課長等は、規則第28条の規定に基づき、指定少年補導職員に、ぐ犯少年事件(ぐ犯少年に係る事件をいう。以下同じ。)の調査(以下「ぐ犯調査」という。)をさせることができる。

3 少年課長等は、指定少年補導職員に前2項に規定する調査をさせるに当たっては、秘密の漏えい防止に関して特段の配意をするものとする。

〔平20本部訓令9号・本条追加、平30本部訓令14号・本条一部改正〕

(少年サポートセンター)

第7条 広域的かつ効果的な街頭活動、少年相談等を実施するため、住民の利便、警察署からの距離等を総合的に勘案して最も適当と認められる施設に少年サポートセンターを設置するものとする。

(少年相談室)

第8条 少年相談を適正かつ効果的に実施するための施設として、警察署に少年相談室又は代替相談室(以下「少年相談室等」という。)を設置するものとする。

〔令2本部訓令14号・本条一部改正〕

第3章 幹部の職務

(生活安全部長の職務)

第9条 生活安全部長は、少年警察活動の効果的運営及び適正な実施を図るため、少年警察部門とその他の部門との調整、装備資機材・施設の整備及び関係機関等との連絡・協調を図るものとする。

(署長等の職務)

第10条 署長等は、少年事案に関し、次に掲げる事項を行うものとする。

(1) 捜査主任官(犯罪捜査規範(昭和32年国家公安委員会規則第2号。以下「規範」という。)第20条に規定する捜査主任官をいう。以下同じ。)又は調査主任官を指名すること。

(2) 少年の被疑者、触法少年であると疑うに足りる相当の理由のある者又はぐ犯少年と認められる者の呼出し、取調べ又は質問の要否及び方法を決定すること。

(3) 重要な参考人の呼出し又は面接の要否及び方法を決定すること。

(4) 強制措置及びその解除の要否を決定すること。

(5) 検察官、家庭裁判所又は児童相談所への送致(送付を含む。以下同じ。)又は通告(以下「送致等」という。)その他の措置を決定すること。

(6) 送致等に際して付すべき処遇意見を決定すること。

(7) 継続補導の対象者を少年課長に報告すること。

(8) 被害少年の継続的な支援の対象者を少年課長に報告すること。

(9) 前各号に掲げるもののほか、特に必要があると認めること。

〔平20本部訓令9号令2本部訓令14号・本条一部改正〕

(課長補佐等の職務)

第11条 警察本部の課の附置機関の長、課長補佐、警察署の課長等は、少年事案に関し、次に掲げる事項を行うものとする。

(1) 署長等が決定した処遇の方針に基づき必要な活動を具体的に指示すること。

(2) 事案ごとの担当者を指定すること。

(3) 強制措置及びその解除の時期、場所及び方法を具体的に指示すること。

(4) 少年、保護者等その他の関係者の呼出し、取調べ、質問又は面接の要否、時期、場所及び方法を具体的に指示すること。

〔平20本部訓令9号・本条一部改正〕

(少年担当課長代理の職務)

第11条の2 ブロックセンター警察署の少年警察部門を担当する生活安全課長代理は、ブロック内警察署の少年警察活動に関し、次に掲げる事項を行うものとする。

(1) 非行少年に係る事件に関し、捜査員の応援派遣並びに共同捜査及び合同捜査の調整に関すること。

(2) 非行少年に係る事件に関し、警察署の少年担当課の指導等をすること。

(3) 少年警察活動に関して警察署の少年担当課間の連携活動を促進すること。

(4) 少年非行及び非行集団等の情報を集約管理し警察署に還元すること。

〔平16本部訓令14号・本条追加、平19本部訓令16号平20本部訓令9号・本条一部改正〕

(少年事件指導官)

第12条 少年課に少年事件指導官を置き、非行少年に係る事件の捜査又は調査の指揮、少年心理及び少年審判手続に精通した警視の階級にある警察官のうちから所属長が指名する者をもって充てる。

2 少年事件指導官は、非行少年に係る事件の捜査又は調査が少年の特性に特に配意して行われるよう、次に掲げる事項を行うものとする。

(1) 犯罪少年事件(犯罪少年に係る事件をいう。以下同じ。)のうち要指導事件(公判又は少年審判において立証上の問題が生じるおそれのある事件をいう。次号において同じ。)であるもの、警察本部長が指揮する事件又は触法少年事件のうち家庭裁判所の審判に付することが適当であると認められるものであって、少年警察部門に属する警察官が捜査又は調査を行う事件について、非行事実の厳密かつ周到な立証を徹底するため、当該事件の捜査主任官、調査主任官その他少年警察活動に従事する警察官に対し、公判又は少年審判における立証、低年齢少年の特性を踏まえた調査その他の適正な捜査又は調査の遂行のために必要な指導を行うこと。

(2) 犯罪少年事件のうち要指導事件であるもの、警察本部長が指揮する事件又は触法少年事件のうち家庭裁判所の審判に付することが適当であると認められるものであって、少年警察部門以外の部門に属する警察官が捜査又は調査を行う事件について、当該事件の捜査又は調査を行う部門と密接な連絡を取り、当該部門において前号と同様の指導が的確に行われるよう助言すること。

(3) 第13条に規定する少年事件選別主任者に対して、少年の特性及び少年審判の特質を踏まえた捜査又は調査の指揮、措置の選別、処遇意見の選定等に関する必要な指導及び教養を行うこと。

〔平20本部訓令9号・本条全部改正、平30本部訓令14号・本条一部改正〕

(少年事件選別主任者)

第13条 少年課及び警察署に少年事件選別主任者を置き、少年課長等が指名する者をもって充てる。

2 少年事件選別主任者は、非行少年について的確な措置の選別及び処遇意見の選定を行うものとする。

3 署長等は、措置の選別及び処遇意見の決定をしようとするとき並びに少年又は重要な参考人の呼出し、令状の請求、事件の送致等を行うときは、少年の心理、生理その他の特性にかんがみ配意すべき事項について、少年事件選別主任者の意見を聴くものとする。

4 捜査主任官又は調査主任官は、身体の拘束を受けていない少年の被疑者の指紋及び掌紋の採取並びに写真撮影を行うときは、少年事件選別主任者の意見を聴くものとする。

5 前2項の規定にかかわらず、交通法令違反(犯罪統計細則(昭和46年警察庁訓令第16号)第2条第2号に規定する罪をいう。以下同じ。)又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年法律第86号。以下「自動車運転死傷処罰法」という。)に規定する罪若しくは交通事故に係る刑法(明治40年法律第45号)に規定する罪に係る犯罪少年事件又は触法少年事件については、当該少年の適正な処遇を図るため特に必要と認められる場合を除き、署長等又は捜査主任官若しくは調査主任官は、少年事件選別主任者の意見を聴かないことができる。

〔平20本部訓令9号・本条全部改正、平26本部訓令17号平30本部訓令14号令2本部訓令32号・本条一部改正〕

第4章 一般的活動

(発見及び措置)

第14条 警察職員は、少年の健全な育成に資するため、あらゆる職務執行の機会をとらえ、非行少年、不良行為少年、被害少年、要保護少年及び児童虐待を受けたと思われる児童の早期発見に努めるものとする。

2 警察職員は、非行少年、不良行為少年、被害少年、要保護少年及び児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合は、直ちに、事案に応じた適切な少年警察活動を実施するとともに、次に掲げる事項を所属長に報告するものとする。

(1) 少年の氏名、年齢及び住居

(2) 少年の職業及び勤務先又は在学する学校及び学年

(3) 保護者の氏名、住居、職業及び少年との続柄

(4) 少年を発見した経緯及び事案の概要

(5) 発見者の執った措置

(6) 前各号に掲げるもののほか、必要と認められる事項

3 前項の規定による報告を受けた警察署長は、特異又は重要と認められるものについて、警察本部長に速やかに報告(少年課長経由。以下同じ。)するものとする。

4 第2項の規定による報告を受けた警察本部の所属長は、少年課長に速やかに連絡するものとする。

〔平20本部訓令9号平30本部訓令14号・本条一部改正〕

(街頭補導)

第15条 街頭補導は、少年の非行が行われやすい場所を重点として、関係機関等との連携に配意しつつ、管内の実態に即して計画的に実施するものとする。

(少年相談)

第16条 少年相談は、原則として少年警察部門において取り扱うものとする。

2 少年警察部門以外の部門に属する警察職員が少年相談を受けた場合は、少年警察部門に属する警察官に引き継ぐものとする。ただし、当該少年相談を受けた警察職員が自ら取り扱うことが適当であると所属長が認めたときは、この限りでない。

3 少年相談は、少年サポートセンター又は少年相談室等において行うものとする。ただし、必要がある場合は、当該相談者が落ちついて相談のできる適当な場所に出向いて行うことができる。

4 少年警察部門に属しない事案について相談を受けた場合は、当該事案を担当すべき部門又は児童相談所等の関係機関に引き継ぐ等相談者の立場に立った適切な対応に努めるものとする。この場合においては、当該相談者に引継先、連絡方法その他必要な事項を説明するものとする。

〔平20本部訓令9号令2本部訓令14号・本条一部改正〕

(継続補導)

第17条 少年課長は、次に掲げる少年について、その健全な育成を図るため必要と認められる場合は、保護者の同意を得た上で、当該少年に対する指導、助言その他の補導を継続的に実施するものとする。ただし、特定少年に対して継続補導を実施する場合は、本人の同意を得るものとする。

(1) 少年相談に係る少年

(2) 触法少年又は低年齢少年たるぐ犯少年であって、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第25条第1項の規定により通告すべきものに該当しない少年

(3) 不良行為少年

2 継続補導は、原則として、少年サポートセンターに配置された警察官、少年補導職員等が実施するものとする。ただし、警察署の警察官、スクールサポーター等が実施することが適当であると少年課長が認めた場合は、この限りではない。

〔平20本部訓令9号平28本部訓令25号平30本部訓令14号令2本部訓令14号・本条一部改正〕

(少年の規範意識の向上等に資する活動)

第18条 少年課長等は、少年の規範意識の向上又は社会の一員としての意識のかん養に資するため、関係機関等との役割分担の下、広く少年の参加を得て行う環境美化活動、福祉施設の訪問活動、生産体験活動その他の社会参加活動、警察署の体育場等における少年柔剣道教室等少年の身体的・精神的よりどころとなる居場所づくりを推進するものとする。

〔平30本部訓令14号・本条一部改正〕

(情報発信)

第19条 少年課長等は、少年警察活動に対する県民の深い理解と積極的な協力を得るとともに、県民及び関係機関等の自発的な活動を促し、及び支援するために、少年の非行及び犯罪被害の実態並びに少年警察活動の状況に関する情報を積極的に発信するものとする。

2 前項に規定する情報発信に際しては、少年警察活動に関する専門的な知識、技能、情報等が、関係機関等における少年の健全な育成に向けた各種の活動に効果的に反映されるよう配意するものとする。

〔平30本部訓令14号・本条一部改正〕

(基礎資料の整備活用)

第20条 少年課長等は、少年の非行の防止と保護を図るため、少年警察活動に関する基礎的な資料の整備及びその効果的活用に努めるものとする。

〔平30本部訓令14号・本条一部改正〕

(有害環境の排除等)

第21条 所属長は、有害環境があると認める場合は、関係機関等との緊密な連携及び適切な役割分担の下、有害環境の少年に対する影響の排除に努めるものとする。

2 前項の場合において、警察署長は知事その他の関係行政機関に対して、警察本部の所属長は少年課長に対して連絡するものとする。当該連絡を受けた少年課長は、知事その他の関係行政機関に対して連絡するものとする。

〔平20本部訓令9号・本条一部改正〕

(報道発表)

第22条 少年の事案に関する報道機関への発表は、部長若しくは警察署長又はあらかじめ指定する者が当たるものとする。

2 前項の発表に当たっては、少年の氏名若しくはその在学する学校名又はこれらを推知させるような事項は、提供しないものとする。ただし、特定少年のとき犯した罪に係る事件であって当該罪により公訴を提起(略式命令の請求がされたものを除く。)された者に係る事項を提供する場合又は公開手配その他の特別な事由がある場合は、この限りでない。

第5章 非行少年についての活動

(非行少年についての活動の種別)

第23条 非行少年に係る少年警察活動は、次に掲げるものとする。

(1) 犯罪少年事件の捜査

(2) 触法調査及びぐ犯調査

(3) 少年の適切な処遇に資するために必要な措置

〔平20本部訓令9号・本条一部改正〕

(捜査又は調査の基本)

第24条 犯罪少年事件の捜査については、家庭裁判所の審判その他の処理に資することを念頭に置き、規範第24条、第204条及び第206条に規定する事項を基本として、少年の健全な育成を期する精神をもって当たらなければならない。

2 触法調査及びぐ犯調査については、少年法及び児童福祉法に基づく措置に資することを念頭に置き、少年の健全な育成を期する精神をもって当たらなければならない。また、触法調査については、その方法や留意事項について、刑事事件の捜査と共通する部分があることから、規則第3章第2節に規定するもののほか、その性質に反しない限り、規範第12章の例によるものとする。

〔平20本部訓令9号・本条全部改正、令2本部訓令14号・本条一部改正〕

(捜査及び調査を行う部門)

第25条 犯罪少年事件の捜査並びに触法調査及びぐ犯調査については、少年の特性に配意しつつ、個々の少年の適正な処遇に努めなければならないことに鑑み、原則として、少年警察部門に属する警察官が行うものとする。ただし、次に掲げる事件の捜査又は調査については、この限りでない。

(1) 20歳以上の被疑者を主とする事件に関連する犯罪少年事件

(2) 少年法第20条第2項又は第62条第2項の規定により、原則として家庭裁判所から検察官に送致されることとなる犯罪少年事件

(3) 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪又は死刑若しくは無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る犯罪少年事件

(4) 交通法令違反又は自動車運転死傷処罰法に規定する罪若しくは交通事故に係る刑法に規定する罪に係る犯罪少年事件又は触法少年事件

(5) 前各号に掲げるもののほか、事件の内容、捜査又は調査を行う上での人的体制、効率性等から判断して、少年警察部門以外の部門に属する警察官に行わせることが適当であると署長等が認めた非行少年に係る事件

2 署長等は、非行少年に係る事件の捜査又は調査を少年警察部門以外の部門に属する警察官に行わせる場合は、少年事件選別主任者に対し、少年の特性に配意した捜査又は調査が行われるよう、捜査又は調査の経過について常に把握させるものとする。また、必要があると認めるときは、少年の取調べ又は質問を少年警察部門に属する警察官に行わせることについても配意するほか、必要な支援を行わせるものとする。

〔平19本部訓令16号同17号・本条一部改正、平20本部訓令9号・見出し改正・本条一部改正、平26本部訓令17号令2本部訓令32号・本条一部改正〕

(年齢の確認)

第26条 非行少年に係る事件の捜査又は調査に当たっては、刑法、少年法及び児童福祉法の適用に過誤のないようにするため、現在及び行為時における当該少年の正確な年齢を確認しなければならない。

〔平20本部訓令9号・本条一部改正〕

(捜査又は調査上明らかにすべき事項)

第27条 非行少年に係る事件の捜査又は調査に当たっては、次に掲げる事項を明らかにするものとする。

(1) 事件の存否、態様、原因及び動機

(2) 少年の性格、行状、経歴及び教育程度

(3) 少年の家庭、学校又は職場の状況、交友関係及び住居地の環境

(4) 少年の非行の防止及び立直りに協力することができるボランティアの有無

(5) 前各号に掲げるもののほか、必要と認められる事項

2 前項に規定する非行少年に係る事件の捜査又は調査に当たっては、次に掲げる事項に留意するものとする。

(1) 捜査又は調査の範囲は、送致等の決定に必要であり、かつ、非行少年の処遇並びに当該少年の健全な育成及び立直りに資するために必要な限度にとどめること。

(2) みだりに少年、保護者等その他の関係者のプライバシーを侵害しないようにすること。

(3) 保護者等その他少年について事情を知っていると認められる者の協力を求めること。

(4) 先入観にとらわれたり、推測にわたることなく、正確な資料を収集すること。

〔平20本部訓令9号・本条一部改正〕

(迅速な捜査又は調査)

第28条 非行少年に係る事件の捜査又は調査に当たっては、その著しい遅延が、少年の健全な育成及び犯罪被害者支援の観点から適当でないことから、迅速な捜査又は調査に努めなければならない。

〔平20本部訓令9号平25本部訓令4号・本条一部改正〕

(呼出し)

第29条 非行少年に係る事件の捜査又は調査のため少年を呼び出す場合は、保護者等に連絡するものとする。ただし、保護者等に連絡することが当該少年の福祉上著しく不適当であると認められるときは、この限りでない。

2 前項の規定による呼出しに当たっては、次に掲げる事項に配意するものとする。

(1) 呼出しを受ける者の心情を理解するとともに、呼出しを行う場所、時期、時間、方法等について配意し、少年が無用な不安を抱かないようにすること。

(2) 呼出しは、電話、呼出状(犯罪少年事件における呼出状は規範別記様式第7号をいい、触法少年事件及びぐ犯少年事件における呼出状は別に定めるものをいう。)の送付その他適当な方法により行い、かつ、保護者等の納得を得て行うように努めるとともに、必要に応じて保護者等の同道を依頼するなど、その協力と信頼を得られるよう努めること。

3 被害者その他の参考人として少年を呼び出す場合は、前2項に掲げる事項に配意するほか、警察から呼び出されたことによる心理的な負担の軽減に努めるなど少年の心情に配意するものとする。

4 保護者等を呼び出す場合は、当該保護者等が少年の非行に関して警察から呼び出されたことが周囲の者に分からないように配意するものとする。

5 少年、保護者等又は参考人を呼び出す場合は、出頭すべき又は出向くべき日時、場所、用件その他の必要な事項を呼び出す相手方に確実に伝達するとともに、呼出簿(犯罪少年事件における呼出簿は規範別記様式第8号をいい、触法少年事件及びぐ犯少年事件における呼出簿は別に定めるものをいう。)に所要事項を確実に記載して、その処理の経過を明らかにしておかなければならない。この場合において、少年又は重要な参考人の呼出しについては、署長等に報告し、その指揮を受けなければならない。

〔平20本部訓令9号・本条一部改正〕

(取調べ、質問及び面接)

第30条 非行少年に係る事件の捜査又は調査のため少年の取調べ、質問又は面接を行う場合は、次に掲げる事項に配意するものとする。

(1) 少年の特性にかんがみ温情と理解をもって当たり、当該少年の心情を傷つけないようにすること。

(2) 保護者等に連絡すること。ただし、保護者等に連絡することが当該少年の福祉上著しく不適当であると認められるときは、この限りでない。

(3) やむを得ない場合を除き、少年と同道した保護者等を立ち会わせること。

2 被害者その他の参考人としての少年と面接するときは、その時間、場所、方法、保護者等の立会い等に配意し、面接に伴う心理的な負担を軽減するよう努めるなど少年の心情に配意するものとする。

〔平20本部訓令9号・見出し改正・本条一部改正〕

(措置の選別及び処遇意見)

第31条 署長等は、非行少年について、次に掲げる措置を的確に選別するものとする。

(1) 送致等の要否

(2) 犯罪少年事件の送致についての通常の送致又は簡易送致の区分

(3) 送致等をする場合の送致等先の機関

2 署長等は、非行少年の送致等(簡易送致を除く。)に当たっては、最も適切と認められる処遇上の意見を付すものとする。

3 署長等は、前2項の規定による措置の選別及び処遇意見の決定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。

(1) 事案の態様

(2) 非行の動機及び原因

(3) 再非行のおそれ

(4) 保護者の実情

(5) 非行少年の非行の防止及び立直りに向けての保護者の方針及び意向

(6) 関係機関等の意見

4 署長等は、非行少年の送致等に当たっては、必要に応じ、少年及び保護者等に対して、送致等の趣旨を説明し、及び今後留意すべき事項について助言するものとする。

5 署長等は、非行少年を在宅のまま送致等をする場合において、再非行のおそれが大きいと認められるときは、送致等先の機関において、速やかに少年法又は児童福祉法の規定による措置が執られるように連絡するものとする。

〔平19本部訓令16号同17号・本条一部改正、平20本部訓令9号・見出し改正・本条一部改正〕

(少年事件処理簿等)

第32条 触法少年及びぐ犯少年の適正な処遇及び健全な育成に資するため、少年警察部門に別に定める少年事件処理簿を備え、調査の指揮及び事件の送致等その他の事件の処理の経過を明らかにしておかなければならない。

2 犯罪少年事件については、規範第201条に規定する犯罪事件処理簿を作成し、事件の処理の状況を記載するものとする。

〔平20本部訓令9号・見出し改正・本条一部改正〕

(少年カード)

第33条 送致等の措置を執った非行少年及び通告の措置を執らなかった触法少年(交通法令違反又は自動車運転死傷処罰法に規定する罪若しくは交通事故に係る刑法に規定する罪に係る非行少年を除く。)については、その適正な処遇及び健全な育成に資するため、別に定める少年カードを作成するものとする。

〔平19本部訓令16号同17号平20本部訓令9号平26本部訓令17号令2本部訓令32号・本条一部改正〕

第6章 犯罪少年事件の捜査

〔平20本部訓令9号・章名改正〕

(強制措置の制限)

第34条 署長等は、少年の被疑者については、できる限り、逮捕、留置その他の強制の措置を避けるものとする。

2 署長等は、前項に規定する強制の措置を執る場合は、次に掲げる事項に留意するものとする。

(1) 少年の被疑者の年齢、性格、非行歴、犯罪の態様、留置の時刻等から当該少年の被疑者に及ぼす精神的影響を勘案して判断すること。

(2) 執行の時期、場所、方法等について慎重に配意し、少年の被疑者の心情を傷つけることのないように配意すること。

(3) 少年の被疑者を留置する場合は、20歳以上の者と分離し、かつ、原則として各別に収容すること。なお、少年法第20条第1項又は第62条第1項の規定に基づく検察官への逆送の決定があった特定少年の被疑事件の被疑者に対しては、当該事件に係る留置に限って、同法第49条第1項及び第3項の規定が適用されないこととされているが、事情の許す限り、各別の収容に努めること。

(4) 少年の被疑者を留置した場合は、特定少年であるか否かにかかわらず、原則として、速やかにその保護者等に連絡すること。

〔平20本部訓令9号・本条一部改正〕

(指紋の採取等)

第35条 身体の拘束を受けていない少年の被疑者の指紋及び掌紋の採取並びに写真撮影については、犯罪捜査のため必要やむを得ない場合で、本人の承諾を得たときに限り行うものとする。

2 前項に規定する指紋及び掌紋の採取並びに写真撮影に当たっては、少年の被疑者の心情を傷つけることのないよう、その時期、場所、方法等について配意するものとする。

〔平20本部訓令9号・本条一部改正〕

(親告罪等に関する措置)

第36条 親告罪である少年の犯罪について告訴がなされないことが明らかになった場合において、将来における非行の防止上必要があると認めるときは、犯罪少年として検察官又は家庭裁判所に送致することを考慮して所要の措置を執るものとする。この場合は、みだりに被害者等を呼び出すなど被害者等の心情に反する措置は避けるものとする。

2 前項に規定する所要の措置を執った犯罪少年を送致するときは、被害者等が送致先の機関によってみだりに呼び出されることのないよう当該機関に連絡することに留意するものとする。

3 前2項の規定は、少年が親族であるため刑が免除される罪又は請求を待って論ずる罪を犯した場合に準用する。

〔平20本部訓令9号・本条一部改正〕

(所持物件の措置)

第37条 犯罪少年事件の捜査に当たり、少年の非行の防止上所持させておくことが適当でないと認められる物件を少年の被疑者が所持している場合において、法令の規定により押収することができないときは、所有者その他の権利者に返還させ、保護者等に預けさせ、廃棄させるなど当該少年の被疑者が当該物件を所持しないように注意、助言等をするものとする。

2 前項の場合は、当該物件の措置の経過を明らかにしておくものとする。

〔平20本部訓令9号・見出し改正・本条一部改正〕

(余罪の捜査)

第38条 少年の被疑者に関する余罪の捜査に当たっては、当該少年の内省を促し、その立直りを図るとともに、再非行のおそれの判断に資するように配意するものとする。また、余罪の捜査が遅延すれば、既に送致した事件に係る審判が終了した後に余罪の取調べを行うなど少年の立直りを妨げることにもつながることから、余罪の捜査は、迅速かつ的確に行うものとする。

〔平20本部訓令9号・本条一部改正〕

第7章 触法調査

〔平20本部訓令9号・章名改正〕

(心構え)

第39条 少年の適正な処遇を図るためには、非行事実を解明することが前提であり、個々の触法調査においては、特に低年齢少年が精神的に未成熟であり、可塑性に富むこと、迎合する傾向にあること等の特性に配意しつつ、捜索、差押え等を適正に運用し、非行事実の解明等を的確に行わなければならない。

〔平20本部訓令9号・本条全部改正〕

(調査主任官)

第39条の2 署長等は、規則第18条第1項の規定に基づき、個々の触法調査について、事件の内容、所属の職員の調査能力等を勘案し、調査主任官を指名するものとする。

2 前項の調査主任官は、当該触法調査の状況を詳細に把握するとともに、低年齢少年の特性に対する深い理解をもって職務を行うものとする。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

(付添人の選任)

第39条の3 付添人の選任に当たっては、規則第19条の規定によるほか、触法少年であると疑うに足りる相当の理由のある者(以下「触法少年疑い者」という。)又はその保護者に対して、付添人制度について分かりやすく説明するとともに、必要に応じて関係する団体等についての紹介、助言等を行うように配意するものとする。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

(質問)

第39条の4 触法少年疑い者に質問するに当たっては、第30条及び規則第20条の規定によるほか、当該触法少年疑い者に対し、自己の意思に反して供述する必要がない旨を当該触法少年疑い者の年齢等に応じて分かりやすく告げるものとする。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

(捜査手続との区別)

第39条の5 低年齢少年の刑罰法令に触れる行為については、原則として刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)等に規定する捜査手続によって取り扱ってはならない。しかし、触法少年事件であると断定できない段階においては、事案の真相を明らかにするための捜査を尽くす必要があり、特に、殺人、強盗等の重要な事件については、明らかに低年齢少年によるものと認められる場合であっても、共犯関係にある者が存在する可能性があることに留意するものとする。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

(強制措置の制限)

第39条の6 署長等は、触法少年疑い者については、できる限り、強制の措置(令状又は許可状による捜索、差押え、検証、身体検査及び鑑定の処分をいう。)を避けるものとし、強制の措置を決定する場合には、触法少年疑い者の年齢、性格、非行歴、事件の内容等から当該触法少年疑い者に及ぼす精神的影響を勘案して判断するとともに、執行の時期、場所、方法等について、触法少年疑い者の心情を傷つけることのないよう配意するものとする。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

(令状の請求)

第39条の7 触法調査に係る捜索、差押え、検証若しくは身体検査の令状又は鑑定処分許可状の請求は、警察本部の所属にあっては次長等(次長、副隊長、上席管理官、管理官及び調査官の職にある警察官をいう。)が、警察署にあっては副署長又は課長(警視の階級にある者に限る。)が行うものとする。

2 前条の請求をしたときは、別に定める令状請求簿により、請求の手続、発付後の状況等を明らかにしておかなければならない。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

(警察本部長又は主管部長の指揮)

第39条の8 警察署長は、前条の令状の請求をする事件については、少年事件処理簿により警察本部長又は主管部長(触法調査を主管する部長をいう。次項において同じ。)の指揮を受けなければならない。この場合における指揮の伺いは、主管課長(触法調査を主管する警察本部の所属長をいう。次項において同じ。)に依頼するものとする。

2 前項の規定により警察署長から依頼を受けた主管課長は、少年事件処理簿により警察本部長又は主管部長の指揮を受けるものとする。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

(証拠物件の保管及び還付公告)

第39条の9 触法少年事件の証拠物件の保管及び還付公告に関する細目的事項は、別に定める。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

(強制捜査の後に触法少年事件であることが判明したときの措置)

第40条 逮捕した少年の行為が14歳未満の時に行われたものであることが明らかになった場合は、直ちに釈放しなければならない。

2 捜査としての捜索等により証拠品を差し押さえた場合において、触法少年事件であることが判明したときは、直ちに証拠品の還付手続を開始しなければならない。ただし、還付手続中又は還付済みの物件を引き続き必要とする場合は、第44条に定めるところにより措置するものとする。

3 被疑者の年齢が判明しないため、既にその事件について逮捕状若しくは鑑定留置状又は捜査のための捜索、差押え、検証若しくは身体検査の令状若しくは鑑定処分許可状の発付を得ている場合において、触法少年事件であることが判明したときは、速やかに、当該令状を発付した裁判官に返還するものとする。この場合において、触法調査のための捜索、差押え、検証若しくは身体検査の令状又は鑑定処分許可状の発付を得る必要があるときは、改めて当該令状を請求するものとする。

〔平20本部訓令9号・見出し改正・本条一部改正〕

(触法少年事件の送致又は通告)

第41条 署長等は、触法少年事件を児童相談所長に送致する場合は、別に定める触法少年事件送致書を作成し、これに別に定める身上調査表その他の関係書類を添付して行うものとする。

2 触法少年事件を児童相談所に通告する場合は、別に定める児童通告書により行うほか、調査概要結果通知書(警察職員の職務等に関する規則別記様式)により触法調査の概要及び結果を通知するものとする。ただし、触法少年疑い者が要保護児童(児童福祉法第6条の3に規定する要保護児童をいう。以下同じ。)であり、急を要し、児童通告書を作成して通告するいとまがないときは、口頭により通告し、その内容を記載した別に定める児童通告通知書を事後に送付するものとする。

〔平20本部訓令9号・本条全部改正〕

(関係書類の作成)

第42条 署長等は、触法調査について送致等先の機関の処遇の適正又は補導の適正を期すため必要があると認められる場合は、別に定める調査報告書のほか、当該触法少年疑い者、保護者等又は関係者について別に定める申述書、答申書その他必要な調査関係書類を作成し、又は徴するものとする。

〔平20本部訓令9号・見出し改正・本条一部改正〕

(一時保護)

第43条 署長等は、触法少年疑い者について、児童福祉法第33条第1項の規定により児童相談所長の委託を受けた場合は、一時保護を加えるものとする。

2 署長等は、前項に規定する一時保護を加える場合は、次に掲げる事項に留意するものとする。

(1) 保護にふさわしい部屋を使用するものとし、かぎを掛ける場合は、触法少年疑い者の行動範囲がなるべく広くなるよう配意すること。この場合において、一時保護に留置施設を使用してはならないこと。

(2) 触法少年疑い者が負傷し、自殺し、又は保護から逃れることがないように注意するとともに、触法少年疑い者が火災その他自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼす事故を起こさないように注意すること。

(3) 速やかに触法少年疑い者の保護者等に一時保護をした旨を連絡すること。ただし、児童虐待を受けた児童を一時保護した場合において、児童虐待の防止等に関する法律第12条第3項の規定により、児童相談所長が当該児童虐待を行った保護者に対し当該児童の住所又は居所を明らかにしないこととしたときは、この限りではない。

〔平19本部訓令11号・本条一部改正、平20本部訓令9号・見出し改正・本条一部改正〕

(所持物件の措置)

第44条 署長等は、触法少年事件の証拠物件並びに少年法第24条の2第1項各号及び第2項各号のいずれかに該当する物件については、少年法第6条の5第2項の規定により準用する刑事訴訟法の規定に基づいて措置することができる。

2 触法少年疑い者と他の被疑者とが共犯関係にある場合は、当該触法少年疑い者が所持する物件を、他の被疑者に関する捜査上の手続により押収することができる。

3 第37条の規定は、少年の非行の防止上所持させておくことが適当でないと認められる物件を触法少年疑い者が所持している場合に準用する。この場合において、「犯罪少年事件の捜査」とあるのは「触法調査」と、「少年の被疑者」とあるのは「触法少年疑い者」と読み替えるものとする。

〔平20本部訓令9号・本条全部改正〕

(指導教養)

第44条の2 署長等は、触法調査に従事する者に対し、低年齢少年の特性その他の職務遂行に必要な知識及び技能に関する指導教養を定期的に行い、調査能力の向上に努めるものとする。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

第8章 ぐ犯調査

〔平20本部訓令9号・章名改正〕

(調査主任官)

第45条 署長等は、規則第30条第1項の規定に基づき、個々のぐ犯調査について、事件の内容、所属の職員の調査能力等を勘案し、調査主任官を指名するものとする。

2 前項の調査主任官は、当該ぐ犯調査の状況を詳細に把握するとともに、少年の特性に対する深い理解を持って職務を行うものとする。

〔平20本部訓令9号・本条全部改正〕

(質問)

第45条の2 第39条の4の規定は、低年齢少年たるぐ犯少年と認められる者に対する質問について準用する。この場合において、「触法少年疑い者」とあるのは「低年齢少年たるぐ犯少年と認められる者」と、「第30条及び規則第20条」とあるのは「第30条、規則第31条及び規則第32条」と読み替えるものとする。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

(ぐ犯少年事件の送致又は通告)

第45条の3 署長等は、ぐ犯調査の結果、処理をする時において、当該ぐ犯少年と認められる者が14歳以上であって、その者を家庭裁判所の審判に付することが適当と認められるときは、別に定めるぐ犯少年事件送致書を作成し、これに身上調査表その他の関係書類を添付して家庭裁判所に送致するものとする。

2 署長等は、処理をする時において、当該ぐ犯少年と認められる者が14歳以上であって、保護者がないとき又は保護者に監護させることが不適当であると認められ、かつ、家庭裁判所に直接送致するよりも、まず、児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認められるときは、児童通告書により児童相談所に通告するものとする。

3 署長等は、処理をする時において、当該ぐ犯少年と認められる者が低年齢少年であって、保護者がないとき又は保護者に監護させることが不適当であると認められるときは、児童通告書により児童相談所に通告するものとする。

4 前2項の規定は、急を要し、児童通告書を作成して通告するいとまがない場合は、口頭により通告し、その内容を記載した児童通告通知書を事後に送付するものとする。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

(関係書類の作成)

第46条 第42条の規定は、ぐ犯調査に関する書類の作成について準用する。この場合において、「触法調査」とあるのは「ぐ犯調査」と、「触法少年疑い者」とあるのは、「ぐ犯少年と認められる者」と読み替えるものとする。

〔平20本部訓令9号・見出し改正・本条一部改正〕

(ぐ犯少年と認められる者についての緊急措置)

第47条 署長等は、家庭裁判所の審判に付すべきぐ犯少年と認められる者について、緊急に保護する必要があると認められる場合は、電話その他の方法により、直ちに家庭裁判所にその状況を通報するものとする。

2 署長等は、少年法第13条第2項の規定により、ぐ犯少年と認められる者に対して同行状を執行した場合において、警察署に留め置く必要があるときは、第43条第2項に規定する留意事項に準じて取り扱うものとする。

〔平20本部訓令9号・見出し改正・本条一部改正〕

(一時保護)

第48条 第43条の規定は、ぐ犯少年と認められる者の一時保護について準用する。この場合において、「触法少年疑い者」とあるのは、「ぐ犯少年と認められる者」と読み替えるものとする。

〔平20本部訓令9号・見出し改正・本条一部改正〕

(所持物件の措置)

第49条 署長等は、ぐ犯少年と認められる者が少年法第24条の2第1項各号及び第2項各号のいずれかに該当する物件その他家庭裁判所の審判に必要と認められる物件を所持しているときは、その同意を得た上で、一時これを預かるものとする。この場合は、別に定める預り書の作成、保護者等の申述書の作成等により物件の措置の経過を明らかにしておくものとする。

2 署長等は、ぐ犯少年と認められる者以外の者が少年法第24条の2第1項各号及び第2項各号のいずれかに該当する物件を所持している場合等で、事案処理のため特にその物件を必要と認めるときは、所有者等の協力を得て、別に定める任意差出書とともにその物件の提出を求めるものとする。

3 第37条の規定は、少年の非行防止上所持することが適当でないと認められる物件をぐ犯少年と認められる者が所持している場合に準用する。この場合において、「犯罪少年事件の捜査」とあるのは「ぐ犯調査」と、「少年の被疑者」とあるのは「ぐ犯少年と認められる者」と読み替えるものとする。

〔平20本部訓令9号・本条全部改正〕

(指導教養)

第50条 署長等は、ぐ犯調査に従事する者に対し、少年の心理その他職務遂行に必要な知識及び技能に関する指導教養を定期的に行い、調査能力の向上に努めるものとする。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

第9章 不良行為少年についての活動

(不良行為少年の補導等)

第51条 警察職員は、不良行為少年を発見した場合は、当該不良行為についての注意、その後の非行を防止するための指導及び助言その他必要な措置(以下「補導」という。)を行うものとする。この場合において、保護者等に連絡する必要があると認めるときは、別に定める少年補導票を作成するものとする。

〔平20本部訓令9号・旧50条を一部改正し繰下〕

第10章 少年の保護のための活動

(被害少年の支援等)

第52条 警察職員は、被害少年を発見したときは、現場における助言、再び被害に遭うことを防止するための助言又は指導、関係機関の紹介等の支援を行うものとする。

2 少年課長等は、被害少年の支援を実施する場合は、犯罪被害者支援部門との連携に配意するものとする。この場合において、少年課長は被害少年の精神的打撃の軽減を図るため継続的な支援を行うときは、必要に応じて臨床心理学、精神医学等の専門家の助言を受けるなどして行うものとする。この場合において、特定少年である被害少年に対して継続的な支援を行うときは、本人の同意を得るものとする。

〔平20本部訓令9号・旧53条を繰上、平25本部訓令4号平30本部訓令14号令2本部訓令14号・本条一部改正〕

(福祉犯の取締り)

第53条 福祉犯事件を認知した場合は、時機を失することなく捜査を行うものとする。

2 署長等は、当該福祉犯事件の捜査を少年警察部門以外の部門に属する警察官が行う場合において、少年警察部門が捜査し、又は調査している事件と密接な関係等があるときは、必要に応じ、少年警察部門に属する警察官に捜査させるよう配意するものとする。

〔平20本部訓令9号・旧54条を一部改正し繰上〕

(福祉犯の被害少年の保護等)

第54条 少年課長等は、福祉犯に係る被害少年の再被害防止のため、保護者等に対して指導及び助言を行うものとする。

2 署長等は、反復継続して少年が被害者となることを防止するため、福祉犯事件に関係した事業者を指導監督する行政機関に当該事件を連絡し、必要な行政処分等を促すなどの措置を執るものとする。

〔平20本部訓令9号・旧55条を繰上、令2本部訓令14号・本条一部改正〕

(要保護少年の児童相談所への通告)

第55条 署長等は、18歳未満の要保護少年について、少年に保護者がないとき又は保護者に監護させることが不適当であると認められるときは、児童通告書又は口頭により児童相談所に通告するものとする。この場合において、口頭により通告したときは、その内容を記載した児童通告通知書を事後に送付するものとする。

2 署長等は、要保護少年を通告しない場合は、その保護者に対する助言、学校への連絡その他の必要な措置を執るものとする。

〔平20本部訓令9号・本条追加〕

(児童虐待を受けたと思われる児童の児童相談所への通告)

第55条の2 署長等は、児童虐待を受けたと思われる児童を発見したときは、速やかに、児童通告書又は口頭により児童相談所に通告するものとする。この場合において、口頭により通告したときは、その内容を記載した児童通告通知書を事後に送付するものとする。

なお、児童虐待の事実が必ずしも明らかでない場合であっても、児童虐待を受けたと思われると認めたときは、児童の早期保護のため、積極的に児童相談所に通告するものとする。

(少年事案処理簿等)

第56条 署長等は、児童相談所への通告が必要と認められる要保護少年及び児童虐待を受けたと思われる児童並びに別に定める継続補導簿及び少年補導票の作成を要しないが特に必要と認められる不良行為少年については、その適正な処遇及び健全な育成に資するため、別に定める少年事案処理簿を作成し、事案の処理の状況を記載するものとする。

2 少年課長は、継続的な支援を行う必要があると認められる被害少年(その保護者の同意を得たときに限る。)については、その適切な支援に資するため、別に定める被害少年サポート・カードを作成し、支援の状況を記載するものとする。

〔平20本部訓令9号・本条全部改正、平22本部訓令7号・見出し改正・本条一部改正、令2本部訓令14号・本条一部改正〕

(要保護少年及び児童虐待を受けたと思われる児童の一時保護)

第57条 第43条の規定は、要保護少年及び児童虐待を受けたと思われる児童の一時保護について準用する。この場合において、「触法少年疑い者」とあるのは、要保護少年の一時保護について準用するときにあっては「要保護少年」と、児童虐待を受けたと思われる児童の一時保護について準用するときにあっては「児童虐待を受けたと思われる児童」と読み替えるものとする。

〔平20本部訓令9号・本条一部改正〕

(児童虐待を受けたと思われる児童の支援等)

第58条 警察職員は、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合は、当該児童の保護等の適切な措置を講ずるとともに、第14条第2項各号に掲げる事項を所属長に報告するものとする。

2 所属長は、前項の規定による報告を受けたときは、警察本部長に速やかに報告するものとする。

3 署長等は、児童虐待を受けたと思われる児童について、児童相談所その他の関係機関等と緊密に連携し、当該児童に対するカウンセリング、保護者に対する指導及び助言その他の支援を的確かつ継続的に実施するものとする。

〔平20本部訓令9号平22本部訓令7号平30本部訓令14号・本条一部改正〕

第11章 補則

第59条 この規程に定めるもののほか、少年警察活動の実施に関し細目的な事項は、別に定める。

1 この訓令は、平成15年1月1日から施行する。

(平成16年5月7日愛知県警察本部訓令第14号)

この訓令は、公布の日から施行する。

(平成19年3月30日愛知県警察本部訓令第11号)

この訓令は、平成19年4月1日から施行する。

(平成19年6月18日愛知県警察本部訓令第16号)

この訓令は、平成19年6月18日から施行し、同月12日から適用する。

(平成19年7月31日愛知県警察本部訓令第17号)

この訓令は、平成19年8月1日から施行する。

(平成20年3月25日愛知県警察本部訓令第9号)

この訓令は、公布の日から施行し、平成19年11月1日から適用する。

(平成22年3月30日愛知県警察本部訓令第7号)

この訓令は、平成22年4月1日から施行する。

(平成25年2月13日愛知県警察本部訓令第4号)

この訓令は、平成25年2月13日から施行する。

(平成26年5月7日愛知県警察本部訓令第17号)

この訓令は、平成26年5月20日から施行する。

(平成28年10月24日愛知県警察本部訓令第25号)

この訓令は、平成28年10月1日から適用する。

(平成30年3月30日愛知県警察本部訓令第14号)

この訓令は、平成30年4月1日から施行する。

(令和2年3月25日愛知県警察本部訓令第14号)

この訓令は、令和2年4月1日から施行する。

(令和2年11月5日愛知県警察本部訓令第32号)

この訓令は、令和3年1月1日から施行する。

(令和4年6月30日愛知県警察本部訓令第15号)

この訓令は、令和4年7月1日から施行する。

(令和5年11月17日愛知県警察本部訓令第24号)

この訓令は、令和5年11月17日から施行する。

愛知県少年警察活動規程

平成14年12月10日 愛知県警察本部訓令第26号

(令和5年11月17日施行)

体系情報
第4編 生活安全/第2章 年/第1節 少年警察活動
沿革情報
平成14年12月10日 愛知県警察本部訓令第26号
平成16年5月7日 愛知県警察本部訓令第14号
平成19年3月30日 愛知県警察本部訓令第11号
平成19年6月18日 愛知県警察本部訓令第16号
平成19年7月31日 愛知県警察本部訓令第17号
平成20年3月25日 愛知県警察本部訓令第9号
平成22年3月30日 愛知県警察本部訓令第7号
平成25年2月13日 愛知県警察本部訓令第4号
平成26年5月7日 愛知県警察本部訓令第17号
平成28年10月24日 愛知県警察本部訓令第25号
平成30年3月30日 愛知県警察本部訓令第14号
令和2年3月25日 愛知県警察本部訓令第14号
令和2年11月5日 愛知県警察本部訓令第32号
令和4年6月30日 愛知県警察本部訓令第15号
令和5年11月17日 愛知県警察本部訓令第24号