○少年補導委員運用要綱の制定
令和3年3月16日
生少発甲第43―1号
少年補導委員については、少年補導委員運用要綱の制定(昭和53年防少発甲第8号。以下「旧要綱」という。)に基づき運用しているところであるが、この度、少年補導委員の活動内容のうち、継続補導等の業務を廃止すること等に伴い、旧要綱の全部を別記のとおり改正し、令和3年4月1日から実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。
別記
少年補導委員運用要綱
第1 目的
この要綱は、警察署長による少年補導委員(以下「委員」という。)の運用に関し必要な事項を定めることにより、その効果的な運用を図り、もって、少年の健全な育成に資することを目的とする。
第2 定義及び任務
1 定義
この要綱における用語の意義は、少年警察活動規則(平成14年国家公安委員会規則第20号。以下「規則」という。)によるもののほか、次に定めるところによる。
ア 少年補導委員 規則第7条第2項に規定するボランティアのうち、警察署長が委嘱するものをいう。
イ 街頭補導 規則第7条第1項に規定する街頭補導をいう。
ウ 有害環境 少年の健全な育成を阻害するおそれのある出版物、広告物及び玩具のほか、非行少年等のたまり場等をいう。
2 任務
(1) 街頭補導活動
(2) 有害環境の浄化に資する活動
(3) 少年の規範意識の向上等に資する活動
(4) 非行防止等のための地域社会に対する啓発に資する活動
(5) その他警察が行う少年の健全な育成に資する活動に対する協力
第3 活動内容
1 街頭活動
(1) 街頭補導活動
警察署長は、委員に対し、管内の実態に即した街頭補導活動を行わせること。ただし、次に掲げる場合においては、警察官又は少年補導職員(以下「警察官等」という。)にその対応を引き継がせること。
(ア) 少年の身柄又は所持する物件を直接保護者等に引き渡すことが適当であると認められる場合
(イ) 事後、家庭、学校又は職場へ連絡することが適当であると認められる場合
(ウ) 非行少年を発見した場合
(エ) 有害環境に関連する業者、管理者等に対する指導、警告をし、又は改善その他の措置を求めることが適当であると認められる場合
(2) 危険な場所に対する巡回活動
ア 警察署長は、委員に対して巡回活動を行わせ、子供に対する危険を防止するため、次の措置を執らせること。
(ア) 海、河川、鉄道等の危険な場所で遊んでいる子供、危険な遊びをしている子供等に対し、注意又は指導を与えること。
(イ) 子供に危険が及ぶおそれのある場所を発見したときは、当該場所の所有者、管理者等(以下「所有者等」という。)に対し、安全措置を講ずるように促すとともに、当該場所の存在を警察官等に引き継ぎ、又は通報すること。
イ 警察署長は、委員から引継ぎ又は通報を受けた場合において、必要があると認めたときは、危険な場所の所有者等に対し、危険防止の措置を講ずるように指導すること。
2 環境浄化活動
(1) 警察署長は、管内の環境浄化に資するため、委員に対して次の活動等を行わせること。
ア 有害環境を発見したときは、当該有害環境の所有者等に対して有害物品の販売自粛を促すほか、当該有害環境へ少年を立ち入らせることのないように申し入れを行うこと。
イ 有害環境を発見した状況のほか、有害環境の所有者等に対する申入れ内容等を警察官等に引き継ぎ、又は通報すること。
(2) 警察署長は、委員から引継ぎ又は通報を受けた場合において、必要があると認めるときは、当該有害環境の所有者等に対し、有害物品の撤去又は販売の自粛の措置を講ずるように指導すること。
3 少年の規範意識の向上等に資する活動
警察署長は、少年を参加させて行う社会奉仕体験活動、生産体験活動等のボランティア活動、スポーツ活動その他少年の規範意識の向上又は社会の一員としての意識の涵養に資するための体験活動を催すときは、活動に参加する少年の特性を理解し、及び当該少年の取扱いを熟知し、さらに、その年齢、性別、能力等に鑑みて、適格性を有する委員を選定し、当該委員と連携して適切な役割分担の下で活動を推進すること。
4 情報発信活動
警察署長は、自治会、各種地域の保護者の会等に委員を積極的に参加させ、地域の非行情勢、非行要因等について適時適切な情報発信を行わせることにより、少年を見守る社会的気運の醸成を図り、少年の健全な育成に係る活動を地域ぐるみの総合的な取組へと発展させること。
第4 委員の委嘱及び解嘱
1 委員の委嘱
(1) 委嘱
委員は、次の条件を満たす者の中から選定し、警察署長が委嘱すること。
(ア) 管内に住居又は勤務先を有していること。
(イ) 人格に優れ、識見が高く、社会的信望が厚いこと。
(ウ) 少年の補導及び保護に対する理解と熱意を有し、活動的であること。
(2) 委嘱期間
委嘱期間は、4月1日から翌々年3月31日までの2年間とし、再委嘱を妨げない。ただし、委嘱期間中に欠員が生じ、新たに委員を補充したときの委嘱期間は、前委員の委嘱期間の残存期間とする。
(3) 委嘱方法
2 委員の解嘱
(1) 警察署長は、次のいずれかに該当するときは、委員を解嘱することができる。
ア 当該警察署管内に住居又は勤務先を有しなくなったとき
イ 傷病その他の事由により、委員としての任務遂行が困難となったとき
ウ 委員としてふさわしくない行為があったとき
エ その他特別な事由があるとき
(2) 警察署長は、委員を解嘱したときは、少年補導委員解嘱通知書(様式第3)を交付すること。
第5 少年補導委員証
1 少年補導委員証の携帯等
警察署長は、委嘱した委員に対し、少年補導委員証(様式第4。以下「委員証」という。)を交付し、これを活動の際に携帯させるとともに、関係者から請求があったときは、これを提示させること。
なお、警察署長は、委員を解嘱したときは、当該委員に委員証を返納させること。
2 委員証の管理等
(1) 警察署長は、あらかじめ生活安全課の警部以上の階級にある者のうちから委員証の管理責任者を指定すること。
(2) 管理責任者は、委員証の管理に係る事務を行うものとし、年度中に1回以上、委員証を確認し、確認した結果を少年補導委員証管理簿(様式第5)に記録すること。
(3) 警察署長は、委員が委員証を紛失、汚損等したときは、再交付すること。この場合において、委員が委員証を紛失したときは、その状況を確認するとともに、速やかに遺失届を提出させること。
第6 少年補導委員会の運営
1 警察署長は、委員の知識及び技能の向上を図るとともに、委員の効果的な運用を図るため、原則として警察署ごとに少年補導委員会(以下「委員会」という。)を組織すること。
2 委員会は、警察署管内の委員をもって構成する。
3 委員会の会長は、委員がこれを互選する。
4 委員会は定期的に開催するものとし、必要があれば随時開催することもできる。
第7 運用上の留意事項
警察署長は、委員を運用するに当たって、次に掲げる事項に留意すること。
(1) 第4の1の(1)に掲げる条件を満たし、少年の健全な育成に資する活動を推進できる者を委員として委嘱できるように、人選には慎重を期すこと。
(2) 委員が必要な知識及び技術を習得できるように、随時、必要な教養を実施すること。
(3) 委員が行う街頭活動等には、特別な権限が付与されているものではないことを各委員に理解させ、県民から行き過ぎ等の批判を受けることがないように指導を徹底すること。
(4) 委員としての活動中に知り得た秘密を他に漏らすことがないように、指導を徹底すること。
(5) 少年の規範意識の向上等に資する活動を委員と連携して推進するときは、少年及び保護者に係る個人情報について、保護者の同意を得てから委員に伝えること。ただし、個人情報が特定少年(少年警察活動規則(平成14年国家公安委員会規則第20号)第2条第2号に規定する特定少年をいう。)に係るもののときは、当該特定少年の同意を得てから伝えること。
(6) 委員の活動に当たっては、受傷事故その他の被害の防止に資する教養を徹底すること。
第8 その他
この通達の実施に関し必要な細目的事項は、生活安全部長が別に示達する。