○薬物の濫用の防止に関する条例

平成二十四年十月十六日

愛知県条例第五十一号

薬物の濫用の防止に関する条例をここに公布する。

薬物の濫用の防止に関する条例

目次

第一章 総則(第一条―第四条)

第二章 推進体制の整備及び薬物の濫用の防止に関する基本的な施策(第五条―第十条)

第三章 知事指定薬物の濫用の防止のための規制(第十一条―第十六条)

第四章 雑則(第十七条)

第五章 罰則(第十八条―第二十二条)

附則

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、薬物の濫用の防止について、県及び県民の責務を明らかにするとともに、県が実施する施策に関する基本的な事項を定め、及び必要な規制を行うことにより、薬物の濫用の防止を図り、もって県民の健康と安全を守り、及び県民が平穏にかつ安心して暮らすことができる社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において「薬物」とは、次に掲げる物をいう。

 大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)第一条に規定する大麻

 覚醒剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)第二条第一項に規定する覚醒剤及び同条第五項に規定する覚醒剤原料

 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二条第一号に規定する麻薬、同条第四号に規定する麻薬原料植物及び同条第六号に規定する向精神薬

 あへん法(昭和二十九年法律第七十一号)第三条第一号に規定するけし、同条第二号に規定するあへん及び同条第三号に規定するけしがら

 毒物及び劇物取締法施行令(昭和三十年政令第二百六十一号)第三十二条の二に規定する物

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第十五項に規定する指定薬物

 前各号に掲げるもののほか、これらと同等に、興奮、幻覚、陶酔その他これらに類する作用を人の精神に及ぼす物であって、濫用されることにより人の健康に係る被害が生ずると認められるもののうち、県の区域内において現に濫用され、又は濫用されるおそれがあると認められるものとして知事が指定するもの(以下「知事指定薬物」という。)

(一部改正〔平成二六年条例五三号・令和二年二一号〕)

(県の責務)

第三条 県は、薬物の濫用の防止に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 県は、国、他の地方公共団体及び薬物の濫用の防止を目的とする団体と連携を図りながら協力して、薬物の濫用の防止に関する施策の推進に取り組むものとする。

(県民の責務)

第四条 県民は、薬物の危険性に関する知識と理解を深め、薬物の濫用を防止するよう努めなければならない。

2 県民は、県が実施する薬物の濫用の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。

第二章 推進体制の整備及び薬物の濫用の防止に関する基本的な施策

(推進体制の整備)

第五条 県は、薬物の濫用の防止に関する施策を総合的に推進するための体制を整備するものとする。

(調査研究等)

第六条 県は、薬物の濫用の防止に関する施策を最新の科学的知見に基づき適切に実施するため、薬物に関する調査研究を行うとともに、薬物に係る試験及び検査に関する研究及び技術開発を推進し、並びにそれらの成果の普及を図るものとする。

(情報の収集等)

第七条 県は、薬物の濫用から県民の健康と安全を守るため、薬物に関する情報について、収集及び整理を行うとともに、最新の科学的知見に基づく分析及び評価を行うものとする。

2 県は、前項の分析及び評価の結果を、薬物の濫用の防止に関する施策に的確に反映させるものとする。

(情報の提供)

第八条 県は、薬物の濫用から県民の健康と安全を守るため、県民に必要な情報を提供するものとする。

(教育及び学習の振興)

第九条 県は、県民が薬物の危険性に関する正しい知識に基づき行動することができるようにするため、教育及び学習の振興に必要な措置を講ずるものとする。

(監視及び指導)

第十条 県は、薬物の濫用を防止するための監視及び指導を適切かつ効果的に実施するものとする。

第三章 知事指定薬物の濫用の防止のための規制

(指定)

第十一条 知事は、第二条第七号の規定による指定をするときは、その旨を公示しなければならない。

2 第二条第七号の規定による指定は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。

(指定の失効)

第十二条 第二条第七号の規定による指定は、知事指定薬物が同条第一号から第六号までに掲げる物に該当するに至ったときは、その効力を失うものとする。

2 知事は、前項の規定により知事指定薬物の指定が効力を失うときは、その旨を公示しなければならない。

3 第五章の規定は、第一項の規定により知事指定薬物の指定が効力を失う前にした当該知事指定薬物に係る行為についても、適用する。

(製造等の禁止)

第十三条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第一号から第四号までに掲げる行為については、正当な理由がある場合として規則で定める場合は、この限りでない。

 知事指定薬物を製造し、又は栽培すること。

 知事指定薬物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で所持すること(県の区域外における販売又は授与の目的で所持する場合を含む。)

 知事指定薬物を販売又は授与の目的で広告すること。

 知事指定薬物を所持し、購入し、譲り受け、又は使用すること(第二号に該当する場合を除く。)

 多数の者が集まって知事指定薬物をみだりに使用することを知って、そのための場所を提供し、又はあっせんすること。

(一部改正〔平成二六年条例五三号〕)

(報告及び検査)

第十四条 知事又は公安委員会は、この条例の施行に必要な限度において、知事指定薬物若しくはこれに該当する疑いのある物(以下「知事指定薬物等」という。)を製造し、栽培し、販売し、授与し、所持し、若しくは広告し、又は前条第五号の場所を提供し、若しくはあっせんする者その他の関係者から必要な報告を求めることができる。

2 知事は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、前項に規定する者の店舗その他必要な場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、又は試験のため必要な最少分量に限り知事指定薬物等を収去させることができる。

3 公安委員会は、この条例の施行に必要な限度において、警察職員に、第一項に規定する者の店舗その他必要な場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

4 前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

5 第二項及び第三項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(一部改正〔平成二六年条例六五号〕)

(警告)

第十五条 知事は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、警告を発することができる。

 第十三条第一号の規定に違反して知事指定薬物を製造し、又は栽培した者

 第十三条第二号の規定に違反して知事指定薬物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で所持した者(県の区域外における販売又は授与の目的で所持した者を含む。)

 第十三条第三号の規定に違反して知事指定薬物を販売又は授与の目的で広告した者

 第十三条第四号の規定に違反して知事指定薬物を所持し、購入し、譲り受け、又は使用した者

 第十三条第五号の規定に違反して場所を提供し、又はあっせんした者

2 前項の規定による警告は、書面を交付して行うものとする。

3 公安委員会は、警察職員が第十三条第五号の規定に違反して場所を提供し、又はあっせんした者を発見したときは、その旨を知事に通知することができる。

(一部改正〔平成二六年条例五三号・六五号〕)

(製造中止等の命令)

第十六条 知事は、前条第一項の規定による警告(同項第五号に係るものを除く。以下この条において同じ。)に従わない者に対し、知事指定薬物の製造、栽培、販売、授与、所持、広告、購入、譲受け若しくは使用の中止(以下「知事指定薬物の製造等の中止」という。)を命じ、又は相当の期限を定めて知事指定薬物の回収若しくは廃棄その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

2 知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、前条第一項第一号から第四号までのいずれかに該当する者に対し、同項の規定による警告を発することなく、知事指定薬物の製造等の中止を命じ、又は相当の期限を定めて知事指定薬物の回収若しくは廃棄その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 薬物の濫用から県民の健康と安全を守るため緊急を要する場合において、前条第一項の規定による警告を発する時間的余裕がないとき。

 前条第一項第一号から第四号までのいずれかに該当する者が、過去に同項の規定による警告を受けたことがあるとき。

(一部改正〔平成二六年条例五三号〕)

第四章 雑則

(委任)

第十七条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

第五章 罰則

(罰則)

第十八条 第十六条の規定による命令(第十五条第一項第一号又は第二号に係るものに限る。)に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 第十三条第一号又は第二号の規定に違反した者

 第十六条の規定による命令(第十五条第一項第三号又は第四号に係るものに限る。)に違反した者

(一部改正〔平成二六年条例五三号〕)

第二十条 第十三条第三号又は第四号の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

(追加〔平成二六年条例五三号〕)

第二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。

 第十四条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 第十四条第二項の規定による立入検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

 第十四条第三項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

(一部改正〔平成二六年条例五三号・六五号〕)

(両罰規定)

第二十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第十八条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

(一部改正〔平成二六年条例五三号〕)

この条例は、公布の日から施行する。ただし、第十三条から第十六条まで及び第五章の規定は、平成二十五年四月一日から施行する。

(平成二十六年七月八日条例第五十三号)

この条例は、平成二十六年九月一日から施行する。ただし、第二条第二号の改正規定は公布の日から、同条第六号の改正規定は薬事法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第八十四号)の施行の日から施行する。

(平成二十六年十月十四日条例第六十五号)

この条例は、平成二十六年十一月一日から施行する。

(令和二年三月二十七日条例第二十一号)

この条例は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第六十三号)第四条(覚剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)第九条第一項第二号の改正規定を除く。)の規定の施行の日から施行する。

薬物の濫用の防止に関する条例

平成24年10月16日 愛知県条例第51号

(令和2年4月1日施行)

体系情報
第6編 事/第1章 査/第3節
沿革情報
平成24年10月16日 愛知県条例第51号
平成26年7月8日 愛知県条例第53号
平成26年10月14日 愛知県条例第65号
令和2年3月27日 愛知県条例第21号